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10年後も通用するキャリアパス ステップアップし続けるための選択 第4回　10年後にも成長し続けている 自分のために、いまできること

南 和気 （みなみ かずき）
SAPジャパン株式会社 ソリューション本部
エンタープライズマネージメントHCM 部長
2009/2/6

ITエンジニアにとって、「10年後の将来をイメージしながら今のキャリアを積む」ということは容易ではありません。しかしERPコンサルタントという職種はIT技術だけではなく、企業の課題解決に向けた幅広いスキルと経験を積み重ねることで、明確に10年後のキャリアパスと成長をイメージすることができる職種です。今回は総括編として、ここまでの内容を振り返りながら、皆様のキャリアパスを見つめなおす機会としていただければと思います。

10年後のゴールをどのようにイメージするか

　変化が激しいIT業界において、10年後にわたってキャリアパスを描くことは難しいことです。自分が目指したいゴールを実現するには一体どのようなキャリアを考えていけば良いのか。これまでの連載を振り返りながら、いま一度その解を述べてみたいと思います。

　今までのITエンジニアにとってのキャリアのゴールというと、プロジェクト･マネージャ、もしくは管理職という選択肢に限られていたのではないかと思います。いまの技術が10年後に通用する可能性は低い業界であり、管理スキルを向上させることのみがキャリアパスのゴールであろうと何となく想像されている方も多く、同時にそれが本当に目指したい姿ではないと考えておられる方も多いのではないでしょうか。

　ERPコンサルタントというキャリアパスは、10年後、20年後においても単なる管理職やプロジェクトマネージャだけではなく、プロフェッショナルなコンサルタントとしてその価値をどこまでも高めていくことができます。「ITスキル」という側面だけではなく、「業務のあるべき姿」と「ERPパッケージのベストプラクティス」という2つを適合させて「企業システムのあるべき姿」を実現していくことが仕事になるため、企業の状況によってその答えは異なり、経験とノウハウがまさにコンサルタントの価値となります。

　加えて、これからのERPコンサルタントはSOAやWebサービスにより、社内だけではなく社外のシステムも含めた新しい業務プロセスのデザインし、創造することも必要とされています。

　つまり、ERPコンサルタントは、10年後の姿として管理職だけではなく、常にさまざま企業の課題に対してITによる解決策を提案し、時代の変化に対応してあるべき姿を語ることができるコンサルタントであり続けることが可能であり、今の経験が10年後のキャリアにもそのまま直結することを実感しながら、日々の業務を行うことができます。

10年後の自分のために、いま行って欲しいこと

　連載の中でも述べましたが、ERPコンサルタントになるための門戸は、現在かつてないほど広く開かれています。以前は、中途採用というと経験者だけに開かれた門でしたが、ERPビジネスの変化や、IT技術の変化に伴い、必要とされるスキルセットも変化し、いまでは、ERPの経験のないITエンジニアの方々が現在のスキルを活用してERPコンサルタントとしてのキャリアをスタートすることができる時代です。実際、多くの中途採用においてERPの経験を問わない募集がかなり増えています。

　BPO、SaaSといった新しいビジネスモデルに対応した新しい発想や、SOAに基づいたITデザインと業務プロセス設計のため、ソフトウェアのスキルだけではなく、ハードウェアやネットワーク、データベースなどさまざまな領域のスペシャリストが必要とされています。ただし、ERPの経験がない中で、ERPコンサルタントとしてのキャリアをスタートするには、まずは「スキルの専門性」が必須要素になります。業界や業務、またはIT技術の何か1つ、もしくは複数のスペシャリストであれば、そのスキルをきっかけとしてキャリアを変えるチャンスは大きく膨らみます。

　ITエンジニアの皆様が、10年後、20年後のキャリアパスを考えるにおいて、経験やノウハウを自分の価値とし続けるためには、ERPコンサルタントは大変魅力的なキャリアパスの１つであると思います。いま、新たな一歩を踏み出すために、4回にわたる連載の中で、何か1つでもヒントとなることがあれば大変ありがたく思います。皆さまがこれからも素晴らしいキャリアを歩まれることを祈念しております。ご愛読ありがとうございました。

筆者紹介
	南 和気（みなみ かずき） SAPジャパン株式会社 ソリューション本部 エンタープライズマネージメントHCM 部長 外資系ITベンダで、製品マーケティングにて多くのビジネスを立ち上げたのち、2004年よりSAPジャパン株式会社に入社。現在は、人事アプリケーションビジネスの責任者として、顧客の人事制度の見直し、人材育成の仕組み作りおよび人事システムの有効活用を支援している。