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第11回 ひがやすを――Seasarと「ひがやすを飲み会」

岑康貴(@IT自分戦略研究所)
2009/3/25

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「成功しやすさ」の確率を上げるために

 
   

 オープンソースのフィールドで認められ、その功績が会社にも認められて、収入につながる。ひが氏はそれを実践してきたわけだが、実際には「レアケース」といわねばならないだろう。個人の頑張りだけで、このようなキャリアを積むことは可能なのだろうか。

 ひが氏は「運ですね」と断言する。

 「運以外の何物でもない。例えば、わたしがいまとまったく同じスキルのまま、生まれ変わって何かをしたとき、また同じように成功するかというと、成功しないと思っています」

 たまたま羽生氏が「Seasarを使ってみたい」といってくれた。たまたま社内にSeasar2を使った案件があった。たまたま飯田氏が同期にいて、しかも彼がたまたまインキュベーションの業務に携わっていた。たまたま、彼が会社の上層部に話をしやすい立場だった。

 「全部、運。実力だけで成功できるほど、きっと世の中は甘くないんじゃないかな」

 ただし、とひが氏は付け加える。「成功しやすさ」の確率を上げることはできる。どうすればいいのか。それは「常にチャレンジを続けること」だ。

 「宝くじは買っておけ、ということ。宝くじはほとんど当たらないものだけど、買わないと当たらない。可能性が低いと思って、最初から何もしなかったら、本当に何も起きないんです。チャレンジを続けていれば、いつの日か当たる『かも』しれない」

 迷って何もしないより、迷ったらチャレンジする方を選択する。ひが氏はそうしてきたと語った。

未来サミットから「ひがやすを飲み会」へ

 ひが氏は現在、自らのSeasarプロジェクトの活動とは別に、「ひがやすを飲み会」を開催している。現在までに東京都、仙台市、札幌市の3カ所で開催。4月には富山市での開催を予定しているという。IT業界について、ざっくばらんに話そう、という場だ。

 ひが氏が「ひがやすを飲み会」の開催を宣言したのは2008年9月13日、「エンジニアの未来サミット」でのこと。「『10年は泥のように働け』『無理です』――今年も学生と経営者が討論」という記事を読んだひが氏が、「IT業界は『泥』ばかりじゃないし、かといって、いい面ばかりでもない」という事実を多くの人に――特に、これからのIT業界を支える学生たちに――伝えるために企画したイベントだ。

 「未来サミットは、自分にとっては失敗でした。登壇者は皆さん、自由に話してもらった方が面白いだろうという人ばかりだったので、最低限の部分だけ決めて、あとは自由に話してもらうということにしたんです。そうしたら、あまりにもフリーになりすぎてしまって……」

 もっと近い距離で、伝えたかったことを話せる場が欲しい。「ひがやすを飲み会」はそうして生まれた。東京開催時は、IT業界の人間だけでなく、学生の参加者もいたという。

  「IT業界はつらいところもあるし、楽しいところや華やかなところもある。努力次第だから、前に向かって歩こうよ、ということがいいたかった。『ひがやすを飲み会』では、いろんな人とそういう話ができています。そういう意味では、未来サミットからの一連の流れは『やって良かったな』と思っています」

会社という枠を超えて

 「積極的に頑張る人は成功してほしいし、応援したい。逆に、自分から積極的に動かない人は、うまくいかなくても仕方ないかなと思います」

 「ひがやすを飲み会」に参加する人には、何かを得てほしい、とひが氏は語る。オープンソース・コミュニティや「ひがやすを飲み会」のような場所に足を運ぶか、それとも会社の中で悩み続けるか、決めるのは自分なのだ。

 会社でつらいことや苦しいこと、うまくいかないことがあったとき、どうするか。「こういうこと(ひがやすを飲み会)をやっています、というアナウンスはしています。あとは自分で決めること」

 会社という枠を飛び越えて、エンジニア同士で交流しあう場は、あなたに何かを与えるかもしれない。会社の枠を飛び越えてオープンソース活動を行ったことが、ひが氏の人生を変えたように。

 

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