自分戦略研究所 | 自分戦略研究室 | キャリア実現研究室 | スキル創造研究室 | コミュニティ活動支援室 | エンジニアライフ | ITトレメ | 転職サーチ | 派遣Plus |


エンジニアのキャリアアップに役立つ!
連載:最新の人材サービス活用法 最終回(第8回)
現代のエンジニアに求められるキャリア構築

辻俊彦(@ITジョブエージェント担当
2002/7/24

 人材会社での勤務経験がある筆者(現@ITジョブエージェント担当)が、現在最も注目しているもの、それはキャリアコンサルティングなどの人材会社による人材サービスだという。そんな人材サービスの最新動向を紹介するとともに、エンジニアがキャリアアップを実現するために、どのようにサービスを利用していけばいいのかを解説する。

 前回(「第7回 キャリアを企業戦略に例えて考える」)は、企業戦略で使われるフレームワークを自分戦略(キャリア戦略)に当てはめてみたうえで、キャリアとスキルの定期的な棚卸しを行うとともに、求人市場に関する情報収集を人材会社を通して行うことが重要だと書きました。最終回となる今回は、変化が激しいという、現代の特徴に即したキャリアを構築するうえで、意識しておくべきポイントについて述べたいと思います。

賞味期限の短い技術スキルより重要なスキル

 ITエンジニアの場合、スキルは以下の3つに大別できる、と思います。

(1)プログラム言語などのテクノロジ(技術)スキル
(2)ITを活用して効率化を実現する業務に関する知識(業務スキル)
(3)プロジェクトを円滑に進めていくヒューマンスキル

 3つのうち、習熟度が分かりやすい(1)の技術スキルばかりに注目が集まりますが、COBOL、VisualBasic(VB)、Javaといった言語に象徴されるように、はやり(流行)と廃りがあります。例えば、Javaを習得すれば10年安泰ということはなく、最近ではせいぜい3年が賞味期限といえるでしょう。また、ベンダ資格なども製品のバージョンアップごとに再取得が必要になっており、運転免許証のように簡単に更新できるわけではありません。つまり、技術スキルに関するスキルアップは、継続的に必要なのです。

 それに対して、業務スキルやヒューマンスキルは、本で独学することは難しく、実際のプロジェクトにかかわることで、体得していくことになります。そういう意味で、どういうプロジェクトにどういう立場でかかわったかは重要で、それは狭義のキャリアそのものということになり、キャリアがスキルを裏打ちすることになります。また、技術スキルは市場性がなくなれば、無に帰することもありますが、業務スキルやヒューマンスキルは、基本的に蓄積されていくものですから、日々の真剣な積み重ねが重要です。

 結論としては、流行の技術スキルを追うだけでなく、業務スキルやヒューマンスキルという足場を固めていくことも強く意識する必要がある、ということになります。環境変化が激しければ、技術スキルの賞味期限はさらに短くなることでしょう。

キャリアプランは変わるもの、短期間の目標設定が重要

 「第6回 キャリアデザインを作りませんか?」で書いたように、キャリアプランは変わりゆくものだという認識も重要です。キャリアビジョンの方向性を実現するには、現実が変化する以上、キャリアプランも必ず変わっていきます。そういう意味で、プランの目標の区切りを短期間(3カ月など)に設定していく必要があります。あまり長期間の目標を掲げてしまうと、到達前に見直しが必要となり、達成感を得られないまま、見直しばかりを行う羽目に陥ります。環境変化が激しいのであれば、目標設定はより短期間にならざるを得ません。しかし、その積み重ねこそが、本当の意味でのキャリアアップにつながることになります。

良いキャリアの基準は、極めて主観的なもの

 良いキャリアかどうかの基準は、結局、幸せなキャリアかどうか、という極めて主観的なものに行き着きます。「第4回 一般募集で得られないキャリアのフィードバック」でも書いたように、はた目からは成功したように見える転職の場合も、幸せな転職となっていないケースがあり、キャリアビジョンを考える際に、自分がやりたいこと、自分ができること、について、きちんと考えておく必要があります。

 その場合、「第2回 やりたいこととできること」でも書いたように、やりたいこととできることは一致しない場合が通常であることを自覚し、キャリアコンサルティングなどを通じて、やりたいことを見極めていくことがスキルアップの方向性を決めるうえで、非常に重要になってきます。

 さらに環境変化が激しければ、やりたいことが変わることも多く、「第5回 そもそもキャリアとは何だろうか」で取り上げたキャリア・アンカーのコンセプトを活用し、本当の自分を見つめ直す重要性が増すものと思われます。また、できることに関しては、変化に応じた価値の見直しを含めて、キャリアとスキルの定期的な棚卸しをすることが必要になります。場合によっては、弱みだったものが強みになったりすることが、現実にはあるものです。

直感で判断し、自分を信用する

 幸せなキャリアかどうかは、極めて主観的なものであり、環境変化が激しいぶん先が読みにくい、とすると、唯一頼れるのは、自分自身ということになります。何よりも自分自身の判断でキャリアを構築したこと自体が、幸せなキャリアの必要条件といえるでしょう。そこには、成功といわれることに対する違和感や環境変化に対する恨み節は存在し得ません。ただし、自分で判断する場合にも、相談相手は必要です。

 例えば、「第3回 コンサルティングで初めて見えてくるキャリア」でも書いたように、プロの聞き手に聞いてもらうことで、自分自身のキャリアビジョンが明確になったり、ほかの人の事例を踏まえることにより、思わぬ可能性が広がったりします。 また、求人市場に関する情報を人材紹介会社などで収集することにより、選択肢の幅が広がることもあります。結論としては、情報はできるだけ集めたうえで、自分の直感で判断することにより、幸せなキャリアを築くことが可能になるでしょう。直感は、自分の本当の願望を反映した潜在意識に支配されています。自分を信じて、ビジョンへ向けて進んでいきましょう!

筆者紹介
辻俊彦 ●2001年3月まで、エンジニア派遣大手企業で事業企画に携わり、 企業のニーズに合わせた育成プロジェクトを立ち上げる。エンジニアの自己実現をサポートするというポリシーの下に、@ITジョブエージェントのサー ビス企画にも関与。

「最新の人材サービス活用法」
自分戦略研究所、フォーラム化のお知らせ

@IT自分戦略研究所は2014年2月、@ITのフォーラムになりました。

現在ご覧いただいている記事は、既掲載記事をアーカイブ化したものです。新着記事は、 新しくなったトップページよりご覧ください。

これからも、@IT自分戦略研究所をよろしくお願いいたします。