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〜自分戦略研究所 転職者インタビュー〜

転職。決断のとき

第4回 転職しないことを「リスク」と感じた

加山恵美
2003/5/9

 スキルを上げるため、キャリアを磨くため、給料を上げるため――。エンジニアはさまざまな理由で転職し、新しい舞台で活躍する。では、転職の決断をするのはいつなのか? そしてその決断に至った理由とは何だろうか? その決断のときを、今回は@ITジョブエージェントを利用して転職したエンジニアに尋ねた。

今回の転職者:佐藤光一氏
プロフィール■1973年北海道生まれ。札幌ソフトウェア専門学校卒業後、情報サービス業にてシステム開発・設計に携わる。2002年7月株式会社オーケイウェブに転職。現在はソリューションディベロップメントグループのシステムエンジニア。

 学生時代の趣味から専門学校を経てIT業界へ。PDAや動画処理の開発を6年経験したが、受託開発の無力さに失意の日々を送っていた。30歳を目前に「何か前向きに頑張れるようになりたい」と思い、転職を決めた。いまでは充実感に満ちた仕事を手にして、彼はとても生き生きとしている。今回は転職によって自分の人生の方向転換に成功した例だ。

■仕事が面白くなかった

 2001年6月ごろ、佐藤氏はふさぎ込んでいた。転職する1年前だ。

  「転職のきっかけはネガティブな感情からでした。『会社に行きたくない』とまで思い詰めていました。仕事が面白くなかったのです。どうにかしなくてはと思いました」

  当時、佐藤氏は就職して5年が経過し、開発プロジェクトのサブリーダーを務めるようになっていた。だが、むなしかった。「自分が頑張ってもどうにもならない」という不満がうっせきしていた。どうにかしてそこから脱却し、前向きに仕事を頑張れるようになりたいと感じていた。ここから彼の人生が動き始めた。

大きな会社は雑音が多い。本当に自分のやりたい仕事をやりたかった


■受託開発のつらさ

 佐藤氏は北海道で生まれ育った。高校卒業後、コンピュータ系専門学校へ進んだ。専門学校ではCやCOBOLを学び、学校の紹介で東京のIT企業への就職を決めた。専門学校卒なので、すぐに実践へと投入された。その会社にいる6年間は主にCを扱い、前半はPDA端末の開発、後半はWebアプリケーションの開発などを行っていた。

 しかし、いつしか無力さを感じ始める。何かアイデアが浮かんでも、受託開発という立場ではシステムに提案することはできなかったからだ。ほかの部署の友人に話しても、皆同じ悩みを持っている。当時の会社には他企業との合併話も取り沙汰されていて、社内には末期的な絶望感も漂っていた。

  「仕事は厳しくなかったけど、つらかったです」

  上司にも相談した。佐藤氏は上司から厚く信頼されていた。入社以来、上司と仕事も部署異動も同じで「片腕」と呼ばれていたくらいだ。その上司にも受託のやるせなさを愚痴った。上司も同じ悩みを長年抱えていたため、よく理解してくれた。しかし「どうにもならない」としか答えてもらえなかった。 

■転職が頭に浮かぶが……

 そうしているうちに頭に「転職」の文字が浮かんできた。だが、家族に相談したら反対された。ネガティブな気持ちのままで逃避するのはよくないというのがその理由だ。

 現状に不満だったのは無力感だけが理由ではない。今後、スキルが停滞することにも危機感があった。このままいくと、この状況に耐えながら管理職になる自分が見えてきた。自分の上司のように……。 「大きな会社は雑音が多い。本当に自分がやりたい仕事をやりたかったのです」

 一生エンジニアを続けるつもりはないにしても、もう少し長くエンジニアを続けたかった。何よりも、積極的にシステム開発に携わりたかった。しかし転職するにしても、社内で転職する人はほとんどいなかった。

■30歳は人生のターニングポイント

 転職を意識しつつも、佐藤氏はしばらく就職活動への着手を見送った(後で述べる家庭の事情もあったようだ)。代わりに、自分なりに社内で前向きになろうとも試みた。 「上司は理解のある人で、私が社内勉強会を開催したいといえば快諾してくれました。例えばナレッジマネジメント、Java、Webアプリケーションなどについて同僚と情報交換しました」

 約半年ほど月日が過ぎた。その間に自分でもいろいろと考えた。それでも転職への決意は揺るがなかった。自分の年齢にも後押しされた。 「30歳は人生のターニングポイントの1つと思っています。30歳を前にして、何か行動に移さなくては、何かステップアップしなくてはと思いました」

