10年後も飛躍し続けるためのスキル なぜ、SAP ERPに関わるスキルは10年後も通用するのか 第4回 5分で分かる 「10年後も飛躍し続けるためのスキル」習得法 |
有村 大吾郎 (ありむら だいごろう)
SAPジャパン株式会社 ソリューション本部
パートナソリューション部 部長
2009/1/9
本連載では、3回にわたり、「10年後も飛躍し続けるためのスキル」について解説し、また本企画内で実際のERPコンサルタントの方の活躍ぶりを紹介しました。これから経済環境が激変する中、最前線のITエンジニアとして活躍し続けるには、将来を見きわめたスキルアップ/キャリアアップが鍵を握ります。ここで改めて過去の解説をおさらいし、これからの皆さまのスキルアップの参考にしていただければと思います。 |
ERP関連ビジネスには、スキル習得の機会があふれている |
本連載は「10年後も通用する」をテーマにして「キャリア」と「スキル」という2つの側面に分け、こちらの連載は「10年後も生かせるスキル」をテーマに話を進めましたが、いかがだったでしょうか。
一言で「スキル」といってもさまざまな観点があることから、まずはIT業界におけるスキルの整理をして、その後10年後にも生かせるスキルが何かを特定しました。そして、そのスキル獲得にあたって、ERP関連ビジネスに携わることがどのような形でスキル習得をもたらすのかを説明してきました。また最後には、IT業界における潮流となっている「SOA」時代を迎えるにあたり、どのようなスキルが求められるのかを解説し、それらを徐々にでも身に付けていくために必要な観点や意識も紹介しました。これらについて、最後にもう一度おさらいをしたいと思います。
スキル習得のコアとなる3つのポイント |
1.ビジネススキル/インダストリスキルの習得方法
IT業界にいると、とかく「スキル」というと「技術的な力=テクノロジ」をイメージすることが多いのですが、テクノロジは日進月歩で進み、覚えたことがすぐに陳腐化したり、使われなくなってしまうことがあります。また技術的な観点以外では、パーソナルなスキルとして「聞く力」「リーダーシップ」などが重要であるということがさまざまな本でもいわれています。
しかし、人から何かを適切に聞くためには、的確に状況を把握したり、少なくとも状況を想定する=仮説を立てた上で、話を聞く必要があります。ましてやリーダーシップを発揮するには、物事を前に進めていく力が必要ですので、そこでも状況を把握したり、課題を特定したり、解決策を想定する力が必要になります。
それをどうやって身に付けるのか? 何か1日で力が付くようなトレーニングがあれば良いですが、これらは一朝一夕に身に付くものではなく、基本的にはいろいろな経験の中から身に付けていけるものです。しかし1ついえることは、より多くの「ビジネススキル(業務知識)/インダストリスキル(業界知識)」が、状況をすぐに把握して仮説を立てるのに直接的に役立つという事です。
つまりこの「ビジネススキル(業務知識)/インダストリスキル(業界知識)」をいかに早く効率的に身に付けるかがポイントとなり、その方法の1つがERPを学びERP関連のビジネスをすることになります。なぜなら、特にSAP ERPは、日本だけでなく世界中の企業のビジネスのやり方や業界特性が組み込まれているものなので、特定の業界の1企業で、1つの業務に取り組むのと比べると、ずっと幅広くビジネススキル(業務知識)/インダストリスキル(業界知識)」を身に付けることができます。この可能性を意識すれば、1つのビジネスアプリケーションを学んでそのままERPビジネスで生かすだけで、単に機能を覚えるだけでないスキルが付けることが可能なのです。これが、まず最初の記事でお伝えしたことでした。
2.SOA時代に必要なスキルを習得する方法
SAP ERPを学ぶことは、単にパッケージアプリケーション・ソフトウェアの「機能」を学ぶことではなく、IT業界に関わらずさまざまなビジネスシーンで生かされる「パーソナルスキル/ソフトスキル」を身に付けるきっかとなり、またその基礎となる「業務知識/世界中の経験」を素早くもたらすものだとお伝えしました。しかし、それだけで十分なスキルが身に付くわけではなく、そこから更なる高みを目指す意識が重要です。それは次に来るべきSOA時代に対しても必要な心掛けになります。
