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〜自分戦略研究所 転職者インタビュー〜

転職。決断のとき

第3回 エンジニアを究められる環境を求めて

下玉利 尚明
2003/4/11

 スキルを上げるため、キャリアを磨くため、給料を上げるため――。エンジニアはさまざまな理由で転職し、新しい舞台で活躍する。では、転職の決断をするのはいつなのか? そしてその決断に至った理由とは何だろうか? その決断のときを、今回は@ITジョブエージェントを利用して転職したエンジニアに尋ねた。なお、本記事は2001年12月21日に取材し、@ITジョブエージェントに掲載された記事を再編集したものである。

今回の転職者:鈴木知明氏
プロフィール1972年、東京生まれ。大学院(社会学)を卒業後、外資系大手メーカーに就職。システムエンジニア、セールスエンジニアとして4年弱勤務の後、2001年12月に退職。その後、2002年3月フューチャーシステムコンサルティングに入社。

――大学院卒業後、転職するまで外資系の大手メーカーにお勤めだったのですね。そこでは、どんなお仕事をされていたのですか。

鈴木氏 その会社には4年弱勤務していたのですが、大まかに分けると前半はシステムエンジニアを、後半はセールスエンジニアをしていました。セールスエンジニアのときは、販売店支援のような業務が中心で、自社製品しか扱えないのが悩みでした。自社製品のスペシャリストにはなれても、果たしてそれでエンジニアとしてのキャリアアップ、スキルアップにつながるのだろうか、この次にはどうなるのだろうか、と冷静に将来のことを考えて、転職に踏み切りました。

――たとえ自社製品しか扱えないとしても、外資系の大手メーカーならば、安定したポジションだったのではないかと思います。しかし、あえてエンジニアとしてのスキルを高める道を選んだ。エンジニアを究めたいという気持ちは以前からあったのですか。

鈴木氏 大学時代は社会学を専攻し、卒業後はそのまま大学院まで進みました。ですから大学、大学院を通じ、エンジニアとしてやっていこうとは一度も思ったことはありません。最初の就職先に外資系の大手メーカーを選んだのは、企業としての安定性や成長性です。それと家から近かった(笑)といったことが理由です。どうしてもエンジニアをやりたかったわけではないのです。

――すると、外資系の大手メーカーへの就職は、いわゆる「就社」であって、就職ではなかったのですね。では、そこでの4年弱の経験で、「エンジニアを究めたい」と決断したきっかけは何だったのですか。

鈴木氏 入社当初は、文系出身のエンジニアがやっていけるのだろうかと不安ばかりが先行し、将来のキャリアをじっくりと考える余裕はなかったですね。正直いって、初めはエンジニアの仕事にやりがいを感じませんでした。しかし現場経験を積むにつれ、システムを立ち上げたときの達成感、顧客に喜ばれたときの充実感を何度か味わっていくうちに、考え方が変わってきました。

スキルを高められる環境で働きたくなった


 また、スキルに多少の自信がついてきたことも、「エンジニアを究めたい」と思うようになった理由の1つです。当時は、メッセージング・ソリューション、つまりメールサーバ周りのシステム構築を担当していたのですが、社内で花形の部署というわけではなくメンバーも少人数でした。私の性格上、そのような環境だと燃えます(笑)。この部署では自分のスキルのベースをWindows NTと定めて、たくさん勉強しました。 技術解説書を使った自習はもちろん、トレーニングセミナーにも参加しました。メールサーバ周りだけに、Windows NTのみならず、UNIXも勉強しましたから、4年弱でWindows NTとUNIXの知識とスキルは、それなりに身に付けたと思います。スキルが身に付くのと比例して、エンジニアを究めたいという思いが徐々に強くなってきました。

