ITエンジニアのためのビジネスコミュニケーション診断

第4回 相手にYesといわせる説得力

鹿野晴夫・大塚千春(アイ・シー・イー)
2008/12/12

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「説得力チェック」診断結果

36点以上
【Aレベル】

相手の立場を考慮して、納得を得るために、「相手のメリットを強調する」ことができている。油断せず、現在のレベルを維持しよう

31〜35点
【Bレベル】

「相手のメリットを強調する」ことがある程度効果的にできている。解説を読んで、さらなるスキルアップを目指そう

26〜30点
【Cレベル】

「相手のメリットを強調する」ことが効果的にできていない可能性がある。相手の納得を得るには、事前準備が大事だ。解説を読んで、スキルアップに努めよう

25点以下
【Dレベル】

「相手のメリットを強調する」ことができていない。事前準備なしに、相手の納得を引き出すことは難しい。解説を読んで、スキルアップしよう

「説得力チェック」解説

 物事には、必ず「メリット」と「デメリット」がある。相手の納得を引き出すには、相手の考える「メリット」が「デメリット」を上回っていることが鍵だ(メリット>デメリット=納得)。これは、何かを購入する際のことを考えると分かりやすい。商品・サービスを購入することで得られること(メリット)と、価格(出費することのデメリット)を比較しているはずだ。

 相手の考える「メリット」と「デメリット」は、相手の立場や状況によって異なる。高級レストランでの食事を高いと考える人もいれば(メリット<デメリット)、普通と考える人もいるかもしれない(メリット=デメリット)。あるいは、普段は高いと考えても、何かの記念日という状況であれば、利用する人もいるだろう(メリット>デメリット)。

 このように「メリット」と「デメリット」は、相手の立場や状況で異なるから、行き当たりばったりの打ち合わせや説明で、効果的に「相手のメリットを強調する」ことは難しい。打ち合わせの事前準備として、相手のメリットを検討しておくことが不可欠だ。

 なお、今回紹介した事例(作業量が増えるお願いをする)のように、単純に考えると「デメリット」しかないように思える事柄でも、視点を変えれば「メリット」が見えてくる。事例2の最後にAさんが、こう付け加えたらどうだろう?

事例2(続き)
Aさん : 「みんなの協力で、納期を守ることができれば、顧客が満足してくれるだけでなく、継続受注が期待できる。むろん、難局を乗り切るのに力を発揮してくれたBさんの社内での評価も上がると思う。こちらこそ、よろしく頼むよ」

 ちょっとした視点の変化で、顧客の満足(顧客のメリット)、継続受注が期待できる(組織のメリット)、社内での評価が上がる(個人のメリット)などが見えてくる。むろん、メリットを強調したら、デメリットが消えるわけではないが、相手がメリットもあると感じることができれば、納得を得られる可能性が高くなる。

 今日からできるスキルアップ術

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