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特集:OSSにかかわるエンジニアたち

第5回 宮原徹氏、語る。「オープンソースカンファレンスがなくても、コミュニティが情報発信する世界が理想」


金武明日香(@IT自分戦略研究所)
2010/10/1

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「最終的にOSCはやらなくてもいいと思っている」

 「わたしは、OSCを全国的に展開してきました。しかし、少し大きくなりすぎたかもしれないとも思っています」――宮原氏は、OSCの成長をこう振り返る。

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 OSCがメジャーになってよいことはたくさんあった。しかし、同時に懸念点も出てきているという。その1つが、「OSCを本番ととらえるコミュニティが増えてきた」ことだ。

 「OSCを練習舞台として使ってほしい」という宮原氏の思いとは裏腹に、OSCでしか発表しないコミュニティは存在する。「情報発信の方針は、コミュニティそれぞれ自由。しかし、わたしはOSCで得た情報発信の『フレームワーク』を別の機会に活用してほしい」と、宮原氏は語る。

 宮原氏の理想は、OSCが提供する「フレームワーク」が日常の場にできることだという。OSCで得たノウハウと経験を、社内外の勉強会やセミナーの開催に応用してもらう。そして、そのノウハウがまた別のコミュニティに広がっていく。

 「OSCがないときでも、OSCのような活動が日本全国にある状態がいいですね。もしそうなったら、最終的にOSCはやらなくてもいいと思っています」

フレームワークをスケールさせるため、さらに運営コストを下げる

 とはいえ、そんなに簡単にOSCはなくならないだろうとも、宮原氏は思っている。

 「どんな形態であれ、コミュニティ全体を集約する場所は必要です。それは必ずしもOSCでなくてもいいですが、代替するものが出ない限り、OSCは続いていくのだろうと思います」

 宮原氏が目指すのは、OSCそのものの広がりというよりは「コミュニティが情報発信をするフレームワーク」の広がりであるようだ。OSCはあくまで情報発信をするための手段である。コミュニティには、OSCを活用して次のカンファレンスや勉強会につなげていってもらいたい。「手段が目的にならないようにしなくては」と、宮原氏は繰り返した。

 OSCは拡大している。参加コミュニティや参加者が増えると、情報を取りまとめるだけでもひと苦労だ。宮原氏は、OSCという「フレームワーク」をスケールさせるため、そして運営コストを削減するため、現在「アンカンファレンス」(事前にテーマや登壇者などを一切決めず、当日に募る形式のカンファレンス)や「地方分権」を検討しているという。

 宮原氏はアンカンファレンスについて、「いままでは、最低限の枠組みとして発表の時間と発表者を決めていたけれど、いっそのことそれらも決めなかったらどうなるのだろうか、ちょっと実験してみたい」、地方分権については「いまのOSCは中央集権型なんですよね。でも、スケールするにはもっと地方分権にしていく必要があります。ある程度、ノウハウがたまってきている地域には、権限を委譲して、独自にやってもらえるようにしていきたい」と語った。

情報発信せよ。アウトプットを出してこそエンジニア

 毎年多くのコミュニティ活動にかかわる宮原氏は、OSC、そしてコミュニティの今後をどう考えているのか。

  OSCには受け身の人が少ないと、宮原氏は指摘する。いまのところ、参加者のうち半分がリピーターで、半分は初めての人だ。ただ発表を聞いて帰っていく人は2割ほどだが、そういう人にはもっとOSCを活用してほしいという。

 コミュニティについては、「よく、コミュニティの平均年齢が上がっている、若手があまり参加していないという声を聞きます。しかし、若手がコミュニティに興味がないわけではない。個人、あるいは数人規模で新しいコミュニティを作っている人はたくさんいる。コミュニティというものの形態が少し変わってきているとは思いますが、参加者に若い人はそれなりにいますよ」と、深刻にならないよう、うながした。

 宮原氏は、最後に「カンファレンスに参加するだけでは、本当の面白さは分からない。情報発信をする側に回ってほしい」と、情報発信の重要性を訴えた。

 「自分はコミュニティに入れないのではないかとか、そういったことをくよくよ悩まないでほしいですね。周りを見て『楽しそう』だと思ったら、自分もどんどん動いてほしい。アウトプットを出してこそエンジニアだと、わたしは思います」

 

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