第7回 ずっとフリーランスでいられますか?
| 数年前と比較すれば、転職は身近なものになってきている。だからこそ気を付けたい「転職でキャリアアップ」の思い込みについて、「ウソ・ホント」の視点で考えてみたい。 |
実際にあった事例を通して、キャリアアップ転職に関する多くの人の共通認識が本当なのか否かを検証する本連載。7回目である今回は、読者にも関心が高いと思われるフリーランスエンジニアを取り上げます。
フリーランスという働き方は、1つの選択肢として魅力的なものです。フリーランスに仕事をあっせんしてくれるような会社やサービスの広告を見ると、働き方や仕事量、身に付く技術や報酬などについて、良い面ばかりを強調しているものが多くあります。
しかし、ほかの就業形態と同じく、フリーランスにもメリットとデメリットがあります。それをよく考えたうえで選択しなければ、大やけどをしてしまいます。
■「所属しないこと」の気軽さ
さて、そもそもフリーランスエンジニアの魅力とは何でしょうか。私が支援している転職希望者のITエンジニアの中にも、多くのフリーランサーがいます。その人たちはなぜ、この働き方を選んだのでしょう。
- 仕事とプライベートの両立を図りたい
- 報酬を上げたい
- 仕事を選びたい(技術を選びたい)
- より厳しい環境で自分を試したい
よく聞く理由はこんなところでしょうか。
これらのフリーランスの魅力は、実は「どこにも所属しないこと」に起因することばかりなのです。
日本では、労働者の多くが何かしらの組織に所属しています。組織で働く以上、「個人の論理」だけではなく「組織の論理」にも拘束されてしまうことになります。さまざまな不合理に遭遇することもあるでしょう。
キャリアは自分でつくるものではありますが、実際には会社の中で組織的に割り振られた業務分掌に従って形成されていくものといっても過言ではありません。
そういった不自由さを嫌に思う人は、フリーランスを志向する傾向にあります。そこで考えなければいけないのは、フリーランスという働き方が、長いスパンで持続可能かということです。
■フリーランスの限界
「どこにも所属しない」フリーランスのデメリットを1つ挙げましょう。フリーランスでは上記のように、システムの構成や使用する技術、期間などを選んで働くことが可能です。特に昨今のITエンジニアの人手不足は深刻で、以前にも増して仕事を選ぶことのできる状況にあります。
しかし、仕事の多くが開発やテストなどの下流工程であることも事実です。設計、要件定義などの上流工程になればなるほど、正社員以外に任せるケースは少ないでしょう。
受託者側から見ると:下流工程の仕事で長く将来にわたって満足できるか?
発注者側から見ると:下流工程の仕事を年齢の高い人にお願いしたいか?
ITエンジニアの多くは、年齢を経るにつれて上流工程を希望したり、プロジェクトや職場での権限、存在感を高めていこうとしたりする傾向があると思います。そういったときに、フリーランスという働き方とギャップが生じてしまうのです。
■フリーランスから正社員に戻りたい
ここで、フリーランスから正社員に転職しようと考えたITエンジニアの事例を紹介しましょう。
鎌田さん(仮名)は31歳のシステムエンジニアです。23歳でIT業界に入って以来、8年のキャリアがあります。社会に出て最初の3年は中堅システムインテグレータ(SIer)にてプログラマをしていましたが、会社員として働くことに不満を感じるようになり、それからはフリーランスで5年間働いているそうです。
明るい性格で技術分野の向上心の高い鎌田さんは、職場でも周囲の人と良好な関係を築いていて、ここ数年は大手SIerの案件で通信販売会社のコンタクトセンターのシステム構築に参画していました。
そんな鎌田さんが転職を考え始めたきっかけは、次のようなことでした。
システム構築の途中で、重要なシステム上の欠陥が発見されたときのことです。エンドユーザーである通信販売会社の情報システム担当者や、鎌田さんが働いている大手SIerのITエンジニア、ハードウェアベンダなどは大慌てで、アーキテクチャの検証業務とトラブル回避の善後策を検討していました。
そんな状況なのに、鎌田さんなどの実装工程を請け負うエンジニアは蚊帳の外。決まったリカバリプランを一方的に押し付けられ、それに従って進めたところ、典型的なデスマーチプロジェクトになってしまったそうです。鎌田さんのモチベーションはすっかり下がり、フリーランスの限界を強く意識するようになりました。「もう一度、正社員に戻ろうか……」、そう考えるようになったのです。
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| 今回のインデックス |
| 「転職でキャリアアップ」のウソ・ホント(7) (1ページ) |
| 「転職でキャリアアップ」のウソ・ホント(7) (2ページ) |
「転職でキャリアアップ」のウソ・ホント バックナンバー
- 第1回 転職すれば給料上がるよね?
- 第2回 プロマネにならないと生き残れない?
- 第3回 派遣社員なら好きな仕事が選べる?
- 第4回 「資格を取って転職」は可能?
- 第5回 新卒1年目でも転職できますか?
- 第6回 システムの全体見るならユーザー企業?
- 第7回 ずっとフリーランスでいられますか?
- 第8回 30代・下請け。上流工程に行くのは難しい?
- 第9回 やっぱり、プロマネ経験がないとダメ?
- 第10回 せっかくの大手なのに。転職するなら離婚する!
- 第11回 転職経験、4回。こんな私でも転職できますか?
- 第12回 31歳、5回目の転職。2年に1回は転職してます!
- 第13回 「前向き」な転職理由じゃないとダメでしょ?
- 第14回 私生活を犠牲にしなければ、成功できないの?
- 第15回 大手企業ならITエンジニア人生は安泰?
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- 第17回 「少数派」が武器になる女性エンジニアの転職活動
- 最終回 「汎用機エンジニアに未来はない」はウソである
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