Google流「いいサービスの作り方」
千葉大輔(@IT自分戦略研究所)
2007/9/26
次から次へと新しいサービスを生み出し続けるグーグル。グーグルが追い求めるサービスや機能が次のWebサービスのトレンドになる可能性は大いにある。「パーソナライズド検索」や「ガジェット」もそのうちの1つだ。
今回、グーグル アソシエイツ プロダクトマネージャであるブラッド・エリス氏に日本におけるiGoogleやGoogleガジェットについて開発の様子や今後の展開について聞いた。こうしたサービスから、多くのユーザーに利用してもらえる「いいサービスの作り方」を探る。
グーグル アソシエイツ プロダクトマネージャ ブラッド・エリス氏 |
「大学在学中から日本語を勉強し始めた」というエリス氏。留学経験などを通じて、日本への興味が強くなり、「できれば日本の文化や知識と技術的なノウハウを生かして、何か仕事ができないかとずっと考えていました」という。
2004年に大学を卒業したエリス氏は、京都でデジタルアートに関する仕事に取り組んだ。技術と伝統文化やアートを統合させて何か面白いものを作るという試みを1年ほど続けたという。
その後、アメリカに戻り、Webアプリケーションの開発を1年半行ったが、2007年春にグーグル日本法人に転職。現在はiGoogleやGoogleガジェットといったサービスのプロダクトマネジメントをしている。
■iGoogleの開発舞台裏
iGoogleとは、それまで「Googleパーソナライズドホーム」として提供していたパーソナライズドサービスを、2007年5月に名称を改めたもの。ユーザーのし好に合わせて、表示させるコンテンツやサービスをカスタマイズできる。GoogleガジェットはGoogle DesktopやiGoogleで動作するミニWebアプリケーション。天気情報や時計、カレンダーといったものから、鉄道の乗り換え案内やゲームなどさまざまものが提供されている。
こうしたガジェットは、企業が自社サービスをガジェットとして提供する場合もあれば、個人が自ら欲しいと思うものを開発する場合もある。エリス氏はこうした日本におけるガジェット開発の普及や利用促進のため、Google ガジェットAPIの解説やiGoogleガジェットコンテストなどのイベント運営について、バックエンドのシステムの部分から、情報発信などといったことにも携わっているという。
また、開発者やユーザーの動向を見ながら、サービスの改善も行う。測定したログから、ユーザーがどのくらいサービスを利用しているか、Webサイトのユーザーインターフェイスの変更や機能追加に対して、どのような変化があったのかを見ているという
「それぞれのデータに優先度を付けて、定期的にという形ではなく、事あるごとにできるだけ早く見ていくということですね。それが多くのユーザーの意見をまとめる一番いい方法だと考えています」とエリス氏。開発者やユーザーから直接話を聞くこともあるという。
「日本の開発者の人たちと話をして、リクエストを聞き、ユーザーの傾向を見て、いまあるiGoogleやガジェットを改善するためにどうしたらいいかをまとめて、アメリカのエンジニアとコミュニケーションしながら、日々サービスの改善を行っています」
例えば、日本では携帯電話などのモバイル機器への対応に力を入れているという。また、ちょっとしたところだと天気予報の情報を詳細に盛り込むなどの工夫がされているという。こうした改善は日本独自のものもあれば、iGoogleというサービス全体で行われることもある。
では、その開発を行うチームの構成として、どのような体制を取っているのだろうか。
「プロジェクトによっても違うのですが、iGoogleの場合はコアチームが本社にありますし、もちろん日本にもエンジニアがいます。ただ、コアチームで日本向けに機能の改善を行っても、時差の関係で遅れることがあります。そういう場合は直接アメリカに行くこともありますが、最近では、コアチームの中に日本のリクエストに対応するエンジニアをアサインするケースもあります。その場合、エンジニアはコアチームの一員としての業務を行う一方で、日本からのリクエストを基にした機能の改善をコアチームと連携しながら行います」(エリス氏)
エリス氏が考える「いいサービス」とは |
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