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いま求められているプロジェクトリーダーの条件

 プロジェクトマネジメントの重要性がますます高まっている。そのため、プロジェクトマネジメント=プロジェクトマネージャだけの仕事のように見られるが、マネージャを補佐するプロジェクトリーダーの責務も、短納期かつ低予算でのWebシステム開発においては重要である。そこで、プロジェクトを成功に導く両者の最適な役割分担について、テンアートニで活躍するプロジェクトマネージャとプロジェクトリーダーに話を伺った。

マネージャとリーダーの役割分担が
プロジェクト開発の成功の鍵となる

 テンアートニは1997年の会社設立以来、いち早くJavaとLinuxをベースにしたWebアプリケーション開発にチャレンジしてきた。特に大規模なWebシステムの開発では、Java(J2EEなど)やPHPなどの開発言語だけでなく、データベース、アプリケーションサーバ技術など、実装段階では多くの技術が必要とされる。同社は開発の積み重ねで得た社内の開発基盤であるフレームワークの「WebWorkBench Developer Cafe」、それに自社の開発ノウハウの結晶を教育サービスとして外部にも提供している。こうしたことを可能にしているのは、自社の開発ノウハウや技術力への自信の表れともいえる。

 こうした開発ノウハウを持ち、さらに発展させ、技術力を支える最前線が開発現場である。その開発現場で重要な役割を担うのがプロジェクトマネージャであり、プロジェクトリーダーだ。冒頭でも触れたように、Webシステムの開発では、短納期かつ低コストが当たり前の世界。その実現のためにも、プロジェクトマネージャとプロジェクトリーダーとの役割分担は重要な意味を持つ。

 そこで、テンアートニでプロジェクトマネージャを務める松尾美奈氏、プロジェクトリーダーの大井純氏と細田浩氏の3人に、プロジェクトマネージャとプロジェクトリーダーの業務の違い、最適な役割分担についてどう見ているのかを聞いてみた。

クライアントに対する責任を持つマネージャ
現場のプロジェクトに責任を持つリーダー

 その前に3人が担当している業務内容を簡単に紹介しておこう。

テンアートニ 第一事業部 エンタープライズコンサルティンググループ
チーフエンジニア 大井 純氏

1997年某システム会社に入社。主にロータスノーツの受託開発で要件定義から実装までを一人で担当。その後複数の開発会社にて同様の業務やインフラ系パッケージ製品のマイグレーションに従事。2000年テンアートニに入社。Webシステムの受託開発を担当。現在はプロジェクトリーダーを務める

 大井氏は現在、某メディア会社の資材部の予算申請から資材購入、固定資産登録、減価償却の計算までを一括して行うシステム構築に携わっている。足掛け約3年のプロジェクトだが、すでに基本システムの構築は終了し、現在は減価償却などと企業本体の会計システムとの連携作業に入っている。このプロジェクトにおいて、大井氏は5人いるプロジェクトチームのリーダーである。

 具体的な業務は、クライアントからのヒアリング、プログラマへの作業の割り当て、進ちょく管理などである。「プロジェクトリーダーとして、要件定義から基本設計、詳細設計までのすべての工程を把握していなければならない。クライアントからの要件を基に、プログラマに『画面をこう作れ』と指示し、スケジュールが遅れそうになれば自分でもコーディングをする(笑)。プロジェクトを成功に導くための現場監督のような仕事です」(大井氏)。

 細田氏は現在、某製造業の基幹システムのリプレースプロジェクトに携わっている。ただし、細田氏がプロジェクトリーダーとして参画したのはつい最近のこと。そのため、予算や納期などはすべて決まっており、細田氏の役割は、その条件でいかに合理的かつ効率よくプロジェクトを成功させられるかにあるという。

 大井氏、細田氏がそれぞれかかわっているプロジェクトの両方をマネジメントしているのが松尾氏である。「個々のプロジェクトを成功に導く責任はリーダーにある。マネージャの仕事は、クライアントに対する責任を果たすこと」(松尾氏)。

 例えば、大井氏がかかわっている某メディア会社は、そのほかのシステム構築もテンアートニに委託し、合計で4プロジェクトが同時進行している。プロジェクトマネージャの仕事は、すべてのプロジェクトが成功裏に終わるように、各プロジェクトのリーダーとの連携を密にし、クライアントに対しての責任を持つことにある。

手戻りのリスクを回避するための
マネージャとリーダーの役割分担

テンアートニ 第一事業部 ウェブソリューション開発グループ
チーフエンジニア 細田 浩氏

1998年大手SIに入社後、Webシステム開発やUNIX系サーバ構築を手掛ける。2003年テンアートニに入社。ウェブソリューション開発グループに所属し、主にWebシステムの受託開発を手掛ける

 Webシステムでは、短納期かつ低予算での開発が求められている。そのため、実装段階前に仕様をきちんと固めておかないと、納期の遅れ、品質の低下、開発費用の増大などを招く結果となる。そのためにもクライアントの要望をしっかりと聞き、あいまいな部分は残さず、仕様を決めていく。それができなければ、いわゆる「手戻り」の多い開発、つまり何度も開発をやり直すことになってしまう。

 多くのシステム開発会社では、こうした手戻りの多さに泣かされていないだろうか。原因の1つが、プロジェクトマネージャとプロジェクトリーダーとの役割分担にある。例えば、クライアントの要求が現場のプロジェクトリーダーやプログラマに正確に伝わっていない、といったことだ。それでは、テンアートニはプロジェクトマネージャとプロジェクトリーダーとの最適な役割分担をどのように行い、リスクを回避しているのだろうか。3人の言葉からそのノウハウを浮き彫りにしてみよう。

細田氏 工程ごとにプロジェクトマネージャを配置し、そのプロジェクトマネージャが要件をヒアリングしたとしても、実装について理解していなければ、どれだけ打ち合わせを繰り返しても結果的には仕様が決定されない。そこでテンアートニでは、要件をヒアリングする段階からプロジェクトリーダーが参画し、基本設計、詳細設計、実装などの工程をすべて理解している。

テンアートニ 第一事業部 エンタープライズコンサルティンググループ
グループマネージャー 松尾 美奈氏

1995年某ベンチャー会社に入社し、Webシステム開発の経験を積む。1998年テンアートニに入社。SE、プロジェクトリーダーを経て、現在は、業務系システム、その他各種情報系システムのプロジェクトマネージャを務める

松尾氏 Webシステムの開発では、実装レベルまでしっかりと理解していないと、設計はおろか、画面のレイアウトすらできない。プロジェクトリーダーには特定技術に特化した人材よりも、すべての工程を理解し、クライアントとしっかりと交渉できる人間が求められている。そういったプロジェクトリーダーを初期の段階からプロジェクトに参画させることで、手戻りのリスクを回避している。大規模なプロジェクトの際には、クライアントに提出する要求書や見積もり書の作成にもプロジェクトリーダーに参画してもらう。現場を知る人間を参画させることで、リスクを最小限に抑えられる。

 実際のプロジェクトでは、進行の過程で最初に決定した機能に、新たな機能が追加されていくケースもある。工数も予算もオーバーするだけでなく、納期も厳しさを増す。そのような場合、プロジェクトリーダーはどのような判断を下すのだろうか。

 大井氏 基本的には工数や予算がオーバーしてもクライアントの要求を満たし、納品するまでが仕事と考えている。まず、追加の要求があるのかどうか、その要求が技術的に実現可能かどうか、実現するための工数や予算、納期がどの程度オーバーしてしまうのかを明確にするのがプロジェクトリーダーの仕事。その後の折衝は、プロジェクトマネージャや営業部門に任せる(笑)。

開発プロセスを改革できるのは
現場で指揮を執るリーダーこそ

 プロジェクトリーダーとして活躍する大井氏と細田氏は、プロジェクトを遂行する中で、どこに仕事の面白さを感じ、魅力を感じているのだろうか。

大井氏 クライアントがどのようなシステムを作りたいのかをヒアリングしている段階は、いわば「何もない状態」。そこから、どのような画面で何を表示してどういったシステムにするかを「紙芝居」で見せて、肉付けしながらシステムにする。すべての工程にかかわりながら、自分が作ったシステムが実際に動くのを体感できる。モノ作りと同じ魅力がある。

細田氏 Webシステムの開発には、改革の余地が十分に残されている。例えば、設計書などのドキュメントも画面遷移のイメージが固まっていれば、汎用的に利用できるひな型を作り、標準化できるはずだと考えている。こうしたことを考え、提案できるのも、プロジェクトリーダーだからこそ。社内のプロセスの改善に取り組めば、最後は自分も楽になる(笑)。

