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なぜ、彼らは転職を考えたのか

第4回 出張続きの生活に疲れが。故郷で働きたい!

アデコ
大田耕平
2007/8/17

ITエンジニアは、どのような理由で転職を考えるのか。いくつかの事例から、転職者それぞれの課題と解決のプロセスを紹介する。似たような状況に陥ったときの参考になるだろう。

増加するUターン転職希望者

 システムの開発がさまざまな形態で行われるようになった昨今、システム開発や保守・運用を地方で行う企業は以前よりも増えてきていると思います。新聞では、地方都市でのコールセンターや開発センターの開設という記事も目立ちますね。

 しかし、まだまだシステム開発の仕事は東京や大阪など都市部に多いのが実情です。

 その一方で、Uターン転職の希望者は増加傾向にあります。仕事と私生活のバランスを考え、「いずれは故郷で働きたい」と考えたことのあるITエンジニアも多いのではないでしょうか。Uターン転職を試みたものの、なかなか良い案件に巡り合えなかったという人も、情報が少なくてなかなか実行に踏み出せないという人もいると思います。

 今回はあるITエンジニアのUターン転職の事例を基に、転職動機とその解決策を追っていきたいと思います。

家庭も仕事も充実した毎日。のはずが……

 宮田元治さん(仮名・32歳)は、商社系ITベンダに勤めるITエンジニアです。地元である岡山で理工系の大学を卒業後、東京に本社を構える現在の会社に首都圏採用で入社しました。

 現職の主なクライアントはグループ内の各社です。入社して数年間は小さなプロジェクトでさまざまな開発環境に触れ、汎用機のシステム開発からJ2EEや.NETフレームワークを使ったWebアプリケーションの開発まで、幅広く経験してきました。

 3年前からは、親会社の基幹システム再構築にかかわるプロジェクトのリーダーとして、会計システムの開発に携わっています。メンバーは協力会社を含めて7人。忙しいプロジェクトではありますが、スキルアップを志して前向きに取り組んでいました。

 またプライベートでは2年前に同郷出身で10年来の付き合いである恋人と結婚。1年半前には待望の長男が誕生し、家庭も仕事も充実した毎日を過ごしていました。

 そんなある日、宮田さんにとって大きな転機となるイベントが発生したのです。

突然訪れたシステム部の移動、そして決意

 それはグループ会社の基幹システム統合に伴う、システム開発部門の大幅な組織変更でした。その結果、開発拠点が東京から仙台に移転したのです。

 システム開発部門の重要なポジションで仕事に携わっていた宮田さんは、月曜の朝の新幹線で仙台に行き、平日は仙台のホテルに滞在、金曜の夜の新幹線で東京に戻り、週末のみ自宅で過ごすといった生活を余儀なくされました。そしてそんな生活が、すでに半年続いています。会社からは引っ越し、単身赴任を打診されています。

 1歳ちょっとのお子さんはようやく立って歩き始めたところです。かわいい子どもの成長を実感できる毎日を過ごせていたはずだったのに、実際は週末にしか会えない状態。宮田さんにはそれが大きなストレスとなっていました。

 そんなとき、頭の片隅にあった、故郷である岡山へのUターン転職を実行に移そうかと思いついたのです。以前から同じ岡山出身の奥さまとも話し合い、「東京はずっと住むのにふさわしいところではない、子どもにも自分たちの育った土地ですくすくと育ってほしい」と考えていたそうです。

 また宮田さんは兄弟も皆県外にいるため、ご両親のこともそろそろ考えなくてはなりません。それに東京で得た経験・知識を、いつかは自分を育ててくれた岡山に還元したいという思いもありました。

 今後の人生で何に重きを置き、どう過ごすか。ワーク/ライフバランスについて熟考した結果、宮田さんは岡山へのUターン転職を決意したのでした。

仙台と岡山は遠いよ……さて宮田さんは?  


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