まずSOA時代には、ITシステムの役割について新しい発想や視点はもちろんのこと、従来のITシステムが果たした役割との違いを明確に意識する必要があります。単に業務を「効率化」するのではなく、SOA時代のITシステムはビジネスの変化にすばやく追従し、またビジネスそのものに変化をもたらす、さらには人・企業・ビジネスを従来になかった形で繋げて「ビジネスネットワーク」を構成していくものです。
このSOA時代の考え方のベースとして、「サービス」という単位でビジネスとITシステムを捉える必要があります。
このようなことから、従来のITシステムプロジェクトにおける役割が、このSOAというアーキテクチャを生かす形に変化・進化してきています。それぞれの役割がどのように変わり、どのようなスキルが求められるかの詳細については、第3回「いまのERPを取巻くキャリアパスの真実に迫る!」の連載を確認していただければと思いますが、前回もお伝えしたSOAに基づいたシステムの大きなポイントは、システムの柔軟性が向上する分、そのシステムを構築に関わる「人」が、従来以上に成否の鍵を握ることになる、ということです。そのため、今後はさらに、単なるITスキルだけでなく業務知識や業界知識を身に付けてより高い発想・仮説・検討のスキルを生かしていく必要があります。逆にいうと、それらのスキルを習得するチャンスがあるということです。
3.ずっと生かせるスキルで新たなチャレンジを
今までお話したことを改めて通しで見てみると、必要なスキルとしては同じことを言っているように聞こえると思います。実は確かにそうなのです。
もともとこの連載のテーマが「10年後も通用する」をテーマにした「10年後も生かせるスキル」というものでした。そこで、ERPに関わる業務をすることも、来るべきSOA時代に即した業務に従事することも、または今は想像できない何か新しいビジネスに取り組むことに対しても、すべてにおいて必要とされ基礎となる重要なスキルは何か、私自身が新卒・中途に関わらず採用面接をする中でいつも意識するスキルなどは何かを考えました。
その結果、私は、程度の差はあれども10年後もその重要性が変わらないと思うスキルを想定して、このように執筆させていただきました。
どのようにしてその「10年後も生かせるスキル」を身に付けるのかは、今回ご説明したようなことを意識したうえで、取るべき道を変えたり、仕事の仕方を変えたりすることで随分と変わると思います。SAP ERPを中心にしたビジネスの経験をすることが、それらのスキルを身に付ける良い手段の1つであることはお伝えしてきましたが、この連載により、SAP ERPでスキルアップする方が増えれば、こんなに喜ばしいことはありません。
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最後に、一般的にもさまざまな観点で語られる「スキル」という一見簡単に見えて悩ましく難しいテーマの連載でしたが、本連載を最後まで読んでいただいた皆様に感謝の念をお伝えしたいと思います。本連載が少しでも読者の皆様の参考になれば幸いです。また、本連載を読まれた方が一人でも多く、SAPソリューションの世界へ参加していただけることを心から願っています。ありがとうございました。
筆者紹介 |
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有村 大吾郎(ありむら だいごろう) SAPジャパン株式会社 ソリューション本部 パートナソリューション部 部長 SAPジャパン株式会社入社後、SAP ERPコンサルタントとして様々なSAP ERPプロジェクトへ参加。その後、SAP初のCRMソリューションを日本で立ち上げ、SAP CRMソリューションのプリセールス(技術営業)活動とコンサルタントとしてSAP CRM導入プロジェクトの両方を経験し、SAP CRMソリューション部長となる。現在はSAPパートナ企業のSAPビジネスを支援するプリセールス部隊の責任者として、SAPソリューションの拡販を推進している。 |
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