Tech総研
2005/4/20
ネットオークションや本のリサイクルでちょっとした小遣い稼ぎをすることは珍しくない。エンジニアなら業務で得た知識を専門雑誌などに寄稿したり、Webサイトやブログを開設して広告収入を得たりすることもできる。こうした副業の実態と、本格的に行う場合の注意点を紹介する(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載)。 |
■全体の2割が何らかの副収入あり
今回の調査によると、何らかの形で副収入を得ているエンジニアは、全体の20.7%に上る(図1)。副収入の中身と金額は人さまざまだが、あえて分類を試みた。図1 この1年間で会社の給料以外の副収入はあったか |
まず、自分の仕事で得たノウハウや経験を何らかの形で生かす「仕事派生型」。例えば、「雑誌原稿料・写真料で8万円」(製造業・34歳)というもの。おそらくこれはコンピュータやIT、エレクトロニクス関連の雑誌のライターとしての原稿料だと思われる。昔からこの手の雑誌は、外部からの寄稿としてプログラミングやネットワークなどを本業とするエンジニアに原稿を依頼することが多かった。原稿料の相場は決して高くはなく、雑誌の場合、400字換算で2000〜3000円。ページ単価でも1万円程度、高くても2万円止まり。ただ、原稿料そのものは、ライターだけで食べている専業の人と、副業の人との間でそれほど大きな格差はない。
副業の場合、20ページもの特集記事を1人で請け負えば、20万〜30万円の副収入にはなり、けっして小さくない額だ。雑誌の記事だけでなく、単行本の執筆者として活躍する“副業人”も業界には少なくない。
「2年前、コンピュータの資格取得に関する本を専門出版社から出しました。私と友人との共著。130ページ分ほどの原稿を3カ月かけて書きました。収入は初版印税分で50万円ほど。決して割のいい仕事ではなく、残業から帰った深夜にヒーヒーいいながらの原稿書きで心身ともに疲弊しましたが、自分が持っている資格や技術に関連する話だし、自分の生半可な知識体系を見直すことができるよい機会だったと思います。機会が与えられたらまた挑戦したいです」と語るのは、エンジニアのAさん(33歳)だ。また詳細は不明だが、似たような例として「顧客からの内証の依頼で3万円」(システム開発・37歳)を稼いだ人もいた。
「仕事派生型」で副収入を得ているエンジニアの例 |
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■伸びるネットオークションが副収入源に
最近増えているのが、不用品をオークションサイトで売って収益を上げる「ネット型」。最大手の「Yahoo!オークション」には現在、常時450万件以上の出品があり、エンジニアのというより国民の副収入源という感すらある。コンピュータ、家電、本、CD、果てはクルマからペットまで、サイトの規約に抵触しない限り出品できないものはない。
「ネットオークションで毎月3万円程度」(品質管理・34歳)と毎月ほぼ一定額の売り上げを出す人もいる。自分のホームページをアフィリエイトプログラムに参加させたり、企業のバナー広告を張ったりして収入を得るのも、ネット型の典型だ。ネットマーケティング会社のアンケートサイトなどに登録し、回答者やモニターになってポイントをためるというのも、この2〜3年増えてきた副収入のパターンである。
3番目に分類したいのが、「投資・ギャンブル型」。その1つが株式投資だ。株式投資を競馬、パチンコなどのギャンブルと一緒にするのはいかがなものかという読者もいると思うが、元本保証の貯蓄でないことは確か。もうかるときはもうかるようで、「株式売買:10万円」(機械系・32歳)、「外国為替のインターネット取引:10万円」(システム開発・29歳)、「外貨預金、投資信託:20万円」(コンサルタント系・36歳)などの回答が寄せられている。株式もオンライン取引が伸びており、自宅(あるいは内証で仕事場)で気軽に始められるようになったことが大きな要因だろう。
■年間20万円以上の所得は要確定申告
さて、こうした副収入、気になるのは確定申告の方法だ。給与所得者はほとんどの場合、年末調整の手続きが確定申告として扱われるので、高額な医療費支払いや住宅購入などがない限り、原則として自分で確定申告を行う必要はない。
ところが、ネットオークションや原稿書き、株式投資など副業による所得が年間20万円以上ある人は、申告の必要があるのだ。ネット型でいえば、自分が運営するネットショップによる収入、ネットオークションへの出品、有料のメルマガ発行、アフィリエイトやバナー広告収入などが含まれる。ちなみに、この20万円というのはあくまでも“所得”のこと。収入額から原価や必要経費を除いた部分が相当する。必要経費には通信費、光熱費、送料などを含めてもよい。ほかの経費も認められるケースがあるので、領収書はちゃんと保存しておきたい。
確定申告の具体的な方法については、専門のサイトや書籍などを参考にしてほしいが、気を付けるべきは、会社に内証で副業をしている場合。確定申告で住民税の徴収方法を指定する際は、“普通徴収”という方法を選ぶこと。こうすれば副収入分に課税される住民税は、勤務先ではなく個人宅に直接請求されるので、副収入の状況を会社に把握されることがなくなる。
☆本業とのバランスにだけは気を付けて | |
このテーマに関してはとても身に覚えがある。筆者自身、会社員としてエンジニアをしていたときにパソコン通信が縁となり、技術解説書を執筆することを始めた。一昔前だとこうした例は珍しくなかった。 最近ではアフィリエイトによる副収入が普及してきた。サイトやブログはすぐ開設できる。あとはちょっとバナー用のスクリプトをページのコードに混ぜればいい。エンジニアなら技術的な敷居は低い。ただし、ちゃんとした収入へとつなげるためにはいろいろと戦略や工夫が必要だ。 副業をすればそれなりに収入を得られるが、それ以外にもメリットはあると思う。技術解説の執筆なら知識を整理することができる。お金の動きを直接的に見ることは金銭感覚を養う機会にもなる。ただ会社員として月収を得るだけでは、お金の動きに無頓着になりがちだ。 会社で禁止されていないのなら、何か副業を始めてみるのもいい契機になるかもしれない。しかし収入があるとついのめり込んでしまいがちだ。本業に支障を与えないようにすること。それだけは気を付けてもらいたい。 (加山恵美) |
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