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第17回 どう反撃する? エンジニアvs.営業壮絶バトル

Tech総研
2005/8/24

本来は味方のはずの営業とエンジニア。だが互いへの理解が不足すると衝突することもある。今回はバトルに発展したケースを5ラウンドにわたり紹介する。うまく付き合うにはどうしたらいいだろうか(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載)。

 

その1
我慢の限界!
営業に猛然と立ち向かったエンジニア、怒とうの5ラウンド

 「営業はエンジニアの仕事をまるで理解していない!」Tech総研がエンジニア100人に対して実施したアンケート調査によると、そう思っているエンジニアは多い。「むちゃな案件(コスト・納期)を取ってくる」「仕事だけ取ってきて、後は丸投げ」などなど……(図1)。このような理由をきっかけに、営業とエンジニアの衝突は日常茶飯事となる。

図1 営業と衝突してしまう最初のきっかけ

 しかし心の中に営業に対する不満があっても、面と向かって話せず、うやむやになってしまうケースが多い。それでは根本的な解決にはならない。解決策を探るため、まずは実際にあったエンジニアと営業との壮絶バトルシーンを紹介しよう。

ROUND1
「おまえらの辛気くさい顔を見ると暗くなる」のひと言に……
(システム開発・29歳)

エンジニア側の主張
辛気くさい顔にさせたのは誰だ! むちゃな仕事を取ってくるな。
vs
営業側の主張
飲みも仕事のうちなんだからさ、冗談を真に受けるなよ。

バトルシーン

 急ぎの案件の追い込みで、僕たちシステム部門は夜遅くまで残業。張り詰めた空気の作業場に、営業が突然現れた。どこかで飲んだ帰りのようで酒臭い。それだけでも感じが悪いのに、あろうことか必死な顔をして作業をしている僕らに向かって「おまえらの辛気くさい顔を見ると暗くなるなぁ」のひと言……。いま必死で作業している仕事は、その営業がむちゃな納期で取ってきたもの。にもかかわらず「辛気くさい」といってくるあまりの無神経さに、思わずキレて激しい口論に。

バトルが終わって……

 殴り合いになる寸前で、凍りつくような殺気が周囲に漂ったが、とにかく急ぎの案件を間に合わせることが先決であり、僕たちが我慢したため大事には至らず。この件以降、営業と顔を合わせるたびにエンジニア側の作業方法や状況などを逐一話して、理解を求めるようになった。


ROUND2
システム部門と営業、双方の部長を巻き込んだ大バトルに発展!
(システムエンジニア・27歳)

エンジニア側の主張
必要経費が分からないなら、勝手に決めずに事前に相談しろ!
vs
営業側の主張
赤字でもいずれ大きな仕事に結び付く、だから目先のことにとらわれず作業しろ!

バトルシーン

 機器の費用だけでも見積もりを軽くオーバーしてしまうようなむちゃな案件を営業が受注。それを知ってか知らずか、僕らエンジニアに向かって「大きな仕事を取ってきてやったぞ」といわんばかりに成果を誇示。そんな彼の様子にあまりにも腹が立って「うちのチームではこの案件はできません」ときっぱり断ったところ、激しい口論に……。最終的にはシステム部門と営業、両方の部長を巻き込んでの大げんかに。

バトルが終わって……

 見かねた常務がバトルに参戦。むちゃな案件を取ってきた営業をしかりつつシステム部門をなだめた結果、ようやく騒ぎは収拾した。対等の立場にある者同士の衝突を解決するためには、上司の協力が必要。


ROUND3
営業のあまりに身勝手な仕事の進め方に思わず……
(研究特許・39歳)

エンジニア側の主張
エンジニアの努力を営業の勝手な判断で無駄にするな!
vs
営業側の主張
何としてでも受注し、数字を確保するべきだ。会社の経営事情を理解しろ!

