シスコ ソフトウェアの基礎ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(10)(1/2 ページ)

本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。CCNAは、2007年12月に改訂されたばかりで、2008年1月現在、新試験の情報がまだ少ない状況です。よって本連載は、改訂前の試験(640-801J)で解説をしますが、新試験の解説が可能になり次第、新試験(640-802J)も含めて解説していきます。

» 2008年06月11日 00時00分 公開

 今回は、OSやメモリなどのCisco IOSソフトウェアの基礎と、Ciscoルータの起動について学習します。

シスコ ソフトウェアの基礎

 Ciscoルータ上で動作するOSを「Cisco IOS」(Internetwork Operating System)といいます。Cisco IOSによってネットワークサービスを提供し、コマンドラインインターフェイスにて各種管理を行うことができるようになっています。

 Ciscoルータには、「ROM」(Read-Only Memory)、「NVRAM」(Non-Volatile Random Access Memory:不揮発性RAM)、「Flash」「RAM」(Random Access Memory)の4つのメモリがあります。

タイプ 電源切断時 特徴
ROM 内容を保持 読み込み専用
NVRAM 内容を保持 読み書き可能
Flash 内容を保持 読み書き可能(消去、再プログラムも可能)
RAM 内容を破棄 読み書き可能

図1 ルータのメモリと起動時の流れ 図1 ルータのメモリと起動時の流れ

 ROMには、ルータの起動時に必要なプログラムが格納されています。POST(Power On Self Test)は、電源投入時に実行される自己診断プログラムです。POSTによって、CPUやメモリ、インターフェイスなどのハードウェアチェックが行われます。Bootstrapは、Cisco IOSの格納場所を検索するプログラムです。Flashに格納されるCisco IOSを検出するのがデフォルトですが、異常が発生した場合は、ROMに含まれるROMモニタを実行します。起動時の設定によっては、同じくROMに含まれるMini IOSを起動することもできます。Mini IOSはCisco IOSの機能限定版です。Cisco IOSをFlash内で検出できない場合やCisco IOSに障害がある場合に障害回復のためにMini IOSを起動し、設定することができます。

 Flashには、Cisco IOSが格納されています。Cisco IOSのバージョンアップや複数のCisco IOSを格納しておくこともできます。

 NVRAMは、電源を切断しても消えない不揮発性という性質からNVRAMという名称が付けられています。ルータの設定を保存するためのstartup-configファイルやコンフィグレーションレジスタが格納されています。コンフィグレーションレジスタは、ルータの起動方法を決定する値です。

 RAMはルータが動作する間だけ使用される情報が格納されます。正常な状態の場合は、ROM内のBootstrapによってNVRAMのstartup-configファイルが読み込まれ、Flash内のCisco IOSがロードされて起動します。NVRAMのstartup-configファイルは、RAMにロードされるとrunning-configファイルが作成され、ルータが起動中はrunning-configファイルが使用されます。ルータに設定変更を加え、NVRAMのstartup-configに保存し直すことができます。

確認問題1

問題

 Ciscoルータのメモリに関する説明として、正しいものを2つ選択しなさい。

a.Cisco IOSはROMに格納されている

b.コンフィグレーションレジスタはNVRAMに格納されている

c.POSTは、電源停止直前に実行されるプログラムである

d.RAMは、電源を停止しても保持される内容が含まれる

e.ルータが起動中は、RAM内のrunning-configファイルの設定が使用される

正解

 b、e

解説

 正解の選択肢bのとおり、ルータが起動するときのモードを格納しているコンフィグレーションレジスタはNVRAMに格納されています。また、同じくNVRAMに格納されているstartup-configファイルがRAMにロードされると、選択肢eのとおり、RAM内ではstartup-configファイルを基にrunning-configファイルが作成され、ルータが起動中はrunning-configファイルが使用されます。

 RAMは、不正解となる選択肢dと異なり、電源を停止すると破棄されます。選択肢aと異なり、Cisco IOSはFlashに格納されています。ROMに格納されているのはMini IOSです。選択肢cのPOSTは、Power On Self Testの略称のとおり、電源投入後に実行されるハードウェアチェックです。

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