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第13回 資格取得に自腹で1万5000円は多いか、少ないか

Tech総研
2005/5/7

自己啓発にどれだけの金額をつぎ込めるだろうか。身銭を切るのは確かにつらいが、評価アップやキャリアアップにつなげることができれば、投資の価値はある。今回の調査によると、エンジニアは平均で月に1万5000円を自己投資しているという(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載)。

勉強は楽しんで続けるのが、成功の秘けつ?

 忙しい仕事の合間を縫って勉強するのは、決して楽なことではない。IT系技術職であれば、各種のベンダ資格の1つや2つは持っていて当然だろうし、英語のスキルなどは、業種・職種を超えたビジネスパーソンの必須科目である。とはいえ、明確な目標を定め、日々の習慣にし、さらにそのプロセスを楽しむことができないと、勉強はなかなか長続きしないものだ。

 勉強を習慣化するには「楽しみながら」という観点が重要。1人よりも仲間と一緒の方が楽しいと、受験仲間が集うWebサイトやメーリングリストで、合格者のレポートなどを読みながら傾向と対策を練る人も少なくない。クイズ形式の問題を出題しているサイトもあり、「CCNAの試験はそれでクリアした」と豪語するネットワークエンジニアもいる。

 そして勉強の励みになるのは、やはりお金。単に資格取得の祝い金や手当が目的というより、「その資格を取ってより高い給与の仕事に就きたい、移りたい」という理由は、立派なモチベーションになる。

エンジニアは、月平均1万5000円をキャリアアップに使っている

 今回、Tech総研は300人のエンジニアを対象に、資格取得や自己啓発のため月にどれぐらい自分のお金を払っているかという調査を行った。テキスト代から受験料まで100%会社が面倒を見てくれるというラッキーな人もいるが、「合格後の申請で初めて会社が費用を負担してくれる」、つまり合格しない限りは持ち出しという人や、「会社の費用負担は限定的で、一部は自分が出さなければならない」という人がほとんどのようだ。

 中には、「自己啓発は文字どおり個人の問題。いまの仕事とは直接関係ない分野に行くための勉強をしているので、会社からの補助は期待していない」と割り切る人もいた。

 調査結果によれば「月々の給与を資格取得や自己啓発などキャリアアップのために使っていますか?」という問いに、37%がYESと答えている(図1)。支出の内訳は、「学校・セミナー・通信教育費など」が34%、「書籍・技術誌など」が53%、両方を併用しているのは11%となった(図2)。

図1 月々の給与をキャリアアップのために使っているか? 図2 資格取得や自己啓発などキャリアアップのための手段
 

 さて肝心の金額だが、支出項目別の平均は「学校・セミナー・通信教育費など」に月額1万6000円、「書籍・技術誌など」に1万3000円、「両方を併用」は1万4000円、「そのほか」に1万3000円。それらすべての平均が1万5000円となった。これを多いと見るか少ないと見るか。

 例えば、ある人の月額給与の手取りが35万円だとしよう。その人がデータベース系のベンダ資格のために通信教育費1万6000円を自前で払っているとする。この額の月給に占める割合は4.5%。つまり、自己投資額を手取り給与に占めるパーセンテージで表してみると、その多寡が見えてくる。

少ない投資で高い効果を上げるためには

 個人の自己投資費用は、会社の研究開発費に似ている。企業も次の収益源を求めて新たな研究開発に投資しているのだ。だからこれと比べてみるのも面白い。

 日本の製造業の売上高対研究開発費は、大企業で3〜4%が平均といわれる。中小企業になると2%を下回る。中には製薬メーカーなど10%を超えるところもあるが、5%以上となると経営者もまずまずといった顔で話すもの。従って、この「5%」を1つの目安に考えてみてはどうだろうか。手取り40万円の人なら2万円。月の飲み代に比べて、果たして多いだろうか、少ないだろうか。

 もちろん、できるだけ少ない投資で高い効果を得るのが望ましいことは確か。雇用保険に通算3年以上加入していた人が利用できる「教育訓練給付制度」なども積極的に活用したいところだ。これは、資格取得に要した費用の2割(上限10万円)から4割(上限20万円)を国から援助してもらえるという制度。すべての資格に適用されるわけでなく、厚生労働省の認定した講座のみが対象となるが、英会話学校からコンピュータ・資格のスクールのものまで、対象になっている講座の数はかなり多い。適用講座やスクールを検索するには、中央職業能力開発協会の検索システムが使える。

 最後に、今回のアンケートから一部を抜粋して、回答者の具体的なお金の使い道を示してみた(表1)。参考にしてほしい。

月々の投資額
キャリアアップの内容
職種
年齢
年収
2万円
英語教材に1万円
経営学の教材に1万円
コンサルタント
29歳
500万〜
600万円未満
2万円
通信教育に1万円
英会話に6000円
本に4000円
サービスエンジニア
31歳
600万〜
700万円未満
3万円
IT系スクールに3万円 オープン系システム開発
38歳
700万〜
800万円未満
2万円
英会話に1万5000円
仕事関係の書籍購入に5000円
オープン系システム開発
30歳
500万〜
600万円未満
2万円
資格取得のため通信教育費に1万5000円使用 回路・システム設計
33歳
500万〜
600万円未満
1万円
資格試験受験費用に5000円
資格試験用書籍購入に5000円
研究、特許
39歳
500万〜
600万円未満
2万円
英会話スクールに1万2000円
技術系の通信教育に5000円
本代に3000円
生産技術
35歳
500万〜
600万円未満
2万円
簿記専門学校に2万円 生産技術
31歳
800万〜
900万円未満
1万円
資格試験教材費2000円
通信教育教材費4000円
講習会参加費に4000円
品質管理
29歳
500万〜
600万円未満

0円

定期的な自己投資は行っていない。年に数回、仕事用の専門書(4000〜5000円)を購入する程度 Web系システム開発
34歳
400万〜
500万円未満
2万円
本代に3000円
コンピュータパーツ代に5000円
ソフト代金に5000円
小道具代金に7000円
Web系システム開発
30歳
500万〜
600万円未満

☆金額にとらわれず、用途や計画をしっかりと

 今回の調査では、エンジニアの自己投資額は平均で月に1万5000円と出た。決して少ない額ではない。だが、金額の大小だけにとらわれることもないだろう。

 筆者もエンジニア時代、自費で資格試験を受験したことがある。当時の状況や会社の雰囲気からするとやや異質のことだった。だがまだエンジニアとしての実績が乏しかったので、希望する技術の仕事にアサインされるためには、資格でスキルを証明するのも1つの手段だと考えたのだ。少なくともスキルアップには役立ち、熱意も伝わったように思う。

 「スキルアップも仕事のうち」と社員を育ててくれる会社もあるが、そういう太っ腹な会社は少なくなってきた。だがそれを嘆いていても始まらない。より実践力があれば、より優位に立てると前向きに考えよう。

 自費だと投資できる範囲は限られてしまう。だが効果は、投資の額によって決まるのではない。どう投資すればより大きな効果が得られるか、よく戦略を練ろう。

(加山恵美)


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