 同時に転職に関する情報収集も密かに続けていた。転職するにはどうしたらいいのか、どんな手順を踏むのか。匿名の給料査定も試してみた。徐々にイメージが鮮明になってきた。 翌年(2002年)の春には、そんな転職への決意に家族も反対しなくなる。そして、いよいよ上司にも転職の意志を打ち明ける。信頼関係があるだけに、後ろめたかったという。上司は佐藤氏が離れていくことを惜しみながらも、最終的には転職を認めてくれた。

 家族にも上司にも了解が得られたのを確認し、就職活動を始めた。

■率直な面接とそこで得た自信

 「まずは手始めに」と、佐藤氏は@ITジョブエージェントに登録した。すぐに返事が来たのにはさすがに驚いたそうだ。オファーがあった4社のエージェントの中から、メールの本文に好印象が持てた会社とコンタクトを取った。

 企業を選定する際に重要視していたのは業務内容や会社規模で、給料は二の次だった。佐藤氏が興味を持っていたのはナレッジマネジメント、Java、Webアプリケーションなど、社内勉強会で熱心に情報収集した範囲でもある。社内勉強会は転職活動の準備の一環だったのかもしれない。何はともあれ、そうした興味のある業務内容を持つ企業をいくつか候補に選んだ。そして面接へと歩みを進めた。

 「それまで転職に成功できるのか自信がありませんでした。なぜなら、あまり他社の人とかかわりがなく『井の中の蛙(かわず)』だと思っていたからです。でも、面接で将来の同僚となるエンジニアと対等に技術的な話ができたのです。これならいけるかもと確信を持てました」

  面接では雇用条件や残業について率直に聞いた。実はこのとき、子どもが生まれたばかりだった。 「子どもがいるので早く帰らせてください。その代わり、仕事はきちんとやります」

 幸いにも会社は理解を示してくれた。会社の寛容性に感動し、この上司となら信頼関係を築いていけるだろうと自信も持つ。面接を重ねるにつれ、成功への手応えも確信する。 「最終面接では社長と話しましたが、その人柄に圧倒されました」と笑う。

 こうして、2002年7月には新しい会社で新たな一歩を踏み出した。最初の申し込みからほぼ2カ月。かなり短期間で決まったケースである。

転職はギャンブルだが、それに「勝てる」と確信できるのならば転職した方がいい

■転職という“ギャンブル”に勝った!

 佐藤氏の愛娘は取材した(2003年4月)時点で、まだ18カ月。ということは、第一子誕生と直後の育児を体験した後で転職活動を開始したことになる。いやむしろ、この事情があったから就職活動を一時的に見送ったのだろう。父親になる過程は転職への決意をより強固にしたという。

 一般的に考えれば、家庭を持てば転職というリスクを避けようとする人が多い。しかし、佐藤氏には逆だった。転職は子どものため、また家族のためでもあった。

  「ぼくにとっては、前の会社にいることの方がリスクでした」  

 現在、新しい会社で10人くらいのチームで開発を行っている。いまの会社は前と比べて少数精鋭で、社員が柔軟に動ける環境がある。また仕事にも専念できる。積極的にシステムに携われることも、彼にやりがいをもたらしている。家族には「前よりずっと明るくなった」といわれるようになった。 こうして自らの力で、仕事の閉そく感から脱出することができたのだ。

 「転職はある意味、ギャンブルともいえます。成功するかもしれないし、失敗するかもしれません。しかし振り返ってみると、ぼくは『勝てた』と確信しています。いまの会社はとても働きやすく、仕事に集中できる環境だからです。これからも積極的にスキルアップを目指していきます」

担当コンサルタントからのひと言
 佐藤氏は転職理由とやりたい仕事、働きたい会社の規模などが明確でしたので、それらの希望にマッチする会社をいくつか提案しました。 その中から、オーケイウェブ社を薦めた理由は、佐藤氏が関心を持つ「ナレッジマネジメント」関連の業務という点、さらに将来が期待されるベンチャーであることなどです。

 セールスポイントは、技術面でいえば、一貫してソフトウェア開発に携わっており、Webアプリケーションの開発に強みがあったこと。そして基本設計からテストまで携わってきた経験や開発リーダーとして活躍してきた経験もプラスポイントになったのではないでしょうか。

 また、 人に好印象を与える人柄でコミュニケーション能力もあります。冷静な中にも情熱を感じさせ、バランス感覚のいい人でした。 これらの部分が採用面接時にも評価されたことと思います
                            
リーベル 代表取締役 石川隆夫氏
                    


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