バトルシーン

 営業と得意先に1年以上も前から、「この案件は短い納期ではできないので発注は早めに。原材料の価格もアップしているので、安値では受けてほしくない」といい続けてきた。それほど両者に念を押しておいたにもかかわらず、得意先から突然の口頭発注が入ったと営業からの電話が。話を聞くと、営業の独断で得意先の希望どおりに話を進め、絶対に間に合わない納期で、しかも安値で取ってきたという。こちらの意見をまったく無視した営業に我慢ならず、思わず「できるか! ボケ!!」と受話器越しに怒鳴りつけ、電話ごとたたきつけた。

バトルが終わって……

 得意先を説得して何とか納期は遅らせてもらったが、価格の変更はできずほとんど赤字に……。営業の軽はずみな行動は、会社にも得意先にも迷惑を掛けることを痛感。


ROUND4
逆ギレしてきた営業とその上司を呼び出し……
(システム開発・28歳)

エンジニア側の主張
受注する前に相談しろ! 中途半端な知識で提案しても客先も迷惑だ!
vs
営業側の主張
どんな案件でも何とかするのがプロの仕事だろう!

バトルシーン

 エンジニアが見れば絶対に実現できないシステム構成であるにもかかわらず、こちらに一切の相談もなく勝手に得意先に提案して受注してきた営業。エンジニアの観点から、そのシステムを作るのは不可能だと指摘した。するとその営業は「これくらい設定で何とかしろ! プロだろう?」とむちゃなことをいって逆ギレ。自分の知識不足からくる失敗だとまったく理解していない様子。自分がしたことを棚に上げての横柄な態度にとにかく腹が立ち、その場で営業を怒鳴りつけ、彼の上司も呼び出してさらに猛烈に怒鳴りつけた。

バトルが終わって……

 明らかにその営業の過失だったため、結局営業部門がすべてを負担することに。その営業は営業部門を外され退職した。筋の通った反論なら、相手の上司も巻き込んできっちりと主張すべし。


ROUND5
殴る・ける・取っ組み合いの大立ち回りに発展
(Webオープン開発・34歳)

エンジニア側の主張
好き嫌いで仕事をするなど言語道断! 社会人として恥ずかしくないのか!?
vs
営業側の主張
できるヤツをひいきして何が悪い! 気に入らないなら実績を挙げてみろ!!

バトルシーン

 その営業は仕事は取ってくるものの、人の好き嫌いが非常に激しい。現場でも特定の人間と仲良くし、気に入らない人間には露骨に嫌みをいったり、あろうことか嫌がらせとしてむちゃなスケジュールを押し付けたりする。仕事に私情を挟みまくる子どもっぽい営業。最初は我慢していたが、その理不尽な行為についにキレてしまい、取っ組み合いのケンカをしてしまった。

バトルが終わって……

 社長が出てきてその場を収めたが、双方軽傷を負ってしまった。その後、社長とエンジニアと営業との三者で話し合いの場を設けて意見を交換し、互いに反省した。話し合って互いを理解することは非常に大事だ。

 

その2
アンケート結果に見る、営業とのうまい付き合い方

 壮絶バトルシーンを繰り広げた後の営業との関係は「以前と変わらず」が6割(図2)、営業を「仕事上必要不可欠なパートナー」と見なすエンジニアがほぼ5割(図3)。正当な意見なら、激しいバトルを繰り広げても営業との関係は変わらないケースが多いようだ。だからこそ問題があるならちゅうちょせず、積極的に営業に反撃することが、トラブルを未然に防ぎ、円滑に仕事を進めることにもつながる。

図2 衝突シーン後の営業との関係
図3 エンジニアにとっての営業の存在

 営業との関係をより良くするため、エンジニアが日々実践している方法を調査したところ、「定期的に会議を開いて案件の進ちょく状況を確認し合い、両者が納得するまできちんと話し合う」「酒の場を設けるなど、日ごろから密に連絡を取れるように心掛けている」との回答が目立った。営業が気軽に連絡や相談ができる雰囲気づくりが大事なようだ。必要があれば営業に同行して得意先を回る、依頼書をきちんと記入してもらうなどの工夫も見られた。こちらも参考にしてみてはいかがだろうか。

