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ITエンジニア向上プロジェクト

第7回 肩こりや腰痛を寄せ付けない体づくり

千葉大輔(@IT自分戦略研究所)
2007/1/31

現在ITエンジニアという職業は3Kといわれ、若者の間では人気が落ちてきている。さらにエンジニアリングの世界から離れてしまうITエンジニアも増えているという。@IT自分戦略研究所はこの事態を見過ごすことはできない。そこでITエンジニアの価値や生活を向上させるヒントを探る。

  ITエンジニアの職業病ともいうべき、肩こりと腰痛。悩まされている人も多いのではないだろうか。@IT自分戦略研究所が行ったアンケートによるとおよそ半数の人が肩こりに、そしておよそ4割の人が腰痛に悩まされているという。
 
  マッサージや整体院に通って症状を和らげる方法もあるが、忙しいITエンジニアはなかなかそういった施設に通う時間が取れない場合もある。また一時的に良くなったとしてもその後、再発する可能性もある。今回、ゴールドジム北千住東京のトレーナーである根本寿史氏にお話を聞いて、肩こりや腰痛になりにくい体をつくるコツを探った。

肩こり、腰痛の原因は姿勢

 長時間机に向かっているとどうしても前傾姿勢になる。また立っているときには重心が後ろに傾いて背中が反ったような姿勢になっている人を見掛ける。こうした姿勢を取っていると肩や腰の周りの筋肉に負担がかかり、硬直した状態が続く。すると体の血行が悪くなり、筋肉が疲労してしまう。
 
  肩こりや腰痛はそうした姿勢の悪さから引き起こされることが多いという。つまり、姿勢を良くするだけで肩こりや腰痛は改善されるということだ。

 悪い姿勢を直すために効果的なのが筋力トレーニングだ。根本氏によると、姿勢の悪さは筋力が低下したために起こることがあるという。「例えば胸上部にある筋肉が縮んで体積が小さくなると胸が張れなくなってしまいます。すると前傾姿勢が定着して、肩や背中の筋肉で首や頭を支えなければならずに負担がかかります。胸の筋肉を鍛えることで肩と背中の負担を減らすことができます」

 普段からPCを使う人に多い前傾姿勢を直すためには、腹筋や背中、胸の上部といった体幹部の筋肉を鍛えることが重要だ。それに合わせて広背筋や菱形筋(肩甲骨付近の筋肉)、僧帽筋といった肩や背中の筋肉を鍛えることで姿勢が改善されるという。

 腰痛対策に効果的なのは背中の筋肉や腹筋を鍛えることだ。「衰えがちな腹筋を鍛えることで背中の筋肉と腹筋のバランスが取れて負荷が分散するのです」。また、ハムストリング(太ももの裏側の筋肉)など尻や腰を支える筋肉を鍛えると効果が高いという。

筋力トレーニングで気を付けたいこと

 さて、筋力トレーニングを行う際に考えなければならないのは、体全体の筋肉のバランスを見ながらトレーニングを行うことだという。「ある筋肉が動くと、それに反発して伸びたり縮んだりする筋肉があります。筋肉のバランスが崩れると姿勢が崩れます。どこかの部位に特化してトレーニングをするのではなく、全体のバランスを見ることが重要です。正しいトレーニングをすると姿勢ががらっと変わります」

 またトレーニングをしたら必ずストレッチをする必要がある。「筋肉は固いというイメージを持った人が多くいますが、本当は筋肉は力を入れていないときはやわらかいのです」。普段の生活で硬直しがちな筋肉をストレッチによってやわらかくし、体にかかる負担を和らげることができる。呼吸を止めず、1つのストレッチごとに30秒ほどじっくりと時間をかけて行う。このとき足の方からストレッチを始めると血流が良くなり体が温まる。また頭の方からストレッチを行うとリラックス効果があるという。従って、トレーニングの前は下からのストレッチ、トレーニング後は上からのストレッチを行うと効果的だ。

