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「自分戦略」とは何か 第3回(最終回)
1人ひとりの「戦略」立案、その手順とは?

アットマーク・アイティ 藤村厚夫
2003/5/22

@IT自分戦略研究所が掲げる「自分戦略」とは、いったいどんなものだろうか。そして、どうすれば持てるものなのだろうか。それを、アットマーク・アイティ 代表取締役 藤村厚夫が答えよう。

 自分戦略について「第1回 『外側の尺度』に振り回されない自分を持て」、そして「第2回 失敗する戦略の原因とは!?」と題して述べてきました。今回はようやく「自分戦略」をどうつくっていくのか、という入り口までを論じて、そのまとめと仕上げとしましょう。

 最初にこれまでのおさらいを、私自身の考えを整理する意味も含めて簡単にまとめてみます。

「自分戦略」、その定義

 「戦略」とは何か。それは「目標」(成功イメージといってもいいでしょう)を実現するための方法にほかなりません。目標なき戦略はあり得ません。まずは「自分」にこだわること。自分の目標を自覚しそれを実現する方法を明らかにする、それが「自分戦略」です。これなくしては、めまいがするほど動きの速いIT分野で、目的からのブレが少ない生き方は不可能でしょう。

 次に重要なのは、「失敗しない(ための)戦略であるべき」だということです。目標を実現する道のりは多様です。山の頂を目指す道は多分複数あるはずです。多様な道があることをまずは認識してほしいのです。そしてその中に自分にとって適性、合理性のある選択肢を探す。複数の選択肢から的確な選択をする冷静さや柔軟さが必要です。

 と、私たちなりの「自分戦略」の定義づくりを進めてきました。

 さて、この短い連載のひとまずの仕上げとして、論じたいのは「自分戦略の重要さは分かったけど、それをどうやってつくるの?」ということです。これが難しいけれど最も重要な問いかもしれません。

まずは自分のための「目標」をイメージ

 早速、私なりの「自分戦略」づくりの手順に入っていきましょう。

 もうお分かりのように、「自分」の「目標」を意識することが重要です。乱暴ないい方に聞こえるかもしれませんが、「自分の目標づくり」だけは誰にも代わってもらえません。ぜひ時間をつくって考えてください。

 とはいえ、難しく考えてここで引き返したりしてはいけません。あまりにも詳細な目標を最初から考える必要はありません。ヒントは、「快・不快」(……であると気分がいいだろう/……は嫌だな)とか、「状態」(……をしている自分を目指す)からイメージをつくり出してみることです。

 もう1つのヒントを。目標を1つに絞る必要はないということです。まずは、「あれ」「これ」、そして「それも」でいいでしょう。自分1人のブレーンストーミング(ブレスト)と思い、恥ずかしがらずにいろいろ吐き出しましょう。慣れてくるとこれが楽しくなってきます。そして、最後のヒントは「時間を限ってみる」ことでしょうか。例えば、3年、5年、10年といった区切りを設け、自分なりにイメージしやすい期間を使い考えるのがいいでしょう。

「いまの自分」を測る

 さて、これで最も重要な起点、「目標」「成功イメージ」を(いくつか)仮に描けたとします。「仮に」と書きましたが、目標は変わっていいということを覚えておきましょう。戦略を立案する過程で、目標自体もその影響を受け変化していくからです。

 例えば「戦争に勝つ」という目標を掲げたとします(ベタな比ゆですが……)。武力で勝つ方法もあれば経済的に勝つという方法もあるはずです。しかし、「経済力で勝つ」方法を選択しそれを深めていこうとすると、いつの間にか「戦争」を遂行する目標自体が愚かしくなるかもしれない。それも思考の深まりではないでしょうか。

 次に目標までの距離を測りましょう。「いまの自分」測定です。

 「10人を超えるメンバーを率いて、プロジェクトを運営できるマネージャとなる」が仮に1つの目標としましょう。だとすると、「いまの自分」はそれとどのくらいの距離があるのかを測定したいですね。まずは自分で「○×がちょっと足りない」「□△はいい線いっている」「これは大問題だ」と、ここでも1人ブレストして吐き出していきます。

 ここでのヒントは、このように自分なりの測定をしてみたうえで、信頼できる上司や同僚、友人、そのほかの人たちの意見に耳を傾けることです。ただし、やみくもな「ご意見」うかがいでは、目標そのものがブレてしまう可能性もあります。

考えるサイクルを、早く回す

 最後に「目標」と「いまの自分」とのギャップについてもう少し意識していきましょう。すでに目標達成のためのシナリオづくりの入り口に到達しているのです。ギャップを意識し始めれば、自然とそこにブレークダウン(リストづくり)が生まれているはずです。

 そのとき、自分の思考スタイル(考えるクセ)を意識します。詳細化が止まらない人がいます。そのタイプであれば、もっとラフに考え、目標づくり→いまの自分測定→ギャップ克服のシナリオのサイクルを早く回す必要があるかもしれません。

 逆に、「いまの自分」を意識したらすぐ挫折感を感じてしまうタイプもいるでしょう。こちらは、「何ができている」「何はできていない」とブレークダウンに意識を向けましょう。それでも「目標」への距離が遠いと感じられるなら、目標のイメージがまだ抽象的なのかもしれません。具体的に考え、そのレベルを下げるのも手です。あるいは、その実現までの期間を検討し直す場合もあるでしょう。

 さて、以上が自己流の「自分戦略」づくりのステップです。「自己流」と書きましたが、誰かが「正解」を握っているわけではありません。なにせ「自分」にこだわることを提唱しているのですから、どんどん自分流でいきたいですね。

策定支援を、もうすぐ!

 「でも、もっと丁寧にサポートしてよ」という向きもあるかもしれません。それも理解できます。現在、@IT自分戦略研究所では、ITエキスパートの自分戦略を立案すべくフレームワークを準備中です。もちろんそれも「正解」を用意するわけではありません。

 考えて、行動を起こす、そしてまた考えを深める。そのための材料を準備しているのです。もう少々お待ちください。ではまたお会いしましょう。

「自分戦略」とは何か Index
    第1回 「外側の尺度」に振り回されない自分を持て
   第2回 失敗する戦略の原因とは!?
第3回 1人ひとりの「戦略」立案、その手順とは?
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