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@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(116)
グーグル的な、あまりにグーグル的な

@IT自分戦略研究所 書評チーム
2009/8/19

■人類の新時代

 「グーグル」というのは21世紀以降人類に適用された新しいルールの俗称なのかもしれない。あるいはこれから人類に普及するであろう思想の擬人化。『グーグル的思考』の著者ジェフ・ジャービスはかなり真剣だ。少なくとも彼はグーグル的な新しい経済秩序の誕生には疑念を持っていない。今後、さまざまな経済活動はグーグル的に再編成されていくだろうと自信を持って記述している。例えば、メディア、広告、小売業、電力などの公益事業、製造業、サービス業、金融業、福利厚生、教育機関。古い秩序は破壊され、新しいルールの下に再構成される。

グーグル的思考

ジェフ・ジャービス(著)
早野依子(翻訳)
PHP研究所
2009年5月
ISBN-10:4569708196
ISBN-13:978-456970819
1575円(税込み)

 あなたは「どちら」の側に属しているだろうか。人類の新時代はすでに始まっているのだ。

 新しい時代の新しいルールとはいかなる姿をしているのか。経済分野で考えてみる。

 従来、経済活動は、市場に流通する商品やサービスの「希少性」という性質に裏付けられていた。しかし、最近になって、経済活動を裏付ける性質は「潤沢性」に変わり始めた。製品や(製品の)流通の掌握が企業の利益保証につながらなくなり始めたのだ。

 供給側から需要側へ流れていた一方通行の情報の流れにも変化が訪れている。今日の市場では、商品の製造、流通、マーケティングといった過程で消費者の協力を得ることが(企業にとって)大きな武器になる。情報の流れは「供給側→需要側」という一方通行ではなく、「供給側←→需要側」という双方向に変化した。

 「グーグル的思考」の持ち主たちの目に映る新しい世界秩序は、まさにインターネットが掘り起こした新しい価値観(=何よりも「関係性」が大切である)に基づいている。フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ、クレイグスリストの創業者クレイグ・ニューマーク、ウィキペディアの創業者ジミー・ウェールズ、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス、ディグの開設者ケビン・ローズ、そしてもちろん、グーグルの若き創業者の2人。『グーグル的思考』というこの本は、このような革新者たちの思考傾向を分析し、特徴をまとめあげた仕事であるといえる。(鮪)

本を読む前に
地球上で最大の書店をつくった男 (@IT自分戦略研究所)
ヤフーの最高経営責任者 (@IT自分戦略研究所)
インターネットの風雲児 (@IT自分戦略研究所)

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