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エンジニアのキャリアアップに役立つ!
連載:最新の人材サービス活用法 第6回
キャリアデザインを作りませんか?

辻俊彦(@ITジョブエージェント担当
2002/5/22

 人材会社での勤務経験がある筆者(現@ITジョブエージェント担当)が、現在最も注目しているもの、それはキャリアコンサルティングなどの人材会社による人材サービスだという。そんな人材サービスの最新動向を紹介するとともに、エンジニアがキャリアアップを実現するために、どのようにサービスを利用していけばいいのかを解説する。

キャリアデザインとは?

 前回(「第5回 そもそもキャリアとは何だろうか?」)、よく使うキャリアという言葉は、単なる経歴や職歴だけにとどまらず、個人の生き方そのものを表すことがあると紹介しました。さらに、キャリアを考えるには、自分の才能・動機づけ・価値観を振り返る「キャリア・アンカー」を意識することが重要であるとも触れました。それを踏まえて今回は、「キャリアデザイン」を行う際に気を付けるべき点と、キャリアデザインの有効性について紹介しようと思います。

 この連載で繰り返し述べてきたように、幸せなキャリアを築くためには、キャリアビジョンを定めることが重要です。ビジョンを明確化することで現状の課題が明確になり、越えるべきハードルが見えてきます。それにより、ハードルを越えるためのプランができ、自らを成長させていくことができます。このプロセスの最初の段階、すなわちビジョンを明確にし、課題を認識したうえでキャリアプランを策定する一連のプロセスをキャリアデザインといいます。

キャリアデザインの限界

 自らの人生を振り返ると分かると思いますが、周りの状況も含めて100%予測どおりになるわけではありません。よく語られるサクセスストーリーも後付けによるものが多く、自分はすべて計画どおりに幸せな人生を歩んできたというのは、詐欺師でもなければいえないせりふかもしれません。昨今の状況を見れば、倒産しないと思われていた大企業が破たんしたり、入社時に終身雇用をうたっていた企業が早期退職制度を導入したりと、変化のスピードは加速しており、5年先を読むことは難しい状況にあります。

 従って、キャリアデザインでよくいわれる「5年後、10年後、どうなっていたいですか?」というキャリアビジョンに関する質問は、一見意味がないように思われ、それに基づいたキャリアデザインをいかにうまく行っても、幸せなキャリアは築けないのではないかという疑問がわきます。確かにこの先の状況は見えにくく、当初のプランどおりいかないことは明白です。

限界があるなら必要ない?

 それではキャリアデザインが必要ないかというと、そうではありません。キャリアが生き方そのものである以上、キャリアビジョンは生きていく方向性を決めるもので、永久にたどり着くことはありません。実際には、キャリアビジョンに向けてのプランがその都度達成されていき、少しずつキャリアアップ(成長)していくのです。キャリアビジョンとプランとの違いを具体的にいえば、大きなプロジェクトをマネージャとして手掛けたい、優秀な(優秀と評価される)エンジニアになりたい、豊かな生活をしたい、というのがキャリアビジョンであって、小さなプロジェクトをきちんと完成させる(大きなプロジェクトを任される、信用を獲得する)、仕事に必要な資格を計画どおり取得する、5年以内に年収1000万円を目指す、というのはプランであり、達成されると次のプランに取り掛かるべきものだと思います。

 キャリアが生き方そのものだとすると、生きている時間すべてにキャリアアップ(成長)のチャンスが潜んでいます。その場合、ビジョンがあるのとないのとでは、つかむチャンスの数は大きく異なります。変化が激しければ激しいほど、偶然性は高まるわけですから、偶然を必然に変えるビジョンが余計必要となります。ビジョンを明確に持つことで、無意識の世界の方向性が決まり、偶然性にほんろうされることが減ることになります。

キャリアデザインのポイント

 以上書いたように、キャリアデザインで最も重要なのは、ビジョンの設定です。しかし、正解を求めれば求めるほど、ビジョンは見えにくくなります。その場合に活用できるのが、前回紹介したキャリア・アンカーの手法です。

 ビジョンを考えるには、自分の才能・動機づけ(られるもの)・価値観を知ることが重要です。そこをきちんと考えることにより、ビジョン(方向性)が見えやすくなります。ただし、それでも見えない人は、「満足のいく幸せな人生を送る」といったビジョンにしてみましょう。何が幸せか、ということに関しては、価値観などが反映されます。また、プランを作成するうえでは、日付を付けることが重要です。プラン達成によってキャリアアップ(成長)を図るには、時間も重要な要素ですし、スケジュールすることにより、夢追い人から脱皮できます。現実の転職環境も、年齢が重要な要素であることは否定できません。

 最後に、キャリアデザインは定期的に変えるものだという認識も重要です。ビジョンは大きく変えないにしても、プランは環境変化に応じて柔軟に変える必要があります。これは、環境変化が激しいほど変える必要があります。また、一定の期間はプランを遂行し、達成状況を見ていく必要がありますが、個人的な事情(結婚、出産、親の介護など)は、仕事とは無関係に訪れます。それらの諸事情でプラン変更を余儀なくされることがあります。そういう節目では、ビジョンの確認からキャリアデザインを再度行ってみるのが有益だと思います。ところで、一連の作業には対話する相手が必要になります。なお、弊社の@ITジョブエージェントでも、キャリアカウンセリング(コンサルティング)に秀でた企業をパートナーとして、登録者のキャリアデザインを支援するサービスを提供しています。キャリアデザインを作るために、こうしたサービスを利用するのも1つの方法でしょう。

筆者紹介
辻俊彦 ●2001年3月まで、エンジニア派遣大手企業で事業企画に携わり、 企業のニーズに合わせた育成プロジェクトを立ち上げる。エンジニアの自己実現をサポートするというポリシーの下に、@ITジョブエージェントのサー ビス企画にも関与。

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