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第50回 「職場のいじめ」エンジニア的対策マニュアル

Tech総研
2007/9/11

  Part2
エンジニアはいじめにどう対処すべきか

いじめの芽はいち早く摘み取るに限る

 冒頭で述べたとおり、職場内にいじめがあるのは第三者にとっても迷惑なことだ。いじめに遭ったとき、あるいは他者のいじめに気付いたとき、エンジニアはどう対処すればいいのだろう。

 「まずはいち早く誰かに相談することです。自分がどんな気持ちなのか、あるいはいじめを受けている人がどんな状態なのか、はっきりと上司なりマネージャなりに伝えることが大切です。加害者がいじめているということに気が付かないケースも少なくありません。『エッ、こんなことに傷ついていたの』ということもけっこうあるものです」(岡田氏)

 いじめの芽は早めに摘み取ってしまうに越したことはない。「いじめは誰もが加害者、または被害者になり得るもの。人や周囲に関心を持ち、いじめを見過ごさないようにすることが肝心です」と、岡田氏はアドバイスする。

いじめられない、いじめないエンジニアになるために

 いじめの被害者、加害者にならないためには、自分の考えややり方だけにこだわらないことも必要だという。

 「エンジニアの仕事はYESかNOかきっちり答えを追求することが多いと思いますが、対人関係とはとてもあいまいな部分の多いものです。自分の論理だけで説き伏せようとするのではなく、相手の表情や口調といったあいまいな部分で相手の心情を推し量ることも必要です。時には自分の考えとは違ったものを受け入れる気持ちを持つことも。

 もちろん、エンジニアとして将来を見据えてきちんと能力向上を図ることも大切です。能力といっても、技術だけではなく、マネージャ的な管理能力を養うことが、将来、いじめられない、いじめないエンジニアになるための道でしょう」(岡田氏)

 もしあなたがすでにマネージャなら、いじめの起こりにくい風土づくりをすることも必要だ。自分の世界にこもりがちな職種だからこそ、相手の顔を見ながら、目を見ながら声を掛け合える風土をつくることが重要、としたうえで岡田氏が語る。

 「いじめが起きやすいか起きにくいかは、マネージャのマネジメント力に左右される部分も非常に大きいと思います。技術系の場合、マネジメント力より技術力が評価されてマネージャに昇進することも多く、ともすると管理能力に欠けることがあります。部下の能力レベルや仕事量をきちんと把握して、適切な配分をすることが大事でしょう。

 また、部下を技術だけで評価するのではなく、社内ルールを守っているか、マナーはちゃんとしているかなど、人間性も評価することが必要です。

 マネージャ自身がゆとりをもって仕事に取り組み、部下への気配りをする方が、結果的に、自分だけで頑張るより成果は上がるのではないでしょうか」

 百害あって一利なしのいじめ。その火の粉は、いつあなたに降り掛かってくるやもしれない。そのときのために、いじめに対する認識をいま一度見直していただきたい。

エンジニア的「職場のいじめ」対策マニュアル5カ条
第1条 いじめに遭ったら、または気付いたらいち早く誰かに相談すべし
第2条 自分の考えややり方だけにこだわるべからず
第3条 他人や周囲に関心を持ち、コミュニケーション力を磨くべし
第4条 技術力だけでなく、マネジメント能力向上も心掛けるべし
第5条 マネージャは、気軽に声を掛け合える職場風土づくりに努めるべし


☆漠然とした不快感は客観的に分析しよう

 いじめは深刻な問題だ。しかし一見暴力的な行為でも風変わりな愛情表現になることがあり、逆に一見丁重な態度でも陰湿ないじめになることがある。本文でも「いじめかどうかは、その人がどう受け取ったかによるともいえる」と指摘されているが、いい換えれば「これをすれば相手は困る・悲しむ」と推測できる行為をあえて行動に移せばそれは「いじめ」となる。

 ところが、悪意があってした行為でも、相手が気付かず問題とならない場合もあるし、逆に善意でした行為が相手を傷つける場合もある。それゆえ一口にいじめといっても、判断は難しい。

 エンジニアの職場におけるいじめの傾向と対策を見ると、エンジニアの「スキル」にこだわる価値観や気質が関係していることが分かる。本編を読んで、あらためていじめというものは1対1または集団における人間関係のひずみなのだなと感じた。

 いじめ対策といっても奥が深いが、「芽は早めに摘み取る」が鉄則なのは間違いない。万能な対策はないが、常に敵意や嫌悪などネガティブな感情に注意を払い、それを客観的にとらえることが大切ではないだろうか。どうして自分または相手が嫌な感情を抱いているのか、その原因や経緯を客観的に分析して言葉にできるようになると、対策も自ずと浮かんでくるのではないかと思う。

(加山恵美)


この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています




今回のインデックス
「職場のいじめ」エンジニア的対策マニュアル (いじめは他人事?)
「職場のいじめ」エンジニア的対策マニュアル (どう対処する?)

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