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外資系コンサルタントのつぶやき 第24回
プロジェクトの危険信号は会議で分かる

三宅信光
2004/6/25

 今回はミーティング(会議)についてお話ししたいと思います。皆さんの作業時間のうち、ミーティングに費やすのは、どれぐらいの時間でしょうか。私の会社では会議とはいわず、ミーティングといっています。が、ミーティングと名前を変えようと、どういういい方をしようとも、かなりの時間を話し合いに費やしているのではないでしょうか。

 
   ミーティングは何のため?

 私の会社も例外ではありません。クライアントとのミーティングはもちろん、社内のミーティングで費やす時間は決して少なくありません。時として、なぜこんなに時間をかけるのか、本当にこんなに時間をかける価値はあるかと、疑問に思うことがしばしばです。

 もともとミーティングというのは何か議題があり、関係者の意思統一を図り、何かを決定するために行うものだと思います。しかし、実情はどうでしょうか。

 私の会社が主催するクライアントとのミーティングでは、大概私の会社の人間が何らかの議題を用意し、それをリスト化した文書を最初に出席者に渡してから始めます。最低でもそのリストにあることは決定、あるいは周知が行われた形にしたいからです。

 しかし、うっかりしていると用意したリストが無駄になってしまうことがあります。クライアントと話すうちにいつの間にか話がそれて、気が付いたらミーティングの時間は過ぎ去っており、かつ、クライアントからしっかりした意思決定の言葉を引き出すことができずに終わってしまうことがあるためです。これではどうにもなりません。

   そんなことはいっていない

 ミーティングでクライアントの意思決定の言葉を引き出すことはとても重要です。よくあるのが何となく決定されたような言葉が飛び交い、決定されたような雰囲気がその場に漂うケースです。こちらとしては決定されたものと思っているのですが、クライアントの方は別にそこまでの意識はありません。

 こちらとしては、そのミーティングで議題の件は決定されたと思い込んで作業を進めると、後で「そんなことはいっていない」とクライアントにひっくり返されてしまいます。さらに議事録を取っていなかったりすると最悪です。議事録というのはミーティングを進めるうえで非常に重要なもので、作成した議事録を出席者全員にきちんと回覧しておくことで、後でそこで話し合われたことについて確認を取ることができます。基本中の基本ですが、案外とおろそかにされていることがあります。

   大切な議事録

 実際、次のようなことがありました。あるプロジェクトでクライアントの発言がころころと変わり、どうしても作業が進まないことがありました。そのころ、私はそのプロジェクト助っ人として入ることになりました。

 私は途中からプロジェクトメンバーになったので、それまでの話の筋が分かりませんでした。そこで、途中経過を知るために資料一式をもらって読み始めました。が、もらった資料に議事録はなく、プロジェクトの最初からのメンバーに「議事録を見せてほしい」と頼むと、その答えは「取っていません」。さらにクライアントの責任者に直接インタビューしに行ったところ、「ミーティングは行うけど、毎回何となく雰囲気だけで流れてしまって、最終的に何が決まったのかよく分からない」とまでいわれてしまいました。

 コンサルタント会社として恥ずかしい話だと思い、その次のミーティングからその日の議題リストを作成し、そのリストの項目1つ1つについてその日に決定したことをミーティングの最後に確認し、議事録を作って回覧すると、プロジェクトは何の問題もなかったかのように進み始めました。

 私の会社では、新入社員の最初の重要な仕事の1つとして議事録を取らせています。ミーティングの進行はコンサルタント業として非常に重要な要素ですから、ミーティングの進め方の基礎を学ばせ、その重要性を認識させるためです。

 それにミーティングの議事録を取るためには、さまざまな言葉、用語を知らないと難しく、仕事を覚えるうえでも役立つ側面もあります。そんな教育をしているにもかかわらず、議事録を取らないといった初歩的なミスが発生したわけです。そのプロジェクトではマネージャクラスが2人、コンサルタントが2人ほどかかわっていたのですが、彼らの2カ月分ぐらいの作業は、この初歩的なミスのために無駄になっていたのです。

