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第58回 性能? 静音? 自作PCにこだわるエンジニア

Tech総研
2008/5/2

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第3位 メモリ

 続いては「メモリの容量」。処理スピードの向上のために、「予算の許す限り積めるだけ積む」という声が多かった。また回答者の特徴として、使用目的にオンライントレードを挙げる人が目立った。常にアプリケーションを立ち上げっぱなしにして取引を行いたいためだろうか。静音については「慣れれば気にならない」と重要視しない傾向が見られた。

コメント
★CPUを速くしても、メモリ容量が小さいとパフォーマンスが上がらない。だったら、周波数が低く、安いCPUを買い、その差額をメモリ増強に回した方が費用対効果が高いと思う。(35歳 男性 システム開発[マイコン・ファームウェア・制御系

★メモリ2GBの威力は大きく、ページングファイルが発生することはほとんどなくなりました。メモリ価格も下がっているので、もう2GB追加しようかと検討中です。(39歳 男性 ネットワーク設計・構築LAN・Web系

★動画ファイルのサイズが大きいので、メモリが少ないとHDDへのアクセスが多くなり、ガリガリうるさいし、動画の音声も聞こえなくなる。(37歳 男性 半導体設計)


第4位 PCケース

 ランキング第4位は、インテリアの一部として見た目にこだわるエンジニアからの声が多かったPCケース。LEDを使うなどスタイリッシュなデザインを求める人と、コンパクトな筐体(きょうたい)を求める人、またエアフローを意識した設計を重要視する人の3パターンに分かれた。

コメント
★いかにも自作です!って感じがしない方がいい。オープンベイにカバーが付いていて、ドライブが見えないものを使っている。さらに、ケースが黒なので、ドライブのフロントも黒いDVDドライブにしている。(34歳 女性 回路・システム設計)

★日本に代理店ができるかできないかくらいのころのGatewayのでかいケースでかっこいい。ATケースにATXのボードなので、後ろ部分が使いにくいが、今後も使い込んでいく予定。(36歳 男性 システム開発Web・オープン系

★コンパクトにしたくてケースを小さくしたため、電源とCPUクーラーの間にすき間がなく、冷却するための空気の流れが悪くなった。HDDクーラーを改造して強制的に空気を流すようにして使っている。(38歳 男性 システム開発マイコン・ファームウェア・制御系


第5位 ハードディスク

 第5位はHDD。もはや画像ファイルなどでなく、容量の大きいテレビの録画データなどを大量に保存しており、とにかく容量重視という声が多く集まった。故障時にも対応ができるよう、RAID構成で使っているという意見も多い。データの保護という観点から、信頼性のあるメーカーのHDDを使用する傾向があるようだ。

コメント
★HDDの故障は買い替えるしかないし、失われたデータはあきらめるしかないが、基本的に複数のHDDに同じデータを保存するようにしている。ディスク容量は全部で3TBあるので、アクセスは速い。(39歳 男性 システム開発Web・オープン系

★現在はRAIDで6台、内蔵用HDDをUSB変換ケーブルで4台使用。テレビの録画をためているので、どうしても容量が必要。当初DVDなどに落としていたが収拾がつかなくなった。結局HDDごと管理するのがいまの時点ではベスト。今後、特大容量の製品が出ることを期待している。(39歳 男性 生産技術、プロセス開発)

★HDDをRAID0でミラーリングして故障対策している。2台目はトレード専用に4画面モニタを搭載。用途に合わせていつでもカスタマイズできるところが自作機のいいところだと思っています。(32歳 男性 システム開発Web・オープン系



  ああ、自作って楽しいなあ……と思う瞬間

 それでは自作PCって、具体的にどんなところが楽しいのだろう? エンジニアの自作にかける熱い思いを聞いてみたところ、そこにはエンジニアという職業との、深いかかわりが見えてきた。PCの自作と仕事の楽しさ、ひょっとして共通しているのではないだろうか?

