自分戦略研究所 | 自分戦略研究室 | キャリア実現研究室 | スキル創造研究室 | コミュニティ活動支援室 | エンジニアライフ | ITトレメ | 転職サーチ | 派遣Plus |

最新データで見る「エンジニアのキャリア事情」

第52回 分かって! エンジニアが求める福利厚生ベスト3

Tech総研
2007/11/13

その4 発表! エンジニア300人が切望する福利厚生サービスベスト3

 さて、今度は実現可能・不可能は問わず、「こんな福利厚生サービスが欲しい!」という希望を聞いてみた。コメントの中に多く見受けられたキーワードから、エンジニアが考える「夢の福利厚生像」3つを抽出した。読者の皆さんの共感を呼ぶものはあるだろうか?

1位 シリコンバレーか!
機能的でスタイリッシュなデスクに長時間座っても疲れにくいイス。デスクには仕事で使うための最新の機器がずらり! 機材だけでなく、技術書などの書籍も会社のお金で買い放題。そんな快適な仕事空間はもちろん個室! 誰のじゃまも入らず、集中力はノンストップ!

「集中して考えられる時間が欲しい」(28歳 生産技術・プロセス開発)
「業務と直接関係ない技術書を会社の費用で買うのにはいつもちゅうちょしてしまうので、個室で堂々と読みたい」(32歳 Web・オープン)
「生産性が上がりそう」(36歳 社内情報システム)

2位 おしゃれレストランか!
吹き抜けで開放感のある社員食堂はまるですてきなレストラン。社員なら朝・昼・晩、なんと3食無料! メニューは毎食替わり、カフェテリア方式で好きなものを好きなだけ食べられる。メタボリックが気になる人向けに、栄養士監修の健康メニューも完備。こんな空間でおいしい食事を囲めば、仕事仲間とのコミュニケーションも活発に!

「夜遅くまで仕事をするとき、夜食が取れて便利だと思う」(36歳 制御)
「懐を気にせず好きなものを食べたい」(36歳 研究・特許)
「いまのところがまずすぎる……」(31歳 品質管理)

3位 健康ランドか!
温泉がわく、広くて清潔感あふれる浴場は24時間使い放題。温泉でほぐれた体はいつでも隣のマッサージ室で癒すことができる。うとうとしたらそのまま眠ってしまってもOK! 女性には仕事で疲れたお肌を回復するエステ施設も! 仕事で疲れた体はここでリフレッシュ!

「気分転換とストレス対策を気軽にできるようにしてほしい」(37歳 コンサルタント)
「仕事柄徹夜が多いのでできればシャワーでなく浴室」(36歳 Web・オープン)
「いまのオフィスにマッサージチェアはあるが、できれば人にやってもらいたい」(32歳 パッケージ)


  まとめ
エンジニアを取り巻く福利厚生サービスはこれからどうなっていく?

 アンケートで分かった、「関心はあるがよく知らない」という割合の高さが示すように、残念ながら福利厚生を上手に活用しているエンジニアはまだまだ少ないようである。そこでいま一度、福利厚生に対するニーズやサービスの現状と今後の展望について、福利厚生のアウトソーシングを手掛けるベネフィット・ワンの白石徳生社長の話を基に探ってみた。

福利厚生に対する誤解

ベネフィット・ワン
代表取締役社長 白石徳生氏


福利厚生のアウトソーシングサービスで12年の歴史を持つ草分け的企業のトップ。「サラリーマンの生協」をつくりたいというビジョンのもと、会員230万人というスケールメリットを生かし、さまざまな分野でサービスを拡充し続けている。

 「福利厚生でポイントになるのは、実は税制なんですよ」と白石社長は語る。福利厚生というと健康診断や保養所が真っ先に浮かぶが、視点を変えると実は、雇用される側にとって税制上のメリットが非常に大きい制度なのだ。

 福利厚生費には税金はかからない。具体的に独身寮を例に挙げて考えると、賃料は1月1万〜2万円が相場だが、普通に借りると安くても7万〜8万円。雇用される側にとっては毎月5万円程度、年間では60万円の節約になる。例えばこれを独身社員の給与に60万円ずつ上乗せして払った場合、人件費として扱われるため、雇用される側はより多くの税金を払うことになってしまう。企業が保有する保養所や託児所などでも同様のことがいえる。

 「企業において、『福利厚生の充実=経営者の考え方がしっかりしている』といってもいいと思います。今後、雇用される側も福利厚生についてよく理解するようになれば、よい人材はよい会社へという流れになると思いますよ」