――それで転職を決意したのですね。退職の経緯や転職活動について教えてください。

鈴木氏 2001年の12月末に外資系の大手メーカーを退職しましたが、その3カ月くらい前から退職に向けた準備をしました。しかし退職直後に転職するつもりはなかったので、在職中に主だった転職活動はしていません。退職してから転職するまでの期間を充電期間にしたかったためです。そこで退職金は自分への投資として、トレーニングを受けたり、書籍を購入したりする費用に充てました。全部で100万円くらいは、このような自己投資に使いましたよ。

 知人に勧められて、ある人材紹介会社と接触したのですが、その会社はIT業界について詳しくなかったため不満足でした。エンジニアを究められる転職をしたいと思っていたので、IT業界専門の人材紹介会社に登録し、本格的に転職活動を行いました。

――人材紹介会社を使って、転職先を探すに当たって、気を付けたことはありますか。

鈴木氏 転職は初めてだったので、もちろんノウハウはありません。ただ、初めから人材紹介会社のコンサルタントに対し、自分の意見をはっきりと説明しました。「Windows NTとUNIXのスキルが自分のアピールポイントで、それが生かせる企業を紹介してほしい」と伝えました。また、開発経験はなかったのですが、データベース関連のスキルを身に付けたかったので、Windows NTとUNIXに軸足を置きながら、データベースにも携われるところがベストだとも伝えました。

自分の思いが実現できる企業ならば転職すべき

――フューチャーシステムコンサルティングを選んだのはどういった理由からですか。

鈴木氏 技術レベルの高さです。技術的に「骨太」なところに引かれました。さらに、新卒で入社した外資系メーカーが、国内数千名、全世界で数万名もの社員を抱える大企業だったので、それよりも規模の小さい企業で働きたいという気持ちもありました。転職先の選定では、新卒時の会社選びとは明らかに自分の意識が違っているのを感じていました。スキルと経験というよりどころがあり、そのスキルを高められるような企業で働きたいという明確な目標を持てるようになっていたのです。

 実は、フューチャーシステムコンサルティング以外にも数社から内定をいただき、その中にはそれこそ世界的な大企業もありました。ただ、その会社での業務は製品担当エンジニア。自社製品の知識は身に付いても、エンジニアとしての幅は広げられない。これでは新卒で入社した外資系メーカーと何ら変わらない……。そう考えてフューチャーシステムコンサルティングを選んだのです。いまの職場では、データベースにかかわる仕事も担当できるので、大変満足しています。これからの数年は、引き続きエンジニアとしての基礎体力を付ける時期だと思っています。

――希望どおりの転職だったようですね。その経験から、転職を検討しているITエンジニアの方々に何かアドバイスをお願いします。

鈴木氏 自分にもいい聞かせていることなのですが、エンジニアとして生きていくなら探究心、向上心を決して失ってはならないと思います。それと併せて、自分でどんなエンジニアになりたいのかを考え直してみて、その思いを実現できる企業ならば、思い切って転職すべきではないでしょうか。 私の場合、転職のキーワードは「幅広いスキル」でした。特定の製品に強いエンジニアではなく、幅広いスキルを持ったエンジニアになりたかったのです。後は、面接の直前にトイレで笑顔の練習をして(笑)、多少、大げさでも自分をアピールするのがいいと思いますよ。

担当コンサルタントからのひと言
 鈴木さんは転職先として「スキルアップできる環境」を前提にしていたので、最新の技術動向を踏まえながら、彼の意向に合う企業情報の提供にコンサルティングの重点をおきました。

 フューチャーシステムコンサルティングへの転職を成功させた理由は、新卒以来、世界最大手の外資系ベンダにいたため、対顧客におけるコンサルティング能力が優れていた点にあると思います。現場における実装経験がやや浅かったものの、上流スキルと技術スキルに関するポテンシャルは、上流から実装までの業務に強みを持つ同社にとって非常に魅力的だったのではないでしょうか。 またヒューマンスキルの面では、技術力アップへの志向を持ちながらも、顧客側に立って会話できる点が評価されたと思います。
                            
テクノブレーン 人材開発事業部 コンサルタント 村井 知光氏
                    

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