Oracleエンジニアを目指す
ORACLE MASTER Gold ポイント解説
第5回 Oracle9iで変更されたDBAのポイント

小野寺智子
2002/9/20

 今回からDBAの解説に移ります。本連載が開始されたころは、まだOracle9i対応試験が始まっていませんでしたが、現在は始まっています。私はOracle9i対応試験が始まっても、基本的に試験内容にそう大きな変更はないだろうと予測していましたが、実際には大きく変わった点もあったのです。そこで今回はまず、DBAの試験範囲のうち、何が変わったのでしょうか。そのポイントを解説していきたいと思います。

■カテゴリ数

 分かりやすいところでは、試験の科目名が変わりました。「DBA」は、Oracle9iから「DBA-I」に変わりました。

 次に試験の項目ですが。カテゴリ数はOracle8iより項目が減りましたが、新しい項目と強化された項目とがあります。表1としてOracle8iとOracle9iのカテゴリ表を掲載したので、見比べてください(詳しくは後述)。

カテゴリ表 Oracle8i DBAとOracle9i DBA-Iの試験対応比較表。多少、カテゴリ名が変わってはいるが、それほど内容が変わったわけではない

■採点方法

 Oracle8iでは、おおよそ問題数が64問に対して合格ラインは約65%程度でした。Oracle9i対応試験が施行された当初は基本的な部分が問われました。以前から変わらない部分をBased、新機能として追加になった部分をMasteryとし、この2つの部分でそれぞれ合格ラインがありました。それに加えて全体で65%に達していないと合格できないようになっていたのです。

 そうした採点方法にも見直しがあったようです。問題数は60問ですが、合格ラインは約65%から約75%に上がりました。詳しくは日本オラクルのWebページを参考にしてください。

 なお、Platinumでも試験内容などが変更されましたが、ここでは触れません。

■DBA-IでのOracle9iの追加機能と新機能

 DBAとしての基本的な部分は変わらないので、大きく変更になったという部分はありません。Oracle9iでは、Oracle8iと比べ、新機能や拡張された部分が400もありますが、少なくともDBA-Iで出題される部分は、それほど多くはないようです。

 追加機能

  • パラメータファイルが1種類から2種類に増えました(Oracleインスタンスの管理)。静的パラメータファイル「PFILE」は以前からありましたが、PFILEを基に作成する永続パラメータファイル「SPFILE」が追加されました。SPFILEはPFILEとは違い、テキストファイルではなくバイナリファイルです。

  • Oracle-Managed Files(OMF)という機能が増えました(Oracleインスタンスの管理)。これによって、管理者がデータベースのファイルを直接管理する必要がなくなりました。OMFを使用するための初期パラメータを設定して管理することができます。なお、カテゴリ上は「Oracleインスタンスの管理」からとなっていますが、ほかのカテゴリにもまたがるため、そうした出題もありそうです。

  • データベースの作成はGUIのツールで作成できます(データベースの作成)。OEMとは別に「Oracle Database Configuration Assistant」というGUIのツールがあります。これを使用してデータベースの作成ができます。そのほかに「テンプレート」があります。また、OMFでも作成することができます。

  • 表領域に「UNDO表領域」という領域が増えました(表領域とデータファイルの管理)。これはUNDO、つまりロールバックのことを指し、このロールバックセグメント専用の表領域が増えました。Oracle9iからはロールバックとはいわずに、UNDOと表現しています。

  • 「自動セグメント領域管理」という管理方法を選択できるようになりました(記憶領域構造)。セグメント内の空き領域の管理を自動管理できるようになりました。以前は空きリストを使用していましたが、自動管理ではビットマップを使用します。

  • 追加になったデータ型があります(表の管理)。Oracle9iの試験が施行になったころから、受験した経験があれば、SQL入門などでお目にかかったデータ型があると思います。そのデータ型が、DBAでは出題されないとはいい切れないので、一応押さえておく必要はあるでしょう。また、表の管理に関する部分についてOracle9iでは、断片化の回避や自動セグメント領域管理をする場合の管理方法も問われます。

  • 使用していない索引を監視することができます(索引の管理)。Oracle9iでは、索引を1度でも使用したかどうかを確認できるようになりました。これを知ることにより、使用していない索引を削除すれば、簡単にパフォーマンスの向上を図れるようになります。

