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第63回 不況で減額やむなし? 2008年冬のボーナス額と満足度

Tech総研
2009/2/12

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  会社の業績を考えると
仕方がない?

 ボーナス調査の内容をさらに見ていこう。

 職種分野を大きく「IT系」と「モノづくり系」に分けると、それぞれの平均はIT系が67万円、モノづくり系が71万円。ハードウェア系職種がソフトウェア系職種を上回る傾向は依然続いている。

 同じモノづくり系でも職種別のばらつきがある。最も高いのは「研究、特許、テクニカルマーケティング」のグループで81万円。逆に「機械・機構設計、金型設計」「光学技術」「サービスエンジニア」「品質管理、製品評価、品質保証、生産管理」は60万円台以下となっている。IT系では「研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理」の職種が79万円と最も高く、最低の57万円である「システム開発(汎用機系)」と22万円の差がついた。

 ボーナスの高いベスト3の職種は、モノづくり系で「研究、特許、テクニカルマーケティングほか」「回路・システム設計」「半導体設計」「制御設計」(最後の2つは同額)、IT系では「研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理」「システム開発(マイコン・ファームウエア・制御系)」「通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系)」となっている。

 ボーナス金額への満足度は、「自分の仕事内容と見合っている」が66%、「自分の仕事内容と比べて50万円程度安い」が32%で、この2つだけで9割以上を占めている。「仕事内容と見合っている」の回答が半数以上を占めるが、必ずしもそれは“心地よい満足感”の表れとはいえないだろう。「たしかに安いとは思うけれど、会社の業績も良くないし、まあ仕方ないかな」という苦渋の表現と理解すべきだろう。

 「ボーナス金額の評価基準で最も影響があったと思われる項目」では、「会社の業績」を挙げる人が44%と最も多く、次いで「個人の業績・成果」(26%)、「年齢・学歴・勤続年数」(13%)などとなっている。

図3 2008年冬のボーナスの決め手は何?
図4 2008年冬ボーナスは、自分の仕事内容と比べて安い? 高い?


  無駄遣いをやめて、
貯蓄か投資へ

 ボーナスには「出たらこれを買おう」「海外旅行に行こう」というワクワク感があるものだが、今冬は世の中全体にそれが感じられない。今回の調査でも、ボーナスの使い道で圧倒的に多いのが「貯金する」(79%)だ。「ローン返済に充てる」は26%。「買い物をする」(46%)、「旅行する」(19%)もあるにはあるが、高額消費を忌避する傾向が見られる。(*複数回答)

図5 2008年冬のボーナスは何にいくら使う?(*複数回答)

 なにせ「現在の不景気に、自分なりの対策は?」という設問で最も多いのが「無駄遣いを減らす」「食費を節約する」「なるべく外食を控える」などのつましい声だからだ。無駄遣い排除・生活防衛に転じた消費者心理は、そう簡単に好転しそうもない。

 一方で、投資や給与以外からの収入源を模索する動きが強いのも、今回の特徴。株式、FXなどへの投資、サイドビジネス、資格取得などが「不況対策」のもう1つのキーワードになろうとしている。


☆苦境をチャンスに変えられれば
 あらためて振り返ってみると、急速に景気が悪くなったのは2008年夏ごろ。「リーマンショック」に代表されるように証券会社の買収や破たんが続き、世界の金融システム全体が大きなダメージを受けた。日本の株価暴落や急激な円高が引き起こされ、次第に不景気が実感できるようになった。

 今回の調査でボーナスが減額と答えたエンジニアは全体の26%だった。しかし金融危機の影響が本格的にボーナスに響くのは、2009年夏ではないかと思う。

 現実は厳しい。非正規雇用者の契約打ち切り、正規雇用者の早期退職募集など、ボーナスの増減どころではない話になってきている。「減額でもボーナスがもらえるだけ幸せ」かもしれない。苦しい状況はまだ続くだろう。

 そうはいっても、悲観するだけではよくない。苦境はつらいものだが、そこから変化や改善が生み出されることも多いという。嵐が通り過ぎるのをただ待つのではなく、不況に強いエンジニアになるために一歩踏み出せればいいと思う。難しいことだが、何ができるかを前向きに考えるだけでも違うかもしれない。

(加山恵美)


この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています



 

今回のインデックス
年収ダウンでもやりがいのある仕事。今後の昇給に賭けるY.Aさん
昇給のチャンスは次年度以降に。ITコンサルを目指すS.Oさん

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