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組み込みエンジニア、転職先のポイントは?

第1回 エンジニアは、ものづくりの現場がお好き?

イムカ キャリアコンサルタント
2007/9/20

組み込みエンジニアが転職先を選ぶ際のポイントを、企業の形態、開発の規模、勤務地、開発体制などから考えてみよう。いつもとは異なった視点で転職を考えることができるかもしれない。
 

 ここ数年、組み込みエンジニアの不足が叫ばれています。その声に比例して、企業による組み込みエンジニアの中途採用活動も活発化しています。

 また、これまではビジネスアプリケーション開発などが主体だったソフトウェア企業やシステムインテグレータ(SIer)が、ここ数年新たに組み込みソフトウェア開発事業に参入・注力を始める動きが加速しているようです。

 こうしたさまざまな市場の変化が、組み込みエンジニアの転職環境にも影響を及ぼしています。その結果、転職における選択肢は多様化しているのです。そのことから、従来にも増して転職希望者は、自分にはどういう会社・環境が最適なのかをしっかりと見極めて選択する必要があります。

 特に組み込みエンジニアの方は、ビジネス系アプリケーションや企業のシステムづくりをされている方よりも「ものづくり志向」が強く、職人かたぎの方が比較的多いようです。そのためなのでしょうか、単に大手メーカーがよいとか、上流工程ができる環境がよいとかという、一律的な判断では済まない側面があるようです。

転職したい企業選びのポイントは

 筆者は日ごろ組み込みエンジニアの転職相談を受けていますが、相談者が企業選びのポイントとする場合、次のようなことに関する相談が多いようです。

(1)会社の形態(メーカー、ソフト会社、メーカー系ソフト会社)
(2)会社の規模(大企業か、中堅か、ベンチャーか)
(3)開発対象製品(自分の経験が生かせるものか、身近な製品かどうか)
(4)勤務地(首都圏か地方か)
(5)開発体制(組み込みの開発プロセスや品質管理体制が整っているか)

会社の形態によって何が違うか

 何といっても最大のポイントとなるのは、どういった形態の会社を選ぶかということです。

 ここでは、形態を次のように分類します。それは、(A)ハードウェアメーカー(メーカー)、(B)ソフトウェア会社、(C)メーカー系ソフトウェア会社という、3つの分類です。組み込みエンジニアから見た、それぞれの企業形態のメリットとデメリットをお話ししたいと思います。

 (A)のメーカーですが、ここでは最終製品メーカーだけではなく、部品メーカーなども含み、また分野としては、自動車、通信、家電、医療機器、産業機器などさまざまです。規模も、世界レベルの大メーカーから中堅メーカー、ファブレスのベンチャー企業までさまざまです。

 (B)のソフトウェア会社は、ソフトウェア開発専業の会社です。組み込みソフトウェアの開発のほか、オープンシステム・Web系システムの開発も行っている企業も多いようですが、最近は組み込みソフトウェア専業の会社が増えているようです。

 (C)のメーカー系ソフトウェア会社は、(A)と(B)の中間に当たり、ハードウェアメーカーの子会社という形で、ソフトウェア開発部門を分離した会社が多く、ソフトウェア開発に特化しているケースです。

メーカーのメリットとデメリット

 メーカーのメリットとしてよくいわれるのは、実際に形ある製品を世に出す一員となるという実感が最も味わえることです。特に携帯電話や自動車などの一般消費者用の製品であれば、身近で実感もわきやすいようです。

 また、上流から全体を見渡した形で開発全体に携われるチャンスがある、ことも挙げられます。ソフトウェア開発者という立場でも、製品企画やハードウェアの設計の担当者などとともに製品の企画段階の検討から加わり、製品を市場に出すまでのライフサイクル全般に責任を持つこともあり得ます。

 メーカーのデメリットとしていわれるのは、ソフトウェアの開発そのものに集中できないケースがあることです。

 メーカーの場合は業務の幅が広く、ソフトウェア開発業務以外の各部門や、外注ベンダとの調整業務なども担当する機会が多くなります。ソフトウェア開発そのもののスキルを高めたい方にとっては、ほかの形態の会社よりもソフトウェアの開発スキルを伸ばす機会が少ない可能性あり、それがデメリットとなる可能性があります。

 特に大手メーカーの場合は、開発規模も大きく、社員にプロジェクト管理者としての役割を求めることになります。携帯電話や家電製品の開発では、ソフトウェア開発の部隊だけで100人以上といった体制になるものの、直接製品を担当するメーカーの社員は数人程度で、全員プロジェクト管理がメインで、実際の開発などは、ほとんど協力会社のソフトウェア会社の社員や派遣社員が行う、ということもよくあるようです。

 また、最近では中国やインドなど海外へのオフショア開発を利用するケースもあります。その場合は、ブリッジSEとしての役割が求められることもあるようです。

人気の高いメーカー

 統計上の数値ではなく、感覚値としてですが、実際に組み込みエンジニアの転職相談を受けていると、メーカー志望の方が最も多いと感じます。これは、メーカーがものづくりの本場、というイメージが、エンジニアにも浸透しているのではないでしょうか。

 幅広い視野で仕事をしたい、リーダーとして上流工程の業務を経験したい、という方にとっては向いているかもしれません。ただし、周辺の業務にとらわれることがなく、ソフトウェア開発に集中したい、ソフトウェア開発そのものの技術力を高めていきたいと考える方にとっては、別の選択肢を考慮する可能性が高くなると思います。

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