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最新データで見る「エンジニアのキャリア事情」

第46回 時短ブームで激減? 平均残業代は5万円

Tech総研
2007/7/4

  「みんなすごい勢いで帰るようになった」

図2 最近、労働時間に関する制度の変化は?

 残業についての考え方は企業によって異なる。今回のアンケートでは、「あなたの勤務先で残業(労働時間や残業代)に関して、会社の対応・考え方、制度の見直しなど、変化があったらその内容を教えてください」という質問を設けた。

 500人の自由回答では、46%の人が何らかの形で労働時間に関する制度の変化が最近あったことを認めている。変化の流れの中で目立つのは、残業規制の強化だ。


最近、勤務先の労働時間や残業代の制度に変化はあった?
・定時退社日が増えた

・3月以降、当日に残業する場合、残業申請書を上司に提出することが必要となった

・水曜のノー残業が徹底されてきた。退社時間が遅いと上司の管理能力不足になるので、みんなすごい勢いで帰るようになった

・評価制度開始に伴い、残業時間順守が評価項目に入るようになった

・組合の働き掛けで、22時以降の深夜残業と休日出勤を、原則禁止という制度を作った。残念ながらタテマエでしかないが、本当に何もないときに無理やり残業する人はいなくなった。また、22時という具体目標が、残業を切り上げる1つの目安となった

・残業月40時間以上の従業員を0にしようという方針が出ている

・サービス残業の取り締まり・管理監視が年々強化されている。年間・月間の上限が定められており、それを超えると健康診断やペナルティーが発生する

 このように、「月度規定残業時間超過者に対して労務部への理由書の説明が厳しくなった」などのケースが報告されている。「無駄な残業を極力減らす」ことが、社員福祉や労働生産性向上という観点からも重要であるという認識が、あらためて企業に生まれているといえる。

  裁量労働制の導入で残業代カット?

 残業規制の一方で、裁量労働制(労使であらかじめ決めた労働時間を実際に働いた時間と見なす)の導入が進むことで、通常の残業代という概念がなくなった職場もある。裁量労働制は、現在、約2100事業所、約5万2000人がその対象になっている。日本の雇用労働者の総数からすればはるかに少ないが、労働時間規制緩和の流れの中で広がる傾向を見せている。最近でも、大手企業を中心に導入例が増えてきた。ホワイトカラー・エグゼンプション導入に反対する連合など労組側も、裁量労働制そのものには反対していない。

 ただ、現場のエンジニアたちには、裁量労働制の導入は何よりも「残業代のカット」として受け止められているようだ。

最近、勤務先の労働時間や残業代の制度に変化はあった?

・裁量制度の導入で、来年度から残業代はカットとなるらしい。しかし、基本給は上がらず

@IT自分戦略研究所注:解釈によっては労働基準法違反の可能性があります。裁量労働制においては、実残業時間分の残業代が出ていなくても、労使委員会で定めた見なし労働時間が法定労働時間を超えた場合、その時間分の残業代が支払われていれば適法です。違法であるか否かは、「カット」がどこまでの減額を意味しているのかによります。

・裁量労働制になった。ある一定の職能給になると見なし労働制もなし

@IT自分戦略研究所注:解釈によっては労働基準法違反の可能性があります。ある一定の職能給になる=管理監督者になったという意味であれば、労働基準法の労働時間、休憩、休日に関する部分が適用除外のため、時間外手当の支給がなくても適法です。違法であるか否かは、「ある一定の職能給」がどこまでの範囲を指しているかによります。

・裁量労働制度が導入され、管理職でなくても組合員上位の人は残業代が出ないで裁量労働手当(定額)支給となっている

@IT自分戦略研究所注:解釈によっては労働基準法違反の可能性があります。裁量労働制を適用できる職種(編集、技術、事業の運営に関する企画など)であれば、実残業時間分の残業代が出ていなくても、労使委員会で定めた見なし労働時間が法定労働時間を超えた場合、その時間分の残業代が支払われていれば適法です。違法であるか否かは、「管理職でなくても組合員上位の人」が裁量労働制を適用できる職種であるか否かによります。

 これらの声には不満のトーンがにじんでいる。時間当たりの労働生産性が高まり、無駄な残業をしなくても食べていけるだけの給与が支払われるのであれば、それは企業にとっても働く側にとっても良い状況といえる。しかし、現状は必ずしもまだそうなっていない。働き方の多様化と規制緩和の流れの中で、いま、見直しが進む残業制度。それに必死で対応しようとしている、現場のエンジニアの苦悩が浮かび上がる。



☆残業と生産性、自分でコントロールしよう

 2007年初めはいわゆる「残業ゼロ制度」(ホワイトカラー・エグゼンプション制度)が話題になった。覚えているだろうか。これは社会的な反発が多く、今国会での上程は見送られたが、ほかにも雇用ルールを見直す法案が閣法でいくつか出された。

 本文冒頭にある残業代の割増率については、「労働基準法の一部を改正する法律案」に盛り込まれている。こちらは2007年5月下旬に衆議院厚生労働委員会に付託された。だが実質的にはさほど進まなかったようだ。なぜなら6月以降の厚生労働委員会は介護事業を行う企業の不正請求や「宙に浮いた年金」問題であっぷあっぷ状態。つまり重要な社会問題に押されて、労働基準法には手が回らない状態だったようだ。

 国会の動きはさておき、「日本の労働生産性は先進7カ国中の最下位で、米国より3割も低いといわれる」というのには驚いた。それだけ無駄な残業があるということにはならないだろうか。「人より先に退社するのがはばかられる」という風潮から業務体制まで、労働側と経営側、どちらにも見直すことがあるような気がする。

 残業にも必要性や必然性はあるだろうが、無駄なものはなくした方がいいだろう。仕事から離れることで活力もみなぎる。生産性以外にも得られるものがあるだろう。

(加山恵美)


この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています


本記事の一部に、残業代に関して不適切な部分がありましたので削除しました。また裁量労働制について誤解を招く部分がありましたので、コメントを付記しました。(2007/7/10)

 

今回のインデックス
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