
第18回 スパニングツリープロトコル、動作の仕組み
齋藤理恵(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2009/4/21
■スパニングツリープロトコルの動作
スパニングツリープロトコルは、まずルートブリッジを選定します。ルートブリッジとは複数のスイッチの中で代表になるスイッチです。スパニングツリープロトコルによって、ルートブリッジを中心としたループのないネットワークに再構成します。このルートブリッジ選定後、ルートポート、指定ポート、非指定ポート(ブロック状態)を決定していきます。計算された結果、ルートブリッジから最も遠いと判断されたポートが非指定(ブロック状態)ポートとなります。それ以外のポートは転送状態です。
これらの決定には、スイッチ間で「BPDU」というフレームを2秒ごとに交換します。BPDUには、8バイトの「ブリッジID」(プライオリティ2バイト+MACアドレス6バイト)、「パスコスト」などの情報が含まれます。ルートブリッジの決定にはブリッジIDを使用し、非指定ポート決定までのプロセスにはパスコストを使用します。
非指定ポート決定までのプロセスは以下のとおりです(図3)。
●ルートブリッジの選定
ブリッジIDが最小のスイッチ
●ルートポートの選定
非ルートブリッジでルートブリッジまでのパスコストが最小のポート(パスコストはIEEEで、以下の表のように決まっています)
帯域幅 |
コスト |
10Gbps |
2 |
1Gbps |
4 |
100Mbps |
19 |
10Mbps |
100 |
※パスコストが同じ場合はブリッジIDが最小のスイッチが優先
●指定ポートの選定
各セグメントにおいてルートブリッジまでのパスコストが最小のポート
※ルートブリッジのポートはパスコスト「0」
●非指定ポートの選定ルートポート、指定ポートにもなれなかったポート

図3 ルートブリッジ、各ポートの役割決定
●スパニングツリープロトコルのポートの状態
スイッチの電源投入時、またネットワークのトポロジに変化があるとスパニングツリープロトコルの計算が行われます。このときポートの状態が遷移していきます。
●ブロック状態
スイッチの電源投入時はブロック状態です。ブロック状態のポートはループを回避するためにユーザーフレームの送受信を行いません。ただし、障害検出用にBPDUの受信のみ行います。
●リスニング状態
BPDUを聞いて、ルートブリッジ、ルートポート、指定ポートの計算を行います。BPDUの送受信は行えますがユーザーフレームの送受信は行えません。
●ラーニング状態
MACアドレステーブル未登録によるフラッディングを減らす目的で、MACアドレスの学習が行えます。BPDUの送受信と、ユーザーフレームの受信のみ行えます。
●フォワーディング状態
BPDU送受信、ユーザーフレームの送受信が行えます。
スパニングツリーが収束すると最終的にポートはブロック状態がフォワーディング状態となります。またこれらのポートのタイマーは以下のとおりです。
・ブロック状態 ⇒ リスニング状態(最大エージタイマー:20秒)
・リスニング状態 ⇒ ラーニング状態(転送遅延タイマー:15秒)
・ラーニング状態 ⇒ フォワーディング状態(転送遅延タイマー:15秒)
スパニングツリーが収束するまでに、30〜50秒かかります。
|
|
ルートブリッジとして選出されるスイッチを選択しなさい。
a.パスコストが最小のスイッチ
b.ブリッジIDが最小のスイッチ
c.ブリッジIDが最大のスイッチ
d.パスコストが最大のスイッチ
e.ランダムに選出される
|
b
|
ルートブリッジは最小のブリッジIDを持っているスイッチが選出されます。従って選択肢bが正解です。選択肢cは最大ではなく、最小のブリッジIDが正解です。選択肢aはルートポート、指定ポート選出に使用されます。選択肢dは選択基準にありません。選択肢eはランダムには選出されません。
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|
ルートブリッジ、各ポートの役割を決定している状態を選択しなさい。
a.フォワーディング状態
b.ブロック状態
c.リスニング状態
d.ラーニング状態
e.ディセーブル状態
|
c
|
リスニング状態のとき、BPDUを聞いてルートブリッジ、ルートポート、指定ポート、非指定ポートの選定を行っています。従って選択肢cが正解です。
選択肢aは、すでに役割が決定しユーザーフレームの転送が行える状態です。選択肢bは、障害検出のためBPDUの受信のみが行えます。選択肢dはフラッディングを回避するためMACアドレスの学習が行える状態です。選択肢eは管理者が意図的にポートをシャットダウンしている状態です。
| 筆者プロフィール |
| 齋藤理恵(さいとうりえ) グローバル ナレッジ ネットワーク ソリューション本部に在籍。Cisco認定トレーナー。トレーナー暦は11年。マイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、シスコシステムズなどIT業界でトレーナーとして活動。現在は、グローバル ナレッジ ネットワークで、Cisco認定トレーニングコース(CCNA、CCNP)、ネットワーク系オリジナルコースを中心に講師を担当している。グローバル ナレッジ ネットワーク講師寄稿記事一覧はこちら。 |
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