
Tech総研
2009/1/13
| CASE2――UP! | 大手企業間転職で、SE・営業職からITコンサルタントへ |
| S.Oさん(仮名・35歳) 転職前後の給与変化 転職前 650万円 ↓ 転職直後 650万円 ↓ 転職2年目 780万円(予定) |
■ITコンサルタントへの早道が転職だった
大手システムインテグレータでの10年は、一貫して金融システムを担当。5年間はSEとして、勘定系システムの要件定義から運用までの開発業務に、残りの5年は企画営業として、金融機関向けの業務システムの販売や経営計画の策定にかかわった。システムと営業の両方を知る彼の次なる目標は、それぞれの経験を生かしてITコンサルタントになることだった。
「もちろんそのまま社内に残って、ITコンサルタントを目指す道もありました。しかし、一度は自分の転職市場における市場価値を知りたいという思いがありました。金融畑に詳しいのは自分の財産ですが、それ以外の業務に知見を広げる必要性も感じていました」
前職での最後の数年間の年収は、額面で650万円。残業が多い年は700万円に達することもあった。なかなかの高給だ。本人も「世間の相場からすると、ややもらいすぎかも」と振り返る。しかし、同期入社の社員で年収800万円に達する人もいた。
転職活動に、最初はそれほど本気ではなかった。「ちょっと試してみようというぐらいのノリ」。しかし、すぐに「転職した方がITコンサルタントへの道は早く開けるかもしれない」と思うようになった。社内で順番待ちをするよりも、そのスキルをいますぐに求める企業に転職した方が、階段を上がるスピードは速いという判断だ。
転職に当たって、給与は現状維持であればよいと思った。それ以上にS.Oさんが気にしたのは「会社の格」のようなもの。
「大手企業の人材のすべてが優れているわけではありませんが、やはり選抜された優秀な人間が集まっていて、技術レベルは高く、仕事も面白いという印象があります。そういう意味での“社格”は下げたくないと思いましたね」
■650万円の現状維持だが、次年度には1.2倍に増える予定
転職エージェントが最初に提示してきたのが、大手コンピュータ会社のシステムコンサルタント部門。顧客企業の情報システム部門や戦略部門へのコンサルティング段階からかかわり、社内業務のアウトソーシング計画などを立案し、それを実行する部署だ。
「まさに願ってもないITコンサルタントの仕事。前職ではその肩書で仕事をしたことはないのですが、私の経験を十分に評価してくれたようです」。初年度年収提示額が、みなし残業代込みで額面650万円と、前職と同じかやや下がるのも気にはならなかった。「順調に力を発揮してくれれば、2年目には1.2倍の780万円までアップ可能」という話を聞いたからだ。
「実際のところ、2年目のアップというのは転職後に聞いた話です。それでも転職を決めたのは、ITコンサルタントというキャリアが現実のものになったからですね。社格も十分。このチャンスを逃す手はないと即断しました」
ケース1のY.Aさんにもいえることだが、転職を2008年夏には決めたことが幸いした。その後明るみになった国際金融危機は日本経済にも波及し、秋以降の転職マーケットは急速に収縮しているからだ。
現在は、金融と製造業の2つのクライアント企業を担当している。「製造業のクライアントと話をするのは、これまでの経験ではなかったこと。金融業とは考え方が違い、とても新鮮です」とS.Oさんはいう。社会人10年目で新人のようなフレッシュな気分を取り戻し、同時に与えられた責任の重さに気持ちが引き締まる日々だ。
現在は都心のど真ん中のマンションに1人住まい。郊外に出ればもっと安くて広い部屋に住めるが、夜や休日のシティライフの楽しみも、人生の重要な要素だと彼は考えている。「生活レベルを落とすような転職はしたくなかった」という彼の思いは実現した。これからの30代後半のキャリアに向けて、意気揚々と一歩を踏み出す。
| ☆年収だけではなく、将来のことや「人生の質」も考えて | |
| 年収は高ければ高いに越したことはないだろう。だが、お金に変えられないものもある。生活や人生の質とでもいうべきものだ。 いくら年収が高くても、残業ばかりで拘束時間が長ければどうだろう。ストレスのある職場ならどうだろう。疲れたまま、またはストレスを抱えたまま働くことになる。すると体や心の健康を損なうリスクを抱えることになる。もしも倒れてしまったら、何か病気を抱えるようになってしまったら、せっかく稼いだお金も吹き飛んでしまうかもしれない。何よりも生活の質が落ちてしまう。 転職時にはつい年収の多寡で判断をしてしまうことが多いが、年収が高ければそれなりに重い責務を担うことになる。身の程に合った仕事とそれに見合う年収であれば、「それでよし」と納得してもいいだろう。 なお本文中のケース2のように、転職直後は年収に変化なしでも、後から変わる可能性がある。今後年収が上がるかどうかも重要なポイントだ。 年収の額だけに注目してしまうと、それ以外でいい条件を持つ転職先を見過ごしてしまうことにもなりかねない。やりがいがある仕事、経験を積める仕事、将来性のある仕事など、長い目、広い視野で転職先を見極めよう。 (加山恵美) |
この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています |
| 今回のインデックス |
| 年収ダウンでもやりがいのある仕事。今後の昇給に賭けるY.Aさん |
| 昇給のチャンスは次年度以降に。ITコンサルを目指すS.Oさん |
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最新DATAで見る「エンジニアのキャリア事情」 バックナンバー
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- 第6回 スカウト転職でエンジニアがもてる理由
- 第7回 エンジニアに忍び寄る心の病を察知せよ
- 第8回 自分を安売りしないキャリアの棚卸術
- 第9回 組み込みLinuxエンジニアの市場価値
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- 第28回 火事場エンジニアの武勇伝に赤信号
- 第29回 エンジニアの生“給料明細”拝見!
- 第30回 元エンジニア告白! 辞めたワケといまのキモチ
- 第31回 「自分の技術は通用する?」転職の不安解消法
- 第32回 ツライ! でもいえない! 上司への弱音の吐き方
- 第33回 顧客に指名される常駐SEの条件
- 第34回 技術の総合責任者“ITアーキテクト”という選択
- 第35回 地獄? 戦場? 火を噴くプロジェクト死闘編
- 第36回 一般人とここまでズレてる「エンジニア時間」
- 第37回 世渡り上手なエンジニアの「自己PR術」
- 第38回 ソコがヘンだよ! 日本人エンジニア
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