育児中の社員と上司の間に横たわる「9つの誤解」仕事と子育てを同時に行うコツ(1/2 ページ)

「仕事と子育てを同時に行うコツ」とは何だろうか。日本ヒューレット・パッカードの社内向けイベント「産休・育休に関する説明会・交流会」で挙げられたのは、「会社のサポートは大切だが、本人のキャリアへの意識も重要」「本人とその周囲が、ともに互いを理解すること」だった。

» 2008年09月16日 00時00分 公開
[長谷川玲奈@IT]

ある社内イベントに見る、仕事と子育てを同時に行うコツ

 子どもを持つ選択をした人にとって、「子育て」は人生における大きなイベントの1つだ。多くの人が、人生の一時期、仕事と子育てを同時に行うことになる。多かれ少なかれ、仕事における周囲の理解と協力が必要となるだろう。

 その際、本人はどのように不安を払しょくし、周囲の理解とサポートを得、仕事と子育ての両方に対処すべきか。また、周囲はどのように接するべきか。

 日本ヒューレット・パッカードが2008年9月11日に開催した社内向けイベント「産休・育休に関する説明会・交流会」では、産前産後休暇(産休)や育児休職(育休)の経験者、多くの経験者を部下に持つマネージャが講演。子育て中の社員が工夫すべき点、周囲が気を付けるべき点を挙げて、これから産休・育休を迎える社員にエールを送った。

 彼らが特に強調していたメッセージは、

「会社のサポートは大切だが、本人のキャリアへの意識も重要」

「本人、周囲(特に上司)ともに勝手な思い込みを捨て、相手を理解することが必要」

だった。

日本ヒューレット・パッカードの社内向けイベント「産休・育休に関する説明会・交流会」会場の様子 日本ヒューレット・パッカードの社内向けイベント「産休・育休に関する説明会・交流会」会場の様子

思い込みを捨てる

 同社労働組合の福田恭子氏は、「(育児の当事者もその上司も)個々人の勝手な思い込みを捨てること、互いを理解しようとする気持ち・努力を忘れないこと」が、子育てしながら仕事を進める秘けつだと説く。9つの「妊娠・育児中の女性の思い込み」「男性の思い込み」「マネージャの思い込み」の例、その反論として以下を挙げた。

妊娠・育児中の女性の思い込み

「説明しても周囲は分かってくれないだろう」
育児経験のない人の理解を得るのは大変だが、周囲の理解と協力はどうしても必要。状況を伝える努力を怠らないこと
「私は妊娠している/子どもがいるから大変なんだ」

「私には育児制度を使う権利がある」
被害意識や権利のみを主張する考え方を持たない。権利を使うには周囲の協力が必要

男性の思い込み

「男のくせに育休や短縮勤務を利用したいなんていったら、マネージャはいい顔しないだろうし、周りに迷惑が掛かるだろうな」 男性社員が育休を利用して後悔したという話は聞いたことがない。むしろ「仕事への取り組み方を見直すきっかけになった」など前向きな感想が多い
「キャリアに響くだろうな」
仕事の進め方はマネージャとよく相談を。仕事にもいい影響があると考えられるので、ぜひ積極的に検討を!

マネージャの思い込み

女性部下が妊娠したら
「だから女性は使いづらいんだ」
休職自体はけがや病気、介護でも発生する。女性だけの問題ではない。「だから女性は」という考えは持たない
「育児で大変だろうから、仕事量を減らした方がいいのかな?」
一方的に決め付けない。これまでどおりに働きたい人もいる。本人とよく話し合いを

男性部下が育児に関する制度を利用したいといったら
「なんで男性が育児をするんだ」
育児に関する考え方はそれぞれ。自分の意見を押し付けず、当事者の意見を尊重して、制度の利用に協力を
「育児は女性がした方がいいんだ。いや、すべきだ」

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