 こうしたトレーニングやストレッチで重要なのは、「関節の可動域を最大限に使うこと」。無理をしない範囲でできるだけ大きな動きでトレーニングやストレッチを行うと効果的だという。トレーニングの頻度は「15〜20回を2〜3セットくらいの強度で、スタート時は、まず動きを体に慣れさせるためにあまり間隔を空けずに行うことが重要です。初めの1カ月間は週3回くらいのペースでやるのがよいでしょう。それ以降は週2回くらいのペースでも大丈夫です。しかし、週1回くらいのペースだと現状維持程度の効果しかありません。ストレッチは毎日やった方がよいです」。筋力トレーニングは、ダンベルやゴムチューブなどを用いて行うことができれば理想的だ。ダンベルは家庭にあるペットボトルに水を入れて代用可能だ。

お勧めの筋力トレーニングとストレッチ

 ここからはお勧めのトレーニングとストレッチを載せていく。トレーニングを行う際は、急いでやらずに注意すべき点を意識しながらゆっくりと行うことが大切だ。(撮影協力:ゴールドジム北千住東京 白葉義隆氏)

ショルダープレス:ひじと手首を体と平行に保ち、耳の下からゆっくりと持ち上げ、下ろす。

サイドレイズ:肩の位置を下げて腕を横に上げる。このとき肩の位置を上げないように注意する。

リアレイズ:体を前に倒して腕を引き上げる。初めは肩甲骨を開いた状態で行い、次に肩甲骨を閉じて行う。

シュラック:肩を回す。関節の可動域を最大限に使うために大きな動きで。

ワンハンドドローイング:壁に手を当てて腕を斜め後ろに引き上げる。肩の位置を上げないように注意する

チェストプレス:腕を前に突き出す。肩甲骨を閉じた状態で常に胸を張った状態で行う。

デッドリフト:上体を倒した状態から起こす。背中を丸めずに腹筋に力を入れる。

腹筋:体を起こすというよりもみぞおちとへその間の距離を縮める感じで行う。肩甲骨が浮いたところで息を吐ききるまで停止させる。
 
スクワット:おなかに力を入れてゆっくりと腰を落とす。

首のストレッチ:首を曲げて手で軽く押さえる。肩の位置を上げずにしっかりと肩の位置を下げる。 肩のストレッチその1:ひじをもう一方の腕で押さえる。肩の位置を下げることに注意しよう。

肩のストレッチその2:頭の前で両腕の手首とひじを合わせて下まで下げ、腕を広げてぐるりと肩を回す。関節の可動域を最大限に使うために大きな動きで行う。5回ほど行ったら逆方向にもう5回回す。

肩のストレッチその3:頭上で手を合わせて腕を横に開く。

胸:壁に手を付いて体を反らせる。 背中:壁に手をかけて脇から腕に掛けて伸ばす。

腹筋:床にうつぶせに寝て体を反らせる。 腰:ひざを付いて体を前に倒す。背中をしっかり伸ばす。

ハムストリング(太ももの裏側):ひざを曲げずに上体を曲げる。背中を丸めるのではなく、骨盤の位置から曲げる感覚で。 大腿四頭筋(太もも):立った状態でひざを曲げ足のつま先をつかむ。立った状態が難しいようであれば、寝ながらでもよい。

股関節:両足を前後に開き腰を落とす。30秒ほど静止した後に股関節を回す。

まずは定期的に運動をすることが重要

 冒頭にも参照した@IT自分戦略研究所のアンケート調査では4人に1人が健康のために体を動かしているという結果が出た。普段から意識的に体を動かすことは非常に重要なので、今後も続けてほしい。今回、肩こりや腰痛になりにくい体づくりのための筋力トレーニングやストレッチを紹介してきた。当たり前かもしれないが、これらの運動は普段あまり運動をしていない人ほどその効果が実感できるという。

 肩こりや腰痛は何とかしたいが、トレーニングをする余裕がないという人もいるだろう。実際、紹介したトレーニングを全部しっかりとこなそうと思うと結構な手間がかかる。しかし、長時間にわたって机に座る仕事をする限り、肩こりや腰痛は付いて回る。つらいのにその状態のままにしておく方が問題だ。

 就寝前にストレッチをして、硬直した筋肉を弛緩させるだけでも大分違う。まずはそこから始めてみるのはどうだろうか。もちろん肩こりや腰痛がなかなか直らず、つらい状況であれば病院や整骨院などの診察を受けて、大事にならないうちに治療することが必要だ。


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