限られた予算で最大の効果を出せたとき
低予算で最高の組み合わせを見つけるために、あらゆる可能性を追求する点。高額なメーカー品と同等の能力を出せたときには達成感がある。(36歳 男性 品質管理、製品評価、品質保証、生産管理)

設計を模索しているとき
あのパーツを使って、このパーツを使って……と悩んでいる時間。すごく楽しいです。例えるなら宝くじを買ってこれが当たったらこれしてあれして、って頭を悩ませている時間と似ている。もちろん組み上がったときに思うように動作する喜びもありますが。(36歳 男性 運用、監視、テクニカルサポート、保守)

トラブルが解決したとき
うまくいかずにトラブルではまったとき、必死になって復帰させるのが意外に楽しい瞬間だったりする。(32歳 男性 品質管理、製品評価、品質保証、生産管理)

既存の仕組みでアップグレードするとき
既存のパーツを生かしつつ、新パーツとの組み合わせを考えるのが、自作PCを作るうえでの一番の腕の見せどころでしょうか。(32歳 男性 システム開発(Web・オープン系))

組み立てている最中
何よりも物を組み立てる行為が楽しい。プラモデルと同じ感覚。トラブルシューティングさえ、自分で解決したときは難しいパズルを解いたような感覚になる。(35歳 男性 素材、半導体素材、化成品関連)

総合テストしているとき
OSをインストールし終わってほっとした後、お茶を飲みながらケースを眺めつつ、性能を確かめるために複数のベンチマークを走らせてみるとき。(38歳 男性 パッケージソフト・ミドルウェア開発)

問題点を少しずつ改善していくとき
まだまだ改善の余地があると思うのでとことん突き詰めていきたい。不完全なところを1つ1つつぶしていくのが楽しかったりする。一般の人には分かっていただけないと思うけど……。(27歳 男性 社内情報システム、MIS)

  最後に
自作PCの世界に足を踏み入れてみよう

 ここまで、自作PCに寄せるエンジニアたちの熱い声を紹介してきた。でも、いいことだけではなく、気を付けたい点もある。例えば「地方ではパーツが手に入りにくい」「相性の問題もあり、不具合の特定が難しい」「データ破損やトラブルは基本的に自己責任」「衝動買いや失敗などで、結果的に無駄遣いをしていることがある」などが挙げられる。

 それでも世界で1台の理想のPCを作る過程は、構想を練るときも、パーツを購入するときも、組み立てるときもきっと楽しいだろう。壊れた部分を取り替えることで、長く使うこともできる。もしあなたが自作PCに興味を持ったなら、ぜひその世界を楽しんでみてほしい。



☆焦げたにおいの記憶とともに

 IT系の企業なら、新人研修でPCの自作を経験させることは珍しくない。エンジニアたるもの、PCの自作、部品を交換するなどのたしなみはあった方がいいだろう。

 PCの筐体のふたを開けて内部を見ることは、車でいえばボンネットを開けるようなもの。近年では注文時にあれこれオプションを選択できるようになり、また価格面で考えても自作するメリットが減りつつあるが、コンピュータのプロがコンピュータの中身を触ったことがないというのでは少しさみしい。

 筆者も最近はPCの筐体を開ける機会がかなり減ったが、エンジニア時代にはメモリの交換やHDDの増設などを経験した。メモリやボードをスロットに差すとき指がとても痛かったことが記憶に残っている。

 脇でSCSIのHDDを増設していた先輩が、部品を焦がしたこともある。あのときの基板から立ち上る煙と金属の焦げたにおいは衝撃だった。だがそのにおいとともに、電源ケーブルの仕組みも鮮明に記憶できた。ケーブルは4本でセット、黒がグラウンドで残り2本が12Vと5V。高い電力はモーターに使い、低い電力は基板などに使うのだとか。先輩が購入したケーブルは配線が間違っていて、基板に12Vが流れたために焦がしてしまったのだ。

 このように、経験によって知識が定着する効果もある。ハードウェアの専門家でなくても、PCを実際に組み立てる経験はしておいた方がいい。

(加山恵美)


この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています



 

今回のインデックス
エンジニアの自作PC、こだわりのパーツは?
具体的にドコが楽しい? 自作PC

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