CCNP対策講座 ROUTE編

第6回 ポリシーベースルーティングとは

内藤佳弥子(グローバル ナレッジ ネットワーク)
2012/6/25

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本連載では、シスコシステムズ(以下、シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、【642-902 ROUTE】を解説します。

 今回は「ポリシーベースルーティング」を紹介します。通常、最適な経路はルーティングプロトコルのメトリックが良い方が選択されてネクストホップが決定します。ポリシーベースルーティングは、管理者の意図した通りにネクストホップを選択することで、柔軟にパケットのルーティングができる機能です。

ポリシーベースルーティングの概要

 ポリシーベースルーティングは「PBR」とも呼ばれます。例えば、図1のような例を考えてみましょう。

図1 ポリシーベースルーティングの概要

 図1において、R1、R2、R3ではOSPFを動作させています。R3では、10.0.0.0/8の経路情報をR1からメトリック100で受信しました。R2からはメトリック200で受信しました。

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 通常のルーティングでは、メトリックが小さい経路が最適な経路として採用され、10.0.0.0/8ネットワークあてのネクストホップはR1です。しかし、ポリシーベースルーティングを使用すると、10.0.0.0/8ネットワークへは、R2を経由でき、管理者の意図どおりにネクストホップを決定できます。

 また、ポリシーベースルーティングでは、あて先ごとにネクストホップを異なるルータにし、負荷分散を行えます。図2において、R3は100.0.0.0/8ネットワークあてのパケットはネクストホップとしてR1を使用し、200.0.0.0/8ネットワークあてのパケットはネクストホップとしてR2を使用できます。

図2 あて先ごとに異なるネクストホップを使用

 ポリシーベースルーティングでは、ルートマップを使用します。ルートマップを作成し、作成したルートマップを適用します。

ルートマップ

 ルートマップとは、条件と処理内容を記述したリストです。ルートマップは、ポリシーベースルーティングだけではなく、ルーティングプロトