日本最大級のネットワークシステムの全貌
ミッションクリティカルな開発現場でスキルを磨く!
「Microsoft Office Specialist」の 年間受験者数は30万人 |
マイクロソフトの認定資格としてITエンジニアが思い浮かべるのは、いうまでもなくMCP(Microsoft Certified Professional)やMCSE(Microsoft Certified Systems Engineer)だろう。しかし、事務系のスタッフ、特に派遣社員などがマイクロソフトの認定資格として思い浮かべるのは、マイクロソフトのOffice製品に含まれるアプリケーション・ソフトの操作能力を判定する、資格試験「Microsoft Office Specialist(2003年11月にMOUS試験から名称変更)」だろう。
「Microsoft Office Specialist」の受験者数は、年々増加しており、今年は30万人を上回ると予想されている |
そのMicrosoft Office Specialistを1997年より日本で実施運営しているのが、株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ。現在、業務拡大に伴ってITエンジニアを募集中だが、その将来の事業戦略や必要とされる人材像、スキル要件などを取材した。
すべての情報を大規模データベースで 一元管理する新システム |
同社ではMicrosoft Office Specialistに続いて昨年11月、コンピュータやインターネットに関する知識、スキルを判定するワールドワイドな資格試験「IC3(Internet and Computing Core Certification)」をスタートさせた。いずれの資格試験も紙面上のテストではなく、すべてコンピュータ上で行い、知識を問うだけでなく、必要に応じて実技試験も行う。全国の大学や高校、専門学校、パソコンスクールなど約1500カ所もの会場をネットワーク化して行う試験は、日本では最大級のテスティング・ネットワークシステムである。
と同時にこのネットワークは、同社にとって最大の強みでもある。ちなみにITエンジニアにはなじみ深いIT系資格のテストセンター大手、アール・プロメトリック社の公認テスト会場が国内に約100カ所であることを考えると、その規模の違いが分かるというものだ。
そうした全国1500の試験会場をネットワーク化してテストを配信し、約100万人規模の受験者のデータベースを管理するシステムとはどのようなものなのだろうか。また、そのシステムを管理・サポートする人材のスキルとしては何が必要なのか。
現在、新システム構築計画をスタートさせ、今後、段階的に新システムに移行させていく予定だ(図1)。新システム構築計画についてテスティング・サービス部のマネージャー 加藤秀樹氏は次のように語る。
「Microsoft Office Specialist」の大規模データベースシステム 〜将来的には年間100万人規模の受験者情報を一元管理〜 |
図1 受験履歴や試験情報の照会、試験会場の案内などを行うために、国内最大級のテスティング・ネットワークシステムの構築に取り組んでいる。将来的には100万人規模の受験者に対応できるシステムを目指している |
「まず、受験者の増加に対応していくために大規模なデータベースシステムを構築する必要があります。Webサイトからの申し込みや試験会場からの申し込みに対応して受験者情報を一元管理します。Microsoft Office Specialistについていいますと、『Microsoft Office Master制度』というのがあり、Word試験に合格した人はExcel、次はAccessという形でレベルアップしていくものですが、そういった受験履歴や試験情報の照会、そして試験会場の案内など、お客さまへの情報提供を推進するためにCRMシステムの構築を行います。今後はテストに関連した参考書・書籍の紹介やeラーニングなどのビジネスも視野に入れています」
データベースやセキュリティの 知識を持つITエンジニア |
実際、受験者や試験会場からの情報照会ニーズは高く、受験者の過去の受験履歴やスキルレベルを企業に対してWebサイト上で直接行う証明サービスも将来的には実施したいという。また、20〜30代女性からの要望としては携帯電話などからの情報提供サービスの要望が多く、今後はそれらを熟知しているエンジニアが必要になる。
株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ テスティング・サービス部 マネージャー 加藤秀樹氏 |
「試験を実施する全国の試験会場とのネットワークはシステムの根幹ですが、将来的には大規模なオンラインネットワークを一元化することを考えています。そこでは、試験の申し込みや受験料の振り込み、会場登録、ID発行などさまざまな情報を管理する必要があります。そして、全国の試験会場において当日受付にも対応した顧客の利便性の高いシステム構築を目指しています」(加藤氏)
受験者、試験会場の双方ともWebベ−スでのネットワークになるので、個人情報のセキュリティ管理が最重要であり、SSLなどの技術を利用してセキュリティを万全にしなければならない。これにかかわるエンジニアにはセキュリティの知識も求められることになる。
「情報システム運営の仕事のベースになる社内LANやデータベース管理などのシステムインフラをマスターし、業務改善・システム改善・業務運営管理を推進していける方に来てほしいですね。言語に関するスキルでいえば、C++、VB(Visual Basic)、Java、それと今後は.NETを使ったシステム開発も考えているのでそれを理解している方、そしてデータベースのスキルも必要になるのでSQLを理解できる人ですね」(加藤氏)
マネジメント力やシステム コンサルティング力が身に付く |
ここで重要なのは、システムインテグレータ(SIer)ではなく事業会社の中で働くエンジニアであるということ。どんなシステムを導入すればいいのかを決める社内“SIer”的な立場で仕事をすることになる。さらに、事業拡大のためにシステムを構築するには、何よりも事業内容を深く理解しなければならない。事業の構想段階からかかわり、システム構築後も運営・管理に携わる。求める人材像について、同社の奈良英俊氏は次のように話す。
株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ 奈良英俊氏 |
「社内SIerとして、インフラ、データベース、ネットワーク、アプリケーションなどシステム全体を把握する必要があるので、総合的なスキルが必要です。また、システム拡大とともに自分でスキルアップする必要があり、SIパートナーに対してしっかりした技術的なオファーができるくらいの技術力が求められます。どのようなシステムを導入すれば事業の効率化を実現できるのか。システムや業務の分析・評価、コスト管理などを責任者としてマネジメントできるシステムコンサルティング力のある人がふさわしいですね」(奈良氏)
実際のシステム構築にあたっては、外部のシステム開発スタッフとの共同作業になるので、外部スタッフや社内業務スタッフをまとめるプロジェクトマネジメント力も重要になってくる。また逆にいえば、同社のスタッフになれば、そうしたスキルが身に付くという点で、キャリアアップを目指すエンジニアには魅力がある職場といえよう。
「新しい事業に積極的にチャレンジしていこうという会社ですので、どんどんエンジニアにも要求が出てくることになります。柔軟な発想と積極性を持っていてほしいですね。と同時に、デバッグなどのベタな作業もいとわない地道さも持っていてほしいし、20代後半〜30代前半のエンジニアでそうした作業経験のある人は歓迎します。約100万人規模の受験者数というのは私たちも初めてですし、業界でも画期的なことだと思います。これからは試行錯誤しながらやっていきます」(奈良氏)
ビジネスにアンビシャスな マインドを持つ人 |
それでは、テスティングビジネスを中心に事業を展開している同社の次の事業戦略とはどのようなものか。今後の教育事業ビジョンについて代表取締役社長の出張勝也氏は次のように語る。
「現在の事業はテスティングがメインですが、柔軟に新規事業を立ち上げられる人を求めています。何をするにしてもコンピュータを手段として使わなければならないので、ITの知識は不可欠です。将来的には教育をメインにしたポータルサイトやeコマースなどもプランには入っていますが、そういう意味では、ビジネスにアンビシャスな人がいいですね」
現在募集している人材は大きく3つに分けられる。まず、(1)現在行っている事業をサポートする人、(2)現在の資産を使ってITの切り口から新しいビジネスを立ち上げられる人、さらに、(3)現状のビジネスドメインから外れたところで新規事業を立ち上げられる人、などである。
例えば、テスティングに似た分野でトレーニングがあるが、仮にこれを事業として立ち上げる人材は(2)に該当する。また、出張社長の語るポータルサイトやeコマースなどは(3)に入る。この(2)や(3)になると、ITスキルを持っているというレベルではなく、やはり「ITで何ができるのか」ということを熟知したITエキスパートでないと難しい。
教育やテスティング事業など 新規ビジネス開拓に積極的 |
「テストは苦行です」と笑う出張社長は、教育事業やテスティングの分野をはじめ、将来的にはさまざまな分野でのビジネスを展開したいと考えている。教育事業に参入するにあたってのポリシーと教育哲学を聞いてみた。
株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ 代表取締役社長 出張勝也氏 |
「私が以前働いていた金融業界は教育ビジネスの業界と似ており、グローバルであると同時に米国が圧倒的に強い分野です。それは米国がスタンダードを握っているということですが、実はこれは根本的にものの見方にかかわってくる問題だと思います。金融の場合はお金に対する見方であり、教育ビジネスは人的資産に対する見方、あるいは評価の仕方ということです。どちらもここ数十年、日本的価値観が大きく揺さぶられて定まっていないという点では共通していますね」
日本におけるすべての価値観が米国化しているといわれる今日、そうした大きな流れに対して出張氏は異論を唱えるのだ。ハーバードビジネススクールでMBAを取得した人間の語ることだけに、実に説得力がある。大手日刊紙に掲載した同社の広告コピーには、「日本を知り、日本人として生まれた自分をよく知ること」と書かれている。
「長所は世界中の国々からどんどん学ぶべきだと思います。ただ、学ぶ過程において自分なりの“基準”を持っていないと、極端から極端に流されてしまうだけなので、それではビジネスを成長させることはできません」
ITエンジニアとして総合的な スキルアップができる |
最後にITを使ったビジネスモデルの必要性について出張社長はこう説明する。
「大資本のない当社のような会社がコストをかけず効率的に多くの顧客にリーチしようとすれば、どんなビジネスを展開するにしてもITを使うしかないわけです。業務をいかに効率化するかという部分でのITと、新規事業としてマーケットを作っていくという部分でのIT、両方とも必要です。ですから、ITエンジニアでビジネスセンスを持っている人を求めています」
システムの要件定義から現場の管理・運用など仕事内容は幅広い。SIerと違って、腰をすえてプロジェクトに取り組める点も同社で働く大きなメリットだ |
一般の人々のITリテラシーを上げることはテストビジネスにとって大きな課題だが、また同時に、そこにはさらなるビジネスチャンスが横たわっている。なぜなら、老若男女、コンピュータやIT機器を使わなければ新たな仕事ができないという差し迫った社会的な要求があるからだ。
「2007年までの目標として、弊社で扱うCBT(Computer Based Testing)の受験者数は年間100万人を目指しています。今後は、丸の内や大手町界隈の伝統的な大企業の総合職、管理職の方々の認知度をどうやって上げていくのかが課題です。大企業でくすぶっている若い人、コンサルティング業界で働いた経験がある人、ベンチャービジネスで苦労した経験のある人。こういう方はぜひ、応募してください」
◇
システム要件を決定するなど上流の作業をしつつも、管理・運用といった現場レベルの仕事も行っていく。システム全体を把握する必要があり、専門知識と同時に幅広いスキルも必要――。こう書くと、求められるのはまさにスーパーSEといった感じだが、少なくともいえるのは、一流のITエンジニアを目指す人にはまたとないスキルアップの機会が与えられる職場であるということだ。SIerと違い、腰をすえてプロジェクトに取り組めるというのも同社の大きな魅力。下請け、孫請けのシステム開発などで現在の仕事に飽き足らない思いを抱いているITエンジニアなどはぜひ、チャレンジして欲しい。
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{株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ
企画:アットマーク・アイティ人財局
製作:アットマーク・アイティ編集局
掲載内容有効期限:2003年11日18日
企業情報 |
株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ ■代表者 代表取締役社長 出張 勝也 ■所在地 〒100-0005 東京都千代田区丸の内 3-3-1 新東京ビル ■設立 1996年 ■スタッフ数 約75名(2003年9月現在) ■事業内容: ●コンピューターを使った試験制度の実施・運営 ●コンピューターを使った英語教育事業 |
待遇 |
■給与 委細面談(前職での経験などを考慮の上、決定) ■勤務時間 9:00〜18:00(1時間休憩) ■休日・休暇 完全週休2日制(土・日・祝日)、年次有給休暇 ■その他待遇 昇給年1回、交通費全額支給、社会保険完備 ■福利厚生 東京都小型コンピュータソフトウェア産業健康組合、慶弔見舞金 |
イベント情報 |
■第2回 「IT Education Initiativeフォーラム」開催のご案内 終了いたしました。多くの方のご参加ありがとうございました |