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第14回 デジタル家電業界が欲しがる専門スキルとは?

Tech総研
2005/6/1

次々と登場するデジタル家電。小型で機能や目的が絞られているものの、性能は旧型のPCをしのぐほどだ。デジタル家電のブレイクを受け、PC向け開発から組み込み系開発へ転身するエンジニアが増えている。新境地で生き残る道やいかに(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載)。

 

PART1
企業視点で大解剖:
デジタル家電業界が欲しがる専門スキルとは?

 キャリアを匿名で公開し、企業からのアプローチを待つスカウト転職。スカウトサービスに登録する際には、職務経歴とともに、自分の経験・スキルをスキルシート上でチェックする。企業側は登録している膨大な人材の中から、採用するポジションに必要な経験・スキルで求める人材を検索し、スカウトメールを送信するという仕組みだ。

  いま、どんな経験やスキルで検索する企業が多いのか。持っていれば、数は多くないが必ずスカウト企業が現れるような希少価値の高いスキルはあるのか。そんな視点で、デジタル家電業界の人材ニーズを追ってみたい。

  【ソフトウェア技術者】
組み込み型ソフトウェア開発経験があれば、業種の壁を越えられる

 現在、デジタル家電業界では、ソフトウェア関連スキルを持つ人材を積極的に採用している。その背景にあるのは、まさにデジタル家電自体の登場、そして各社がしのぎを削る新商品の開発競争だ。

■プロダクト・OS開発系
■制御系
■Windows CE
■Linux
■C言語
■C++

表1 企業が求める
   ソフトウェア関連スキル

 例えば、ホームサーバにキッチンやトイレタリーの家電のすべてを接続させるというように、ハードウェア製品同士を接続して機能させるためには、ハードウェア製品に組み込むソフトウェアの存在が欠かせない。いまや家電業界にはソフトウェア技術者が必須というわけだ。

 ソフトウェア技術者の中でもニーズが高いのは、ハードウェア製品への組み込み型ソフトウェアの開発経験を持つエンジニア。C、C++などを経験していれば、ゲーム機器、自動車など異業種からの転職も十分可能だ。

 OSで見ると、Windows CEでの開発経験を求められるのが主流だが、最近ニーズが高いのはLinuxの経験、知識、スキル(表1)。他企業に先駆け、Linuxによる新たな事業モデルを確立し、事業収益を高めることに狙いがあるようだ。製造業に勤めるソフトウェア技術者を求める企業が多いとはいえ、Linux経験者に限っていえば、ビジネスソフトウェアなどのエンジニアの転職も歓迎されるほどの「売り手市場」が続いている。

  【通信・ネットワーク系技術者】
セキュリティとワイヤレス通信分野のスキルは売り手市場

 デジタル家電業界における通信・ネットワーク系のスキルは、ソフトウェア関連スキルと同様、これまで単体で機能していた家電にモデムやルータが付いてネット接続が可能になったことにより生まれた、比較的新しい人材ニーズである。デジタル家電以前はほぼゼロだったのだから、各企業とも需要に供給が追いつかない状況にあり、家電業界を狙う転職者にとっては大きなチャンスといえそうだ。

■USB
■IPv4
■IPv6
■TCP/IP
■VoIP
■IEEE1284
■IEEE1394

表2 企業が求める
  通信・ネットワーク系スキル

 ハードウェア製品をネットにつなぐために欠かせない、あらゆる通信技術が必要とされている(表2)が、中でもセキュリティ分野のスキルに注目が集まる。身の周りのハードウェア製品すべてがネットに常時接続されれば、外部からの攻撃や情報漏えいのリスクが無限大に高まる。次世代製品の開発においては、そうしたリスクへの対抗策が重要な課題になる。

 携帯電話や無線LANなどワイヤレス通信による家電制御も、次世代製品では一般的になるだろう。ワイヤレス通信分野のスキルを持つ技術者も、今後はデジタル家電業界でのニーズが高まりそうだ。

