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第75回 30歳ITエンジニア 同じ経歴でも転職格差が生じるわけ

Tech総研
2010/5/17

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要因3:主体的な取り組み
要因4:顧客視点に立った提案・問題解決力アピール

 さらに今回のケースのようなプロジェクトリーダークラスの転職の場合、2つの要素が重要になってきます。

 それは「主体的な取り組み」と「顧客視点に立った提案・問題解決力」。さまざまなプロジェクトを経験してきたといっても、その取り組み方や姿勢が問われます。

 プロジェクトマネージャの指示に忠実に従って職務を実行してきた人よりも、要件定義や設計などあらゆる過程で最善の策を自分で考え、行動に移していく。それがたとえ失敗したとしても、そこから改善策を見いだし、次につなげていく人の方が評価されます。

 加えて、顧客視点で物事をとらえる能力を備えているかも重要なポイント。プロジェクトは顧客あってのもの、という大前提を常に持ちながら、顧客が抱える問題点はどこにあるかを深く追究し、1つ1つの問題を解決するためのベストな提案ができることを証明することが重要です。

  転職格差解消のために
いま、できること

自分の強みを常に自問自答
応募企業の採用意図や背景をできる限りチェック

 以上の要因が絡み合うことで、同じキャリアやスキルを有していても“転職格差”は必ず起こってしまいます。

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 ではそうした格差を少しでも埋めていくためにいま、転職者ができることは何でしょうか。

 まず自分の強みを理解するためには、日ごろから“自問自答”するくせをつけること。面接になっていきなり自分の強みを相手に理解してもらえるように話すのは、かなり難しいことです。

 これまでのキャリアを振り返って、何がつらかったのか、何が楽しかったのか、何がうれしかったのかなど印象に残った経験を洗い出すことが重要です。例えばこれまで火を噴いているプロジェクトの火消し役を頼まれることが多く、その中で参加している各協力会社の課題を抽出し、それぞれに解決のための糸口や目標を設定し、なんとかまとめてきた実績が印象に残っているとします。この場合、「どんな状況でも冷静に対処できる能力」であったり、「人の話をヒアリングする能力」、また「課題解決力」といった能力を自問自答する中で導き出し整理すること。それができれば、導き出した各能力を自分の強みとしてアピールできる有力な証拠となるはずです。

 また、応募先企業の採用意図を把握するためには、日ごろの情報収集や、わたしたちのようなキャリアアドバイザーを利用するのも1つの方法です。

 ここで1つ注意してほしい点は、たとえ同じ企業が同じ職種を定期的に募集していたとしても、それが必ずしも常に同じ採用意図とは限らないということです。例えば同じプロジェクトリーダークラスの募集でも、前回は数人程度のメンバーを抱えるリーダー経験で十分だったのが、今回は10人以上の経験が必須、というようなことがあります。

 もちろんもっと細かな意図が企業側にはありますが、そこまで踏み込んで事前に理解するのは難しいので、あとは面接の場で直接、採用意図を確認してもいいと思います。

 今回、企業はなぜこの職種を募集するのか、そしてどんな人を採用したいと思っているのかをその都度見極めたうえで、企業の採用ニーズに合致する自分の強みをアピールしていく柔軟な姿勢が問われます。

主体的に動くことが苦手でも、着実性をアピール
提案未経験でも顧客目線の考え方をアピール

 主体的な取り組みをアピールする場合、実際に主体的に行動してきた人ならばそのまま、取り組んできた仕事に関するエピソードを話すことでアピールすればいいでしょう。一方、主体的でないと自ら感じる人にとっては、そもそも主体的な取り組みをアピールするのは難しいことです。その場合、例えば「上司からのどんな指示に対しても、必ず忠実に実行してきた」とすれば、具体的にどのように実行することにしていたのか工夫した内容をアピールすることで、「どんなときも手を抜かず、丁寧に仕事をする人」という別の強みをアピールできます。自分なりに着実に仕事に取り組む姿勢はそれだけで十分、評価対象になるわけです。

 同じように、これまで顧客提案の経験がなかったとしても、それに置き換わる経験をアピールすることも可能です。例えばSEやプログラマの人が上流工程やマネジメント領域にキャリアアップする目的で面接を受ける場合、設計段階で「お客さまが本当に必要としている機能は何か?」「より便利で使いやすくなる仕組みは?」といった視点でアイデアを考え、それを設計に反映させてきた実績があるなら、高く評価されます。顧客目線の視点を持った業務経験があることが重要なのです。

 このように、たとえ主体的でなくとも、そして顧客折衝の経験がなくとも、それに置き換わる別の強みを探し出し、アピールしていくことで転職格差を縮めることができるはずです。

この記事は、Tech総研/リクルートの2010年2月24日公開の記事を
再編集して掲載しています

 

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