コラム:元営業のエンジニアが語る「トラブル回避のための営業との付き合い方」

 エンジニアには珍しく営業経験もあるK・Mさん。営業とエンジニアの間に生じるトラブルを、営業とエンジニア両方の視点から分析してもらい、営業とうまく付き合う方法について語ってもらった。

K・Mさん(35歳)プロフィール
医療法人情報システム部マネージャ。数度の転職で、大手電機メーカーのシステム開発部門や、外資系医療機器メーカーの営業などを経験する。

 私は営業とはいってもエンジニアの経験もあったから、上のケースのような知識不足によるトラブルはありませんでした。営業をしていたときにはエンジニアの感覚も含めてものをいい、エンジニアをしていたときには営業の立場も考慮してものをいっていました。内心、逆の立場ならたまらないなあと突っ込みを入れながら(笑)。

 営業としては、長期的に見ると黒字になるので、最初損をしてでも固定客をつかみたい。一方、エンジニアは目先の利益にとらわれ、確実に利益を回収できる仕事でないとしたくない。こんな視点の違いから生まれる衝突が多いですね。この場合、多少赤字が出ても、先につながる仕事であれば営業のいい分を通すメリットは大きいですが、あまりにもむちゃな案件であれば、結局顧客の信頼を失ってしまってデメリットになります。

 エンジニアが営業とうまく付き合うためには、担当営業の力量を見極めることが大事。営業がユーザーの要望をきちんと把握しているかどうかを疑い、疑問に思った点はどんどん質問し、ユーザーのニーズを見極めることが重要です。また、分からないことがあればエンジニアにヘルプを求めるようにと営業に伝えるべきです。

 情報伝達不足から生じるトラブルも非常に多いので、日ごろから情報を小まめに交換して互いを理解すべきでしょう。打ち合わせもしっかりと。グループウェアなどを有効利用して、「報・連・相」を徹底させるのも手です。トラブルが生じた際は、同じ立場の者同士で解決しようとするより、上司を通した方が穏便に済みます。

 いろいろと述べてきましたが、営業とエンジニア双方にとって何よりも大事なことは、「誰にお金をもらって仕事をしているのか」を意識することです。

 以前、エンジニアと営業が衝突したことによるトラブルが起きて、最終的にどこも責任を取らずに問題がうやむやになった案件がありました。その際に一番困ったのは、出来上がったシステムを使う現場の人たち、この場合は医療現場のドクターでした。お金をもらっておきながら相手に多大な損害を与えてしまったことが、いまでも苦い経験として心に残っています。

 どんな立場の人間も、常に顧客至上主義でいることが大事なのだと思います。それさえ徹底していれば、営業とエンジニアの意見が食い違ったときも、顧客のためにと互いの意見に耳を傾ける強い動機になるでしょう。


☆味方同士なのだから、互いを育てよう

 どの話も痛々しい。本来なら営業とエンジニアは味方であり、相棒であるはずなのに、対立してしまうのは残念なことである。争うのではなく互いを育てるようにすれば、良きパートナーとなれる。その方が実利があるのではないか。

 対立の原因を考えると、相手の専門分野への理解が不十分なため、ギャップが生じているようだ。営業なら技術について、エンジニアなら商売にまつわる複雑な事情についてだ。相手が現場で抱える困難をよく把握できないと、不信感が育つこともある。両者のギャップが大きければ大きいほど、トラブルが発生したときに深刻な結果をもたらしかねない。

 そうはいっても役割分担をしているのだから、相手以上の専門知識を持てというつもりはない。大切なのは十分なコミュニケーションを取ることだと考える。立場も性質も違うので簡単ではないと思うが、少しずつでも自分が抱える苦労や専門知識を相手にうまく伝えることだ。それができれば、いつかいい信頼関係が築けるのではないだろうか。

 まずは簡単なことから始めて距離を縮めたらどうだろう。相手が「へえ」と思うようなワザを教えて親近感を抱いてもらうとか、苦労した体験談を笑いと涙を交えて語るとか。相手が事情通になってくれれば、仕事はやりやすくなるはずだ。

(加山恵美)


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