  【電気・電子技術者】
小型化・軽量化の開発競争の中で
ブレイクスルーをもたらす人材に注目

■携帯電話・端末
■音声機器
 (オーディオ・ラジオ系)
■画像・画像処理機器
 (DVD・デジタルカメラなど)
■AV機器
■デバイス開発関連
■概念設計・基本回路設計
■光学設計
■電気・電子制御設計
■画像・音声圧縮技術

表3 企業が求める
   電気・電子関連スキル

 家電業界の悩みの1つは、製品サイクルがどんどん短くなっていること。できるだけ短期間で新製品を開発し、できるだけ早く市場に投入しなければ、商機を逸することになりかねない。新製品開発におけるミッションは「小型化・軽量化という条件を満たしたうえでの高性能化」が変わらず主流となっており、それに必要な要素技術を持つ人材に注目が集まっている(表3)。

 性能を高めながら小型化・軽量化を実現させるには、CPUや音声機器、デバイスなどの機器とソフトウェアをどのように組み合わせ、制御すればいいのか。小型化・軽量化はすでに限界に近いところまできている。デバイス開発、概念設計や基本回路設計、制御、圧縮技術などの技術分野において、新たな発想によってブレイクスルーをもたらす人材を企業は求めている。

  【機械・メカトロ系技術者】
新製品開発の短期化により、解析技術者のニーズ急騰

■通信機器・端末
■コンピュータ周辺機器・OA機器
■デバイス・電子部品
■音声・画像機器
■数値解析・実験・解析
■概念設計・基本機械設計
■詳細機械設計
■詳細外装・機械・筐体設計
■CAD・CAM・CAE

表4 企業が求める
   機械・メカトロ関連スキル

 機械・メカトロ関連のスキルにおいても、小型化・軽量化の波が人材ニーズに影響を与えている。

 中でも顕著なのは外装設計、メカニズム設計。例えばデジタルカメラの開発であれば、小型化・軽量化しても強度や使い勝手の良さが失われない外装の形状の開発、レンズの出入り、シャッターの感度などを保つためのメカニズムの設計などが要求されるからだ。

 さらに製品サイクルの短期化により、モックアップを製作せずに、3D CAD、CAMはもちろん、CAE(computer aided engineering)を使った解析業務によって、開発工程を短縮することが主流になってきた。こうした技術を駆使し、バーチャルな解析に携わった経験を持つ人材は、いま引く手あまたといえそうだ(表4)。

 

PART2
要素技術を束ね、新たな価値を創出できるプロマネニーズが高い

技術の分野別のニーズに言及してきたが、どんな分野にも共通してニーズが高いのが、プロジェクトマネージャ経験である。このニーズの背景には、これまで述べてきたハードウェア製品とソフトウェアの融合、製品開発の短期化など、家電業界におけるさまざまな波と無縁ではない。

 ハードウェア製品がネットに接続されることで、1つの製品にかかわる要素技術の数は増えた。それらを束ねて高機能な商品を開発し、短期間で市場に投入できるかどうかは、プロジェクトマネージャの力に依存することになるからである。

 これからますます、ハードウェアとソフトウェアの垣根は低くなる。それが顕著に表れているのがデジタル家電業界だろう。「異業種だから」と二の足を踏まず、1歩踏み出してみれば、これまでの経験・スキルを生かせるフィールドが見つかる可能性は十分にありそうだ。


☆デジタルなモノづくりの世界はどうか

 デジタル家電業界の組み込み系は、もはやPC向けエンジニアにとって未知の世界ではなくなりつつあるはずだ。まだ実際に足を踏み入れていなくても、少なくともカーナビやハードディスクレコーダーなどの製品を所有しているか、エンジニア仲間が転職をしたという話を耳にするかしているのではないだろうか。

 デジタル家電業界は、かつての組み込み系に比べれば、PC系から転身する際の垣根が低い。またソフトウェア開発のノウハウ、ネットワーク知識、デバイス設計などのスキルを生かすことができる。

 今後あらゆる家電がデジタル化やネットワーク化するのは必至だろうから、転身に興味があれば早めに動いておくといいだろう。純粋にユーザーとしてデジタル家電製品をいじるのが楽しいなら、開発の素質があるかもしれない。

(加山恵美)


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