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「転職でキャリアアップ」のウソ・ホント

第6回 システムの全体見るならユーザー企業?

アデコ
大田耕平
2007/6/7

数年前と比較すれば、転職は身近なものになってきている。だからこそ気を付けたい「転職でキャリアアップ」の思い込みについて、「ウソ・ホント」の視点で考えてみたい。

ユーザー企業への転職は、必ずキャリアアップにつながる?

 好景気が続く昨今、ITエンジニアの転職市場は過去にないほど活発になっています。受注側だけではなく、仕事をSIer(システムインテグレータ)に発注する側のユーザー企業の求人も増加傾向にあるといえるでしょう。

 日ごろ多くの求職者とお会いする中で、希望職種として「ユーザー企業のシステム担当者」を挙げる人は少なくないと感じています。

 「現状ではエンドユーザーと接する機会が少ないため、いつかはユーザー企業に勤めてユーザーの要望をくみ取れるようなシステムの企画に携わりたい」と考えているITエンジニアは多いでしょう。また、「ユーザーから無理な注文を受けてばかりなので、今度はぜひ発注者の立場で働いてみたい」という人もいると思います。

 しかし、ユーザー企業への転職は、必ずITエンジニアのキャリアアップにつながるのでしょうか?

 今回はあるITエンジニアの事例を基に、ユーザー企業への転職について考察してみたいと思います。

池山さんの悩み

 池山さん(仮名)は26歳、4年目のシステムエンジニアです。大学を卒業後、新卒で社員60人ほどのシステム開発会社へ入社。以来、生命保険会社に常駐して汎用機による基幹システムの開発に携わっていました。

 これまでにCOBOLによるプログラミングから詳細設計、基本設計と着実に経験を積んできており、直近のプロジェクトでは部下2人のスケジュール管理と作業の指示を行うサブリーダーを任されています。

 始めたばかりのマネジメント業務に少し苦労はあるものの、現在の役割にはやりがいを感じている池山さん。はた目にもITエンジニアとして順調にスキルアップしているように思えるのに、なぜか転職を考え、私のところに相談に来ました。理由はどうやら勤めている会社にあったようです。「業務が特定のクライアントの特定の領域に依存しており、現在のプロジェクトから学べる内容にも限界を感じている」とのことでした。

ユーザー企業で働きたい

 池山さんの会社が請けるプロジェクトは、すべて汎用機の保守・開発にかかわるもの。そのため、自社の上司を見ても汎用機エンジニアばかりで、オープン系の技術知識は誰も持っていないとのことでした。また、生命保険システムの業務領域としても情報系の案件はほぼ皆無で、入出金の分野が大半を占めているとのことです。

 現在の環境では身に付けられる技術に限りがあり、自身のスキルも頭打ちになってしまう。そう感じた池山さんは、それまでの経験を生かしつつもっと幅広い視野で活躍できるITエンジニアになりたいと考え、相談に来たのでした。

 業務内容が特定のクライアントに依存してしまうというのは、中小規模のソフトハウスにありがちなケースです。

 「最近、システム全体を理解するのが難しいと痛感することが多いんですよ。案件のせいなのかもしれませんが、会社の隣のシマのプロジェクトが何を開発しているか知らないですし、自分がアサインされているプロジェクトとどういうかかわりを持っているのかさっぱり分からないんです。

 ですから今度は生命保険会社のシステム企画部で働きたいと思っています。そうすれば生命保険システムの全体が見えて視野も広がり、自身の不満も解消できると思います」

   

今回のインデックス
 「転職でキャリアアップ」のウソ・ホント(6) (1ページ)
 「転職でキャリアアップ」のウソ・ホント(6) (2ページ)

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