
不定期コラム:Engineerを考える(7)
たまにはパソコンから離れてみよう
加山恵美
2004/7/15
■パソコン断ち週間
私はフリーという立場上、いつが勤務日でいつが休日だか不明りょうになる。つい際限なくWebニュースや誰かのブログなど、読んだり作ったり、仕事の情報収集だか趣味のパソコンだかあいまいなままネット浸りの生活を続けてしまいがちになる。これでは“しまり”がないし健康に悪いしと反省し、数週間前にパソコン断ち期間を設けて実践してみた。よくある「××週間」みたいなものだ。交通安全週間は10日間だが、私は1週間にした。
ただ、具合が悪くてドクターストップがかかったといった必然的な理由もなく、周囲が働いている時期を「パソコン断ち週間」と決めるには躊躇(ちゅうちょ)があった。だが、衝動を誘発するようなきっかけがあった。まだスギ花粉が飛び交う春に仕事とは別の不毛なストレスにヘコんでいたころだ。「よし、5月末ごろになったらリフレッシュ期間を設けて再起を図ろう」と自分への励ましも込めて決めた。
加えてパソコン漬けの生活から一定期間離れてみるとどうなるか、試してみたいという興味もあった。「断ち」という意味では断食のラマダンに通じるかもしれない。なぜなら人間は完全な断食が不可能なのと同様に、私は職業柄1週間完全にパソコンに触らないわけにもいかない。
必要最低限の食事以外は摂らないようにするのと同様に、必要最低限のメールチェックと仕事以外はパソコンに触らないことを目標にした。この業界以外の人から見たら、あえて目標にするまでもないことなのかもしれないが……。
■ひたすら散策を続けた1週間
それで代わりに何をしていたかというと、できるだけ外へ出歩くようにした。普段から取材以外は黙々とパソコンに向かっているが、パソコン断ち週間は1日中街中を歩き回るようにした。例えば美術館や博物館。すでに何度か足を運んだ場所ばかりで目新しいものは特にないはずだが、常設展示をまじまじと見ながら新しい発見をすることもあった。
ほかにもあまり出掛けたことのない場所、いつか行ってみたいと思っていた場所にも出掛けた。時には「そろそろ足が疲れてきたが、○時まで」と目標時間を設定して散策を続けた。もちろん、無線LANのホットスポットやネットカフェは立ち入り禁止区域である。
5月末で梅雨入り前という季節もよかった。長時間歩き回るのに、暑すぎて熱中症になるような真夏でもなく、雨で靴がどろどろになることもなかった。
遠方の友達にも会った。私と同じようにフリーで活躍している友達がいて、その人と込み入った長話もした。仕事のこととか、気になる話題とか、ノウハウから雑談まで実に延々と語り合い、貴重な情報を多く得た。
ちょっと触発されたりもした。友達は自分のドメインでWebページを持っていた。これまで私の周囲で自分のドメインを持つ人は大勢いるのだが、まだ「自分も」と踏み切れなかった。だがフリーとなってからの期間がほぼ同じで、ほぼ似たような境遇の友達の話を聞いているうちに、もやもやしていたものが現実味を帯びてきた。「どうしようかな」が遂に臨界点を超えたようだ。
■パソコンを断った効果は?
パソコン断ち週間を終えたら、なんとも爽快な日々が始まった。特に朝だ。むしろそれまでがすがすがしくなかったのだ。ぐったりとはいわないものの、漠然とだるいような感覚なのかもしれない。だが、爽快さを実感できて、初めてそれまでが気だるかったことが実感できたような気がする。もちろん常に健康状態は上下するものだが。
新たな気分を感じて「1年に1度くらいはこういう期間を設けてもいいかもしれない」と確信した。ただ休みを取るだけではこういう効果は得られない。年中パソコンに向かう習慣があるならパソコンから離れることが重要だ。念のため強調するが、休みをとることよりも、普段の生活習慣でパソコンの使いすぎに歯止めをかけるようなきっかけをつくることが重要だ。
特にパソコンの使いすぎで生じる弊害を少しでも軽減できるのが運動だ。エンジニアなら当然、パソコンに触らないわけにはいかない。できるだけ無理のない範囲で身体を動かす習慣を持とう。夜に寝付けない人には特にお勧めする。いくら頭だけ使っても、身体が運動不足だと眠りにつけないことがあると聞いたことがある。特に普段から深夜のパソコンやテレビ、またはゲームはできるだけ避けた方がいい。ともに頭が興奮状態のままでいるため、寝付けない原因になるのだそうだ。
■今年の休暇はブロードバンドから離れて
これから夏休みの計画を立てる人もまだいるかもしれない。私から1つ提案だ。夏休みは健康増進のために必要以外はパソコンから離れてみてはどうだろう。例えば宿泊先にはブロードバンド完備なホテルを選ばないようにするのもいい。前時代的に見えてもダイヤルアップ環境の方がちょうどいいかもしれない。必要最低限のアクセスが済めば、その先ネットにアクセスを続けようと思わなくなるからだ。サクサクページが開くと、ついネットサーフィンが止まらなくなる。
もし「ちょっと最近調子が悪いな」とか「腕が疲れているかな」と思ったら、パソコンから一定期間離れて本格的にリフレッシュをしてみよう。休暇中くらいはネット浸りを断つ勇気も時には必要だ。「本格的に」が無理ならせめて業務に関係のある展示会に積極的に足を運ぶなど、うまく口実を見つけて外出を増やすなど気分転換を図ってみよう。
| 筆者紹介 |
| 加山恵美(かやまえみ) ●茨城大学理学部化学科卒業。金融機関システム子会社とIT系ベンダにてシステムエンジニアを経験し、グループウェア構築や保守などに携わる。そのかたわらで解説書を執筆していたが、それが本業と化す。技術資料を提供することで、日夜システムと格闘しているエンジニアをサポートできればと願う。幼少からバレエを始め、現在コンテンポラリーダンスを習っているが、いまだに身体が硬いのが悩みとか。双子座A型。 |
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Engineerを考える バックナンバー
- 第1回 フリーエンジニアになれる人とは
- 第2回 プロであるということ
- 第3回 自分にとって資格とは
- 第4回 現場を離れ、交友関係を広めよう
- 第5回 ネットをうまく活用しよう
- 第6回 健康のため同じ姿勢を取り続けないで!
- 第7回 たまにはパソコンから離れてみよう
- 第8回 文字コミュニケーションを円滑に〜行間の鎮火術
- 第9回 「会社はだれのものか」で揺れる心理
- 第10回 サンのJava新資格、SJC-Aの狙いは?
- 第11回 エンジニアは仕組みにこだわる
- 第12回 コミュニケーションが仕事の成否を分ける
- 第13回 暴走人間からわが身を守ろう
- 第14回 新卒でITエンジニアは選ばない?
- 第15回 年功序列の列車に乗るか、降りるか
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