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Book Guide



 

■プロジェクトマネジメント
実際に利用できるような工夫がいっぱいのPMの入門書
実践! プロジェクト管理入門 増補改訂版
●梅田弘之著
●翔泳社 2006年9月
●2200円+税 ISBN:4-7981-1225-9

 2000年以降、プロジェクトマネジメントが脚光を浴びるようになり、その過程で、「PMBOK」も注目を集めるようになった。プロジェクトマネジメントの強化が緊急の課題となったが、現在も解決できたとはいえない状態にあるのではないだろうか。一番の問題は、さまざまな書籍などでプロジェクトマネジメントの方法論を理解したとしても、それを実際にどう適用し、どう運用すればいいのかという問題だろう。
  本書はそのような問題意識に立ち、「入門書」とうたってはいるものの、実際にどう適用するか、運用するかを中心に書かれている。そしてプロジェクト管理力の強化策として7つのステップを挙げている。重要なことはこの7ステップを、プロジェクトごとに繰り返してプロジェクトマネジメントを強化することだと指摘する。
  本書のもう1つの特徴は、プロジェクト管理ツールとして、Excelのテンプレートを出版社のWebサイトからダウンロードして利用できる点だ。ここにも入門書ながら、実際に使えるようにするための工夫が見られる。プロジェクトマネジメントに危機感を持つITエンジニアに一読をお勧めしたい。(@IT自分戦略研究所 大内隆良)

システム開発は「見える化」が成功の鍵!
ITプロジェクトの「見える化」 下流工程編
●独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)著
●日経BP社 2006年6月
●1714円+税 4-8222-6201-4

 IT業界では随分と長い間、「優秀なプロジェクトマネージャがいない」といわれ続けてきている。つまりは、それだけ多く「問題プロジェクト」が発生しているということ。そもそもシステム開発のプロジェクトが「火を噴いて」しまうのは、当然のことながら「プロジェクト全体の進ちょく管理ができていない」からである。それではどうすればプロジェクトの進ちょくをうまく管理することができるようになるのか。そんなシステム開発における、とてもプリミティブな「永遠の課題」についての実践的な解決策を提示してくれているのが本書といえる。
  具体的な内容をひと言で紹介するならば、システム開発における進ちょく状況全体を「見える化」する方法を丁寧に解説してくれる。ただし、システム開発プロジェクトを成功に導くには、コミュニケーションも重要であることから、「見える化」のみならず、プロジェクトの遂行を阻害する根本問題を指摘する「言える化」、そこで明らかになった問題を改善する「直せる化」といった取り組みについても解説してくれる。「見える化」「言える化」「直せる化」の3つの視点でプロジェクトに当たろうというものだ。
  また、単なる解説書にとどまらず、独立行政法人 情報処理推進機構のソフトウェア・エンジニアリング・センターが収集したさまざまなシステム開発の情報をベースに構成されているのも特色。システム開発プロジェクトの現状を的確に確認できる「チェックシート」をはじめ「失敗事例データベース」など現場で役立つ実践的なツールも紹介されている。(ライター・下玉利尚明)

システム開発における品質向上のための基本と実践のポイントとは?
若手SEのためのソフトウェアテストの常識
●秋本芳伸、岡田泰子著
●ディー・アート 2006年1月
●1800円+税 4-88648-750-5

 「まったく問題のないシステムが、あるはずがない!」。この視点に立って書かれたのが本書である。そのとおり。バグがゼロのシステムを開発することは不可能に近い。だったらどうする……。「バグがあるのは当たり前と開き直ってそのまま納品する」あるいは「ソフトウェアテストでバグを減らす」か。
  システム開発の現場では「取りあえずそのまま納品」が意外に多い。その理由は、ソフトウェアテストの本当の意味合いや効果的な実践方法がしっかりと理解されていないからだ。ソフトウェアテストとは「バグを発見するため」の作業である。納品前に「ざっとテストしてみました」といったものではなく、ソフトウェアの品質向上のために不可欠な「システム開発の重要な工程」なのである。その意識のもとに、効果的な実践方法を具体的に記してくれている。
  全6章で構成され、ソフトウェアの品質についての丁寧な解説から始まり、第4章以降で「ソフトウェアテストを設計するときの10の心得」「ソフトウェアテストを実施するときの10の心得」「ソフトウェアテストの設計と実施に必要な能力」と、現場で役立つ内容が網羅されている。若手SEを対象に「テストの仕様書をしっかりと作って」「正しく実行することの重要性」が読みやすく、分かりやすく記されている。
  付録として「ソフトウェアテスト仕様書の書き方/しなければならない一覧表」が添付されているのもとてもありがたい。「ちゃんとソフトウェアテストをして品質を高めたいな」というITエンジニアであれば、いつもそばに置いて参考書として使うのがベスト。(ライター・下玉利尚明)

プロジェクトの失敗例から学ぼう
30のプロジェクト破綻例に学ぶ「IT失敗学」の研究
●不条理なコンピュータ研究会/日経コンピュータ編
●日経BP社 2006年2月20日
●1800円+税 4-8222-0799-4

 IT業界を取材しているとよく耳にするのが、「腕のいいプロマネ(プロジェクトマネージャ)って本当にいないよね」というひと言。プロジェクトはよく「火が付く」し、何とか納品にこぎつけても結果的に「コスト割れ」。現場で働くITエンジニアたちも「うちがやるプロジェクトっていつも『同じ失敗』を繰り返してるよね」と嘆いているのでは……。
  しかし、ITシステムの導入がうまくいかないのは「プロマネだけの責任」ではないはずだ。ITシステムを導入する企業の経営者や情報システム部、システムインテグレータやベンダのITエンジニアなど、そのプロジェクトに影響力をもたらす人たちの「思い込み」や「わがまま」、そして「知識・経験不足」が原因で企画や開発が失敗するケースが少なくない。
  本書では、失敗の原因をITシステムを導入する企業側の「無責任な経営者」、勉強不足の「頼りなき情報システム部」、知識や経験が足りない「実力不足のベンダ」の3つの視点で分類。それぞれで「CIOが暴走」「いいかげんに仕様確定」など、現場でありがちな具体的な原因を示しながら30もの「プロジェクト破綻例」を紹介。そのうえで「本来はこうやるべきだった」という解決の方向性を示してくれる。これからプロマネを目指すITエンジニアの人たちなら、この本を「反面教師」にすれば、「自分がプロマネだったら絶対こうする!」と「プロマネの視点」でプロジェクト全体を見渡す訓練にもなる。経営幹部や情報システム部の人たち、そしてITエンジニアにとって必読の1冊。(ライター・下玉利尚明)


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