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ITエンジニアを続けるうえでのヒント〜あるプロジェクトマネージャの“私点”


第30回 せきばらいで会議をコントロールする?

野村隆(eLeader主催)
2007/9/25


将来に不安を感じないITエンジニアはいない。新しいハードウェアやソフトウェア、開発方法論、さらには管理職になるときなど――。さまざまな場面でエンジニアは悩む。それらに対して誰にも当てはまる絶対的な解はないかもしれない。本連載では、あるプロジェクトマネージャ個人の視点=“私点”からそれらの悩みの背後にあるものに迫り、ITエンジニアを続けるうえでのヒントや参考になればと願っている。

リーダーシップトライアングルにおける位置付け

 この連載では、システム開発プロジェクトにおけるリーダーシップを中心に、「私の視点=私点」を皆さんにお届けしております。

 今回は、リーダーシップトライアングルのCommunicationに関係します。Communicationについては、第8回「コミュニケーションはリーダーシップの基礎」を、参照いただければと思います。

図1 リーダーシップトライアングル。今回は「Communication」に関連する内容について解説する

ある社長のヒトコト

 前回は、とある会社の社長さんの発言である「会議で発言できない人は会議に出席してはいけない」というひと言から始まり、「検討会」と「報告会」の違いを説明しました。

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 「報告会」のような会議では、発言をすればいいというものではなく、局面によっては話を控えるくらいがちょうどいいあんばいとなることがあります。その一方で、会議の円滑な進行のためには、たくさん自分が発言しないと気が済まない、納得できないという方もいるでしょう。納得できない理由は、自分自身のいままでの体験で、自分がたくさん発言することで会議を円滑に運営してきた、という成功体験に基づいてこのような発想となっているのでしょう。

 人の行動は成功体験に基づくので、過去の体験からこうした発想を持ってしまうこともやむを得ないと思います。しかし、私にいわせれば、「余計な努力をされている」「しゃべらなければもっと苦労しないやり方があるのに」。そう思ってしまいます。

 今回は、「発言をたくさんせずに、会議を運営する方法」について、前回と別の側面から検証していきましょう。

少ない発言で議論を収束させる

 ここで、この連載で何度か引用している、安岡正篤氏の著書『照心語録』(致知出版社刊)から、「明治人の味・識見」と題した以下の個所を抜粋します。

 西郷従道が海軍大臣の時に、海軍問題で野党から熾烈な攻撃を浴びたことがある。従道は従容(しょうよう)として「先程来、何かとご議論でありますが、これを要するに――我が海軍は段々良うなっとりますからご安心を」。爆笑の中にことなきを得た。真似は出来ない。この人の徳が自然に化したものだからだ。

 同じように、明治中頃、松方内閣が選挙大干渉を行った直後の議会で、囂々(ごうごう)たる野党の批難の中に、新たに内務大臣に任ぜられた副島蒼海は咳一咳「昌言(善言)謹んで拝します」と一言。場内は森としてしまい、いつのまにか終わったという。徳の化もさることながら、明治人の味・識見というものを観ることができる。

 どうでしょうか。

 気骨あふれる明治人の国会での発言を、そのまま、システム開発プロジェクトの現場に持ち込むのはスケールが違うような気もしますが、私の目指すところの具体例としては、上記のような会議の進行です。

 西郷従道氏のような大意をとらえたユーモアある発言をもって、または、副島蒼海氏の機を見はからったせき1つをもって、会議の方向性を正す。このような会議の運営を目指したいと思っています。




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