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ITエンジニア向上プロジェクト

第9回 ITエンジニアファッションプチ改造:スーツ編

千葉大輔(@IT自分戦略研究所)
2007/3/16

現在ITエンジニアという職業は3Kといわれ、若者の間では人気が落ちてきている。さらにエンジニアリングの世界から離れてしまうITエンジニアも増えているという。@IT自分戦略研究所はこの事態を見過ごすことはできない。そこでITエンジニアの価値や生活を向上させるヒントを探る。

  ITエンジニアは服装がラフであると思われているかもしれない。しかし、客先に常駐して業務を行う場合や、ドレスコードがある企業の場合などスーツを着なければならないという人は多い。実際、取材に行くとスーツをばっちり着こなしているITエンジニアは少なくない。

 新年度を迎えるに当たって、転職や新しいプロジェクトで職場の環境が変わる人もいるだろう。いままではラフな服装が多かったけれど、次の職場はちょっと堅い感じ……。というときどうすればいいだろうか。スーツを着こなすコツを、AOKIホールディングス マーケティング販売促進部 係長 中川和幸氏に聞いた。

人の価値は6秒で決まる

AOKIホールディングス マーケティング販売促進部 係長 中川和幸氏。
中川氏は「ネクタイはその昔、クロアチアの兵士が巻いていたスカーフが発祥なんですよ」と豆知識を交えながらいろいろ教えてくれた

 「人は見掛けによる、よらないという話をよく耳にしますが、アメリカの研究では『6秒で決まる人の価値』ということがいわれるそうです」。中川氏はまずこんな話をしてくれた。服装や年齢、相手の顔や表情、しぐさなど見ただけでも何となく分かる情報から、相手のイメージなど90%くらいのところは判断できてしまうのだという。

 「そのため、服装は相手に自分に対する興味を引き起こして、信頼してもらうコミュニケーションの1つだといえます」と中川氏は話す。人は外見だけがすべてではないが、まず相手の目に飛び込む自分の姿が与える印象は大きい。特にビジネスの場では、相手の人となりを十分に判断するだけの時間を取ることは難しい。服装を整えることで得られる効果は大きいのではないだろうか。

体型コンプレックスを解消する着こなし

 例えば、太り気味だとか足が短いだとか……。筆者自身にも心当たりがありすぎてこれ以上挙げるのは控えるが、人間誰でも自分の体型について、多かれ少なかれ何らかのコンプレックスを持っているだろう。

 中川氏は「服装によって、見た目の印象を利用してそういった悩みを解決することはできるのではと考えています」と話す。ここでは「太り気味」「やせ気味」「足が短い」という3つのコンプレックスを解消する着こなしを教えてもらった。

○太り気味の場合

・服装の色は上に濃い色、下に淡い色を持ってくる。(上濃下淡)
・シンプルな柄、例えばストライプを選ぶと締まって見える
・スラックスからシャツまでのラインを同じ色で合わせることで、縦長効果が得られる。よってスリーピースがお勧め

○やせ気味の場合

・茶系などの膨張色を選ぶ
・上半身に柄物を選ぶ。例えばチェックのシャツやネクタイの柄も大きめのものを選ぶ
・胸のVゾーンを強調する

○足が短い場合

・寒色系のものを選ぶ
・靴下の色をスーツ、あるいは靴の色と合わせる
・すそ上げをダブルにするよりも、シングルにする。目を留めるようなアクセントを置かないことで足を長く見せる

 こうしたアイテムや、自分の体との対比を利用することを意識するだけでも、見た目の印象はかなり変わってくるという。例えばネクタイの結び目で考えると、結び目を小さくすると顔が大きく見える。逆に結び目を大きくすると顔が小さく見える。

色で自分のイメージをコントロールする

 ファッションにおいて色は重要な働きをする。上記の体型コンプレックスの解消で太り気味の人は寒色系のものを、やせ気味の人は暖色系のものを選ぶとよいと説明しているとおり、色によって相手に与える印象は大きく異なる。

 「男性のスーツファッションで色を見せるということは、基本的にはネクタイで見せるということです。就職活動中の学生さんに『どういう色のネクタイを選んだらいいですか?』という質問をよく受けます」と中川氏は説明する。

 例えば「青」には聡明、清潔感があるといった印象があり、「赤」は情熱を表し、また相手の注意を引く効果がある。「茶色」は堅実、穏やかという印象。「グレー系の色」は大人っぽさや上品さなどを相手に抱かせるなどとよく聞く。

 「歴代のアメリカ大統領は演説のときに赤いネクタイをしている印象が強いのですが、これはパワーネクタイといって、赤いネクタイをすることで相手の目を自分に引き付けるのです」と中川氏は話す。

 色の持つイメージと自分とのギャップを生かすことも効果的だ。例えば、普段の自分がちょっと慌て者というイメージだったら、面接やプレゼンテーションのときに青系のネクタイをすることで『いつもとは違う自分』を演出できるかもしれない。

男のファッションは3色以内でまとめる

淡い色のシャツに同系色で濃い色のネクタイを合わせてみた

 色の組み合わせによっても印象は大きく変わる。中川氏によると色の組み合わせは大きく分けて3つ種類があるという。1つ目は同系色の濃淡。2つ目は同系色の濃淡に1色加えるケース。例えば茶系の濃淡に赤系を入れてみる。1色加えると若干明るい感じに見える。3つ目は3色別々の色でコーディネートするトリオコーディネーション。

「3色でベストマッチしたときの印象は非常に良いのですが、合わせ方が難しいですね。メンズのファッションは3色以内で抑えるべきだろうと考えています」

スーツを着こなすポイント

グレーのスーツに白いシャツ、ストライプのネクタイを合わせたスタンダードな着こなし

・やせ気味の人はシャツの襟が細めのものを選び、太り気味の人は広めのものを選ぶ

・ネクタイはベルトのバックルの上くらいの長さ

・袖丈はシャツが1〜1.5cm出るくらいの長さが最も良いバランス

・すそ上げは基本的にシングル。甲でワンクッション作るくらいの長さがよい

・上着の襟抜けに気を付ける。襟が抜けてしまう原因はスーツが体型に合っていないことが考えられる。襟が抜けると着物のようになってしまう

・シャツの奥襟とスーツのバランス。これも袖丈と同様に1〜1.5cm出るくらいの長さ

・襟から上着のすそまでの長さとすそから地面までの長さが1:1がちょうどよい長さ。楽なので1サイズ大きいものを選んでいる人が多い

スーツを着回してみる

 さて、いままではスーツを着る機会があまりなかったけれど、これからはそれなりの頻度で着るかもしれないという人の場合、手持ちのスーツが1着、2着ということも多いだろう。1つのスーツをいろいろと着回すコツを聞いてみた。

 「重宝するのはダーク系のネイビーやグレー系のスーツです。スーツと同系で淡色のシャツや白いシャツと合わせれば、いろいろなネクタイを使えますし、グレー系で無地のネクタイと合わせればフォーマルな席でも使えます。グレー系のスーツであればシャツをボタンダウンのものにする、タートルネックをインナーにしてもよいなど広く使えるので便利だと思います。最近だとスーツのジャケットにジーンズを合わせている人もよく見掛けます」

左から
・モノトーンに紫1色を加えた例
・クレリックシャツを合わせた例
・上の例にグレーのネクタイとチーフを合わせた。フォーマルな場でも使える装いに

 中川氏によると「クールビズの影響でノーネクタイのスタイルが増えた。ネクタイで表情を出せない分、シャツやチーフ、靴などで表情を出すなど工夫している人も多い。茶系の靴が注目されだしたのもクールビズ以降」とのこと。

 服を着回すと気になるのは服の手入れ。脱いだ後にぞんざいに扱うとしわになるので、気を付けなければいけない。スーツの手入れで重要なのは、スーツを着用した後はブラシをかけることだという。「スーツは天然繊維なのでほこりなどで目詰まりしてしまいます。そのためブラシでそういったほこりを落としてあげる。そうすることで虫食いやカビをある程度防ぐことができます」

 シャツの襟や袖も汚れが染み込んでしまうことがあるが、皮脂汚れなのでせっけんで洗った後に洗濯をすると驚くほど汚れが落ちるという。「よくそういった部分用の洗剤なども売っていますが、せっけんでも十分なほど効果が得られますよ」

3メートル以内の勝負を制する

 男性のファッションは基本ゆったりになるか、細くなるかのどちらかを行ったり来たりしている。ジャケットのラペル(襟)幅やボタンの数など時代によって変化する。

 「男性のスーツファッションは『3メートル以内の勝負』とよくいわれます。テーブルを挟んで相手と対峙(たいじ)したときに『おっ』と思わせることが重要です」と中川氏は話す。

 春から新しい環境に移る人やあまりスーツを着慣れていない人は、今回紹介したコツを実践して「3メートル以内の勝負」に挑んでみてはいかがだろうか。


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