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人材紹介会社のコンサルタントが語る
第11回 将来への不安と不満を解消する方法

キャリアデザインセンター

平岡健
2003/07/23

求職者は、人材紹介会社のコンサルタントに転職相談だけではなく、職場の不満、自分の夢などを語ることが多いという。そうした転職最前線に身を置くコンサルタントだからこそ知っている、ITエンジニアの“生”の転職事情や転職の成功例、失敗例などを@ITジョブエージェントの各パートナー企業のコンサルタントに語っていただく。

現状に「不安」か「不満」を感じたとき、人は転職したくなる

 「不安」と「不満」。もし、転職志望者に「転職したい理由」というアンケートをとったならば、この2つを挙げる方がほぼ100%を占めると思います。

 この2つの感情を表す言葉の響きは似ていますが、意味は大きく異なります。簡単にいえば、不安は未来に対して、不満は現在に対して、何かしらの“負の感情”が大きくなったときに感じるものと区別できます。

 仕事をしている方であれば、この2つの感情は必ず持ち合わせているはずです。そして、どちらかの感情がたかぶったとき、「転職活動に踏み切ろう」と思うのではないでしょうか。

 私のところに相談に来られる転職希望者には、転職しようと思った理由を根掘り葉掘り聞きます。その理由の中で、不安と不満のどちらの感情が強いのかをしっかり確認します。

 この確認は非常に重要で、転職希望者の内面にある「本当の悩み」を引き出し、不安や不満に対する今後の指標を見つけることができるからです。では、ある実例をもとに話を進めていきます。

不満の原因を“環境”のせいにしていないか

 先日、ある大手SIerでシステムエンジニアをしている三上徹氏(仮名・27歳)が転職相談に来ました。「会社が用意する開発言語などの社内教育体制に不満があり、転職したい」という相談でした。いまの会社ではスキルが身に付かないので、教育体制の環境が整った会社に転職したいというのです。

 果たして三上氏が抱く本当の不満は何なのでしょうか?

 エンジニアの方が持つ不満で非常に多いものに、教育環境の不備というのがあります。常に新しい技術を身に付けておきたいと思うのは、エンジニアにとって当然の心理です。ただ、教育環境が整っていないから勉強できないというのは、「塾に行かないと勉強できない」と、親に泣きつく子どもと同じではないでしょうか?

 そうした安易な不満を理由に転職するのは、少し思慮に欠ける行動ともいえます。

 一時的な理由から、あるいは自分のスキルやマインド以外のものを不満の原因と決めつけ、転職活動を行っても、結局失敗に終わるケースが多いのは事実です。

 逆に自分自身に足りないものを見つけ、それを補うためにいまの環境で努力し、それでも不満が消えない場合、その不満を解決するために転職活動を行うのならば、新しい会社は不満を解消し、結果的に「満足」を与えてくれることでしょう。

自分のスキルを客観的に評価できるか

 では不安を理由にした転職はどうでしょうか。こちらも不満と同様で、一時的な感情のたかぶりによるものが多いです。ただ、不満はあくまで自分自身が直接感じて、発生する感情なのですが、不安は必ずしも自分自身が直接感じるものだけではないところが特徴といえます。こちらも実例を挙げてみましょう。

 ネットワークエンジニアをしている山本賢吾氏(仮名・31歳)が転職相談に来た際、「転職したい理由」を聞いたところ、「いままで積み重ねてきたスキルに自信がないから」と答えました。仕事で扱ってきた機器があまり使われているものではなく、似たような経験の知人と比較して、「このままでは市場価値がない人材になってしまいそうで不安に感じる」というのです。

 果たして、この男性が抱く本当の不安は何なのでしょうか?

 エンジニアの方が持つ不安で非常に多いものに、自分自身のビジネススキルに対する「先行き不安感」があります。確かに自分自身がどういうスキルを持ち、それを振り返ることは重要です。ただ。自分が積み重ねてきたスキルに不安を感じ、それらを払しょくしたいという理由で転職活動をしてもうまくいくのでしょうか。

 実際のところ、自分のスキルに自信がない方を採用する企業は皆無といっていいでしょう。よく見れば非常に良い経験・スキルを積まれている方に限って、この手の不安を覚える方が多いようです。それは自分とは似ているスキル・経験を持った方の不安を真に受けているケースが多いと思います。しかし、これは自分自身の市場価値を見誤っているといえるのではないでしょうか。

不安、不満とじっくり向き合う

 不安は自分の周囲から植え付けられることが多いものです。エンジニアが働くIT業界は、変化のスピードが速く、それに追いつくには常にたゆまざる努力が求められます。そうした原因で将来への不安を募らせるケースが特に目立つのです。

 環境の変化や周囲に惑わされず、「自分は何ができるのか、自分は何をしたいのか」を深く考え、それでも「不安」が消えない場合、その不安を払しょくするために転職活動を行うのならば、新しい会社は必ず将来への「安心」を与えてくれることでしょう。

 さらに、不安と不満は転職の失敗を招く大きな要因であるだけではありません。むしろ、自分自身を振り返り、自分自身の将来像をしっかり持つことができれば、とても適切な“指標”を与えてくれるものなのです。

 特にIT業界は劇的に環境が変化する傾向があります。そのため、ほかの仕事よりも常に不安と不満に悩まされることが多い環境なのです。それに惑わされないためには、できれば時間があるときに、「いま自分の中にはどちらの感情が生まれているのか」を一度じっくり考えてみてください。

 そうすれば、(自分の内面にある不安と不満をもとに)いま自分が働く環境を振り返ることができます。そして、いま自分は何をすべきかを考え、将来のキャリアを見つめ直すこともできるのです。

 こうしたプロセスを経て転職するのならば、自分自身が望んでいた安心と満足を得ることができるのではないでしょうか。


筆者プロフィール
平岡 健(ひらおかけん●1974年生まれ、兵庫県神戸市出身。大学卒業後は人材派遣会社に入社。仕事柄さまざまな業種や職種に触れる中で、求人雑誌の広告営業に興味を持ち、「type」誌の広告営業として2000年(株)キャリアデザインセンターに転職。その後人材紹介事業部に異動、現在に至る。IT業界を担当、特にソフトウェア業界を得意とする。@ITジョブエージェントを通じて@IT読者の転職支援も行っている。

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