福利厚生、いままでとこれから

 この10年、日本企業は福利厚生費を縮小してきた。しかし近年の景気回復で、企業は人材を積極的に採用しようという考えに変わってきた。特に人材不足が叫ばれるエンジニア業界では、給与だけでないほかの待遇をアピールし、より良い人材を採用しようとの努力が続けられている。

 「いま、ワークライフバランスという言葉が注目されています。職場環境だけでなくプライベートも充実・安定させることで、結果的に従業員の生産性が上がるという考え方です。コンプライアンスの観点からも、働く環境を良くすることは企業にとって必須。これからは福利厚生制度を充実させることで、ワークライフバランスを適切なものにしていこうという流れがますます加速すると思います」

 世の中の人々の価値観が多様化するのに伴い、福利厚生サービスも多種多様になっている。その中でも今後ますます充実が期待されているサービスとはなんだろう。

 「育児支援・介護支援、ヘルスケア、自己啓発の3つですね。特に育児・介護に関しては労働人口減少による女性の社会進出をサポートする意味で必須になるでしょう。ヘルスケアについては、エンジニアだけでなくほかの職種でも自殺やうつ病などのメンタルヘルスが問題視されています。福利厚生としても何らかの対策が取られていくことでしょう」

 福利厚生に対する企業側の取り組み姿勢が明らかに変わりつつあるいま、エンジニアの側も、「自分にとって本当に役立つ福利厚生サービス」についてあらためて考えてみる必要がありそうだ。

  おまけ
エンジニアの賢い福利厚生活用術(転職編)

 何かと面倒に感じる福利厚生サービスの活用。しかし福利厚生の一番大きなメリットは、お金に関するところにある。転職をする際、自分の待遇が良くなるのかどうか、福利厚生についてもきちんと確認するのが大切。

 「自分が得ている報酬の全体像(トータルコンペンゼーション)について考えてみましょう。欧米ではごく普通の考え方ですが、実は本当の待遇は福利厚生+賃金なんですね。例えば前述の例で挙げた、社員寮で節約できた60万円は報酬の一部といえます。ほかにも会社独自の基金・退職金・年金などもそうです。待遇というととかく賃金だけが注目されますが、福利厚生として扱われるこれらの金額はばかになりません」(白石氏)

待遇=福利厚生+賃金

 転職する際、給与アップにのみ注目して福利厚生が手薄い企業に移り、結果的に報酬がマイナスになったという例もある。いまの自分のトータルコンペンゼーションをきちんと把握するとともに、転職活動の際も、気になったら遠慮なく人事担当に福利厚生制度について聞いてみよう。



☆まさに“エンジニアらしい”福利厚生

 今回はエンジニアが希望する福利厚生がテーマだ。あらためて職種により求める福利厚生のメニューに特徴があるのだなということが分かった。

 エンジニアが「今後使いたい」として特に求めているのは健康(1位)やレジャー・リラクセーション(2位)であり、それだけ普段から過酷な労働に耐えているのだなと感じる。自己啓発(3位)もエンジニアらしい。エンジニアにとってスキルは武器である。スキルを磨く自己啓発メニューがどれだけあるかは、エンジニアの将来の成長具合にかかわってくる。

 「夢の福利厚生像」では、シリコンバレーのような職場環境に理想像、健康やリラクセーション関係のメニューに普段の苦労を見て取れるようだ。エンジニアは「じっと机に向かうことが多く、体力を消耗しない」ようなイメージなのかもしれないが、この同じ姿勢とシステムへの責任というストレスは体へのけっこうなダメージとなるのだ。「分かってくれ!」という心の叫びが聞こえてくるようだ。

 会社の福利厚生には、意外と有用なものが多い。家族旅行での郊外の保養施設・リゾートホテルの格安利用、スポーツ試合観戦の割引などがあることも。あらためて調べてみると、「使える」福利厚生メニューがあるかもしれない。

(加山恵美)


この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています



 

今回のインデックス
エンジニアは福利厚生をどう見ている?
発表! エンジニア「夢の福利厚生像」

自分戦略研究所、フォーラム化のお知らせ

@IT自分戦略研究所は2014年2月、@ITのフォーラムになりました。

現在ご覧いただいている記事は、既掲載記事をアーカイブ化したものです。新着記事は、 新しくなったトップページよりご覧ください。

これからも、@IT自分戦略研究所をよろしくお願いいたします。