   会議は踊る

 私の会社での恥ずかしいような事例を紹介したわけですが、クライアント主催のミーティングでも似たような事例はよくあるようです。特に定例ミーティングでは「いったい何のために開催されて、何が決まったのか、さっぱり分からない」事例もよくあるようです。これは私が経験した事例ではありませんが、同僚の友人から次のような話を聞いたことがあります。

 あるクライアントで業務改革をするプロジェクトが始まり、私の友人はそのプロジェクトを手助けする立場、オブザーバーとして参加したのです。しかし、あくまでもプロジェクトの主体はそのクライアント担当のシステムインテグレータが別にいました。

 プロジェクトの定例ミーティングが開催され、そこで提出された議題に基づいて議論するのですが、一向に何かが決まる様子はありません。決定されないため、毎回同じような議題がミーティングのたびに提出され、毎回同じような議論が展開される。その繰り返しになり、何のために定例ミーティングを開催しているのかがよく分からない状況に陥ってしまいました。オブザーバーの立場である友人は何とか事態を打開しようとしていたのですが、そのプロジェクトでは私の会社の立場が弱く、なかなか思うに任せなかったようです。

 友人は業を煮やして、まずプロジェクトの責任者であるクライアントに、「議題のリストを最初に配り、それから議事録をきちんと取りましょう」とお願いしたそうです。しかし、なかなかやってもらえないので、結局「私が作ります」といってミーティングの前にクライアントの責任者からその日の議題を聞き出し、リストを作り、さらに議事録を彼が書いて配るようにしたそうです。

   そして改善策を実行すると

 しかし、議事録を書こうとして彼ははたと困ったのです。ミーティングでは何も決まっていないためです。そこで、私の友人が次に考えたのは、毎回その日の議題のうちいくつの項目が決定されたかを、議事録に記述することでした。さらにその議事録をプロジェクトの最終責任者であるクライアントの取締役に毎回送るようにしたのです。だいたい10の議題があると、1つか2つしか決まっていなかったようですが、さすがに各出席者は考えるところがあったらしく、状況は徐々に改善し、しばらくすると半分くらいは決定される状態になっていたそうです。それでも、決して良い数字とはいえませんが。

 大規模な開発プロジェクトで状況が悪くなったときにも、無為に長く成果の伴わないミーティングをよく経験しました。開発が順調だとミーティング時間は短く、議題は順調に決定されます。しかし、プロジェクトが停滞し、開発が遅れだすとさまざまな“対策会議”が開かれます。さらにその1つ1つが長くなるのと同時に大切な作業時間が削られることになります。しかもそういうときに限って、結局対策会議では何も決定されない、という悪循環に陥っていくことが多いようです。

   プロジェクトの成功を握るミーティングの質

 私が経験した大規模プロジェクトでもそうしたことがありましたし、ほかの大規模プロジェクトで苦戦している話でも、例外なくそんな悪循環に陥っていることが多いようです。プロジェクトメンバーから「マネジメントは何をやっているんだ。ミーティングばかりじゃないか」といわれ耳が痛いのですが、反論のしようがなく、事実そのとおりなのです。私が経験した中では、毎日4時間ほどをミーティングで費やしていたケースがありました。

 ミーティングの質はそのプロジェクトが順調に進んでいるかどうかの1つの目安になるような気がします。順調なプロジェクトでは総じてミーティングの時間は短いですし、短い時間の中で決定されるべきことが確実に決定されています。プロジェクトの進行が順調ではなくなると、途端にミーティング時間は長くなり、長時間話し合う割には決めるべきことが決まらなくなるようです。経験則としては1回のミーティング時間が1時間を超え、ミーティングの議題の半分がその場で決定されなくなると、赤信号という感じです。

 皆さんの周りではいかがですか?

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