ITエンジニアとしてキャリアを構築するなら「業務知識」は必須の知識となる。お客さまの業務を知らずして優れたシステムを構築できるわけがない。だからこそ、多くのITエンジニアたちは業務知識の習得に頭を悩ましている。本書は、そんなITエンジニアに向けた業務知識習得のための実践マニュアルといえる。そもそも業務知識とは何か？ 「見込生産方式」って？ 「実地棚卸」なんて言葉、聞いたことある？
　そんな疑問や業務特有の用語を明確にするところからスタートし、業務知識を習得するための「効果的なヒアリング方法」など、実践で役立つ内容がコンパクトに凝縮されている。財務会計・管理会計、人事、給与など、どのような業種にも共通する業務知識はもちろん、製造・流通・物流・サービスなど業界ごとに概要と課題、システム化のポイントが読みやすくまとめられている。
　 常に持ち歩いて参考書として読み込んで、使い込みたい1冊であろう。読み込む視点を少し変えれば、「ITシステムから」さまざまな「業務の特色」を浮き彫りにしてくれる書籍ともいえる。この1冊で世の中のいろいろな仕事の成り立ちが分かったような気持ちになれるのがいい。すべての「社会人」に一読をお勧めしたい。（ライター・下玉利尚明）