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こっそり教える組み込みエンジニアの転職事情

第20回 仲の良い同期が爆弾発言、「君が転職してよかった」

淺井麻里(パソナキャリア)
2009/1/16

「したいことをするため」「条件のいい仕事に就くため」など、人はさまざまな理由で転職する。組み込み業界も例外ではない。同業界を舞台にした転職活動の喜怒哀楽を、キャリアコンサルタントがこっそり教える。

 転職をサポートしていると、転職活動中や企業から内定をもらった後で、「やっぱりいまの会社で頑張ることにしました!」と考え直す人がいます。特に「初めての転職」の人によくあるケースです。

 これが「1社目の壁」です。特にメーカーに勤める組み込みエンジニアの場合、その傾向が色濃いといえるかもしれません。1社目の壁は良くも悪くも作用します。その壁について、2回に分けてご紹介します。

1社目のかけがえのない存在、同期

 当たり前のようでいて、転職してあらためて感じるのが同期の存在の大きさです。もともと採用が少なく、同期がほとんどいない、という人もいるかもしれませんが、たとえ少なくても同期は同期です。

 同期のメンバーとは内定後、研修の合間など友好を深める機会が多くあります。大抵の企業は、同期同士の交流を促す機会を設けているのではないでしょうか。ここまで社員同士、交流を深める機会は、転職後はほとんどありません。

 配属後、たとえ違う部署だとしても、情報交流を図ったり、気軽にお願いしたりできるのが同期です。社会人としても共に成長していく同期は、大きな財産です。

 転職をすることで、あらためて同期のありがたみを知った、という声が少なくありません。

 一方で、同期と転職にまつわるこんなケースもあります。

仲の良い同期、でも「君が転職してよかった」

 大手家電系部品メーカーに勤める原田さんと近藤さん(共に仮名)。内定式のときから気が合った2人。同じ部署ではないものの、数カ月に1度は必ず飲みに行き、会社について、あるいは人生について語りあう仲でした。

 原田さんは院卒で、近藤さんは大学卒。同じ年に入社したエンジニアではありましたが、もともとの職階は原田さんが上でした。

 入社から6年が経過したある日、近藤さんに海外転勤の話が持ち上がりました。しかし、家庭の事情で転勤を受けることが難しいことから、近藤さんは転勤の打診のタイミングで転職活動を始めました。その結果、別のメーカーへの転職が決まりました。

 近藤さんが転職して数カ月後、原田さんとあらためてお酒を飲む機会がありました。そのときに原田さんが「実は……」と切り出した話の内容は、近藤さんにとって驚くべきものであり、「転職してよかった」と思わせるものでした。

 「本当、お前は仕事ができるなあ、とずっと思っていたんだよ。俺は院卒だから、いままで職階は上だったけど、そろそろ同じ職階になるんじゃないかと思ってた。

 それで、今度はお前の海外転勤の話だろ。そうすると俺よりも職階は上になるかもしれないなあ……と。もしお前が俺の上司になるとしたら、いままでどおりに接することができたか、正直、自信がなかったんだ……」

 こんなことを話してくれるのは腹を割って話せる同期だからこそですが、近藤さんにとっては少なからずショックでした。よく考えてみると、同期の集まりでは「○○がどこどこに配属になった」「△△があのプロジェクトのリーダーに抜擢された」など、昇進の話が増えていました。

 転職し、同期がいなくなって寂しく感じていたものの、出世レースを一歩離れて見ることができたのは良かったかもしれない、と思う近藤さんでした。

会社での評価、気にしすぎていませんか?

 プロジェクトで仕事を行う組み込みエンジニアの評価は、自分の努力はもちろんですが、配属された部署やプロジェクトの大小も影響します。

 会社で評価される人に優秀な人が多いのは事実です。しかし、やる気や素養があり、責任を持って業務を進めていたことが明らかなのに、上司の評価が低かったり、そもそも業績の悪い部署で配属に運がなかったり、という人もいます。

 仕事に一生懸命なあまり、会社における評価や立場を重視し過ぎる人は少なくありません。1社で働き続ける人に、特にその傾向が強いようです。たとえ転職しないにしろ、ほかの会社の評価など、社外における自分の評価を知るのは良い経験になります。

 同期との出世レースに疑問を感じたり、社内や上司の評価のことで頭がいっぱいになってしまったりしたら、一度社外の視点を持ってみるとよいかもしれません。

筆者プロフィール
淺井麻里(パソナキャリア)●大学卒業後、半導体製造装置メーカーを経て、パソナキャレント(現パソナキャリア)に入社。企業営業担当として2年間製造業の企業を担当し、現在はキャリアアドバイザーとして、電気・機械・化学などのメーカー系人材の転職サポートを行っている。

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