松尾氏 テンアートニでは現在、事業部長を中心に標準化プロジェクトが動きだしている。私たちマネージャクラス7、8名によるプロジェクトチームが結成され、全社で開発プロセスの効率化に取り組んでいる。

テンアートニが描く
リーダーの理想像とは

 テンアートニは現在、プロジェクトリーダークラスの人材を募集している。そこで、プロジェクトリーダーの大井氏、細田氏、それにプロジェクトリーダーをマネジメントする立場にある松尾氏は、どのような人材がプロジェクトリーダーに向いていると考えているのだろうか。

大井氏 育ててくれるのを待っているような人ではなく、自分で仕事を進めていける力のある人。テンアートニには自由がある。モチベーションと体力さえあれば、自分が望む方向に伸びていける。ただ、プロジェクトリーダーはクライアントからヒアリングした結果を現場のプログラマに正確に指示するのが重要な仕事。特定のスキルよりも、「人と話せる」能力、コミュニケーション能力が求められる。

細田氏 例えば、「開発言語なんて結局どれも一緒」と言い切ってしまえるような方とともに働きたい。「この言語しかできない」とか「この言語でなければ無理」と拒絶してしまうのと、どんな言語でも「調べればできる」と考えるのとではスタンスがまったく異なる。壁を打破する力が全然違うはず。自分で切り開いていける。

松尾氏 前を向いている人がいい。テンアートニでは、待っているだけの人は、目の前にあるチャンスを生かせないと思う。プロジェクトマネージャは、プロジェクトが上手くいくようにクライアントとのネゴもするし謝りもする(笑)。お膳立てはしっかりとするから、あとは自分の力で伸びてほしい。ただ、Webシステム開発はチームプレーでもある。1人でコツコツやるだけではなく、仲間とシステムをつくりクライアントの満足度を高めたいという人材が欲しい。

 多くのITエンジニアにとって、プロジェクトマネージャやプロジェクトリーダーといった区分や業務内容は、まだまだ不明確なのかもしれない。ただ、Webシステム開発のプロジェクトリーダーとして求められる素養は、「自分で歩んでいける能力」といった点で共通しているようだ。マネージャの松尾氏は、テンアートニのことを「歯車になるのを嫌う人材の集まり。皆、心の底からやってみよう、チャレンジしようという気持ちを持つ、『改革者』の集団」という。ITエンジニアとして次のステージに一歩踏み出す決意をしたならば、プロジェクトリーダーという道も選択肢の1つになるだろう。

募集要項
募集職種 システムエンジニア
仕事内容 一般企業を対象に、IT・提案・開発計画といった各スキルをもって、要件定義〜設計〜製造〜テスト〜納品といったプロジェクト全工程をリーディングしていただきます。あなたの豊かなSE技術と、テンアートニの高いJava関連技術を融合させて、より質の高いWebシステムをお客様に提供することがミッションです。
●Javaを利用したWebシステム開発が中心
●案件の多くは一般企業との直接契約
要 件
顧客とのコミュニケーション能力必須
Web系システム開発経験必須
データベース設計構築経験必須
基幹系システム開発経験者尚可
バランス感覚のある方

 

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株式会社テンアートニ
企画:アットマーク・アイティ人財局
製作:アットマーク・アイティ編集局

掲載内容有効期限::2003年9月30日

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企業情報
株式会社テンアートニ(現サイオステクノロジー株式会社

設立

平成9年5月23日

代表者

代表取締役社長 喜多 伸夫

資本金
7億5001万5千円

従業員数
96名(平成15年4月現在)

本社所在地
東京都千代田区外神田2-15-2 新神田ビル

事業内容
JavaによるWebシステム構築
Linuxによるシステムインテグレーション及び製品販売

待遇
給与:年俸制(16分割)※前職での経験・能力などを充分考慮の上、決定

昇給:年2回

賞与:年俸の16分の4か月分

諸手当:交通費全額支給

勤務地:東京(千代田区外神田)

勤務時間:9:00〜17:30

休日・休暇:完全週休2日制、祝日、年末年始、慶弔、誕生日休暇、半休制度あり

福利厚生:各種社会保険完備、報奨金制度、財形貯蓄制度、大塚商会の福利厚生施設(保養所、直営リゾートホテル、国内外特約ホテル)

教育研修:自社主催トレーニングコースへの参加