  • アプリケーションロールが追加されました(ロールの管理)。「保護アプリケーションロール」というロールが追加されました。このロールはPL/SQLパッケージでのみ有効です。

  • 各国語サポートの拡張化(グローバリゼーションサポートの使用)。「Unicode」が追加されるなど、各国語のサポートも充実してきました。

  • Oracle Enterprise Manager(OEM)。 「OEM」というGUIのツールでデータベースの管理を行うことができます。これは以前にも出題されたことがあるので、Oracle9iで拡張された部分も含め、確実に押さえておきたいポイントです。

 新しいカテゴリ

  • 新しいカテゴリとして「UNDOデータの管理」があります。表領域にUNDO表領域という領域が増えたことは、すでに説明しました。そのUNDOのデータの管理が問われるようになります。この部分は新機能として、1つのカテゴリとして扱われています。

 今回は、このカテゴリから新機能として試験に出題されそうなものをざっと取り上げました。新しい製品が出荷されて、その製品に対応した試験が施行される最初の段階では、いろいろと変更事項などもあります。そのような場合は全体像から大まかにポイントを絞り、勉強を進めていくとよいでしょう。

■Oracle9iの対応教材

 新試験が施行されてはや半年ほど。ようやくOracle9i対応の試験対策教材などもそろってきました。ここでは簡単に紹介だけしておきましょう。なお、次回からはカテゴリごとに詳しく解説を行っていきます。

オラクルマスター教科書Gold DBA I Oracle9i対応(CD-ROM付き)

林優子、當麻五月著、日本オラクル監修
翔泳社 2002年7月
ISBN4-7981-0267-9
3800円
ORACLE MASTER Gold 認定ガイド DBA I(Oracle9i)編

Jason S. Couchman、Sudheer N. Marisetti著、コスモユノー訳
日経BP社 2002年5月
ISBN4-4-8222-8123-X
3800円
iStudy for Oracle Master Oracle9i DBA I

システム・テクノロジー・アイ
1万5000円
OLN ORACLE MASTER Gold9i

日本オラクル
6万円(学習期間は180日間)


コラム:転職と自分の居場所

 「転職」という言葉をよく聞きます。私の勝手な解釈ですが、転職とは会社をまったく違う職種の会社から転身することだと思っています。特にIT業界で転職という言葉を多く聞きますが、同じ職種に就く方が多いので、これは「転社」なのではないかなと思うことがあります。念を押しておきますが、これは私の勝手な解釈です。

 最近、技術のほかにもさまざまなことを聞かれる機会が多くなりました。特に過去の仕事のことやそこから現在までのプロセスを多く聞かれるような気がします。聞く方全員が驚かれるのは、私が最初はIT業界にいなかったということのようです。

 私の解釈では、私は「転職」をした人間です。IT業界でエンジニアとして仕事をする前は、秘書業務を兼ねたいわゆる“事務員”でした。ただ、何となく時間を費やして過ごしている日々に飽きてしまったことや、特に女性特有のいじめに遭ったり、集団行動に付き合わなければいけないことに疲れを感じたりしていました。

 そうしたときに、さほど大きくない会社で事務のかたわら、偶然にも社内インフラなどを手伝う仕事にあたったことから、エンジニアとして働きたいと思うようになりました。そのときの上司に「自分の適職を探しなさい」とアドバイスされたのがきっかけで、エンジニアとしての道を進むことになりました。上司は私がずっと事務員なのはマイナスだと感じてくれていたようです。

 それからは、少しずつさまざまなことを教えてもらいながら、自分でも少しずつ勉強しました。確かにエンジニアの世界に入ってから、大変なことはありましたが、自分がこの仕事を好きだと思うこと、そしてもっと向上したいと思うこと、その積み重ね、継続が現在の自分を形成していると思います。そして、この業界に入ってからは事務員で仕事をしていたときのような女性特有のいじめなどは経験しなくなりました。

 しかし、資格を取ったから転職ができるといった安易な考えでは、転職は難しいのではないかと思います。また、転職先を自分にとって居心地のいい場所にするのも自分の心掛け次第で大きく変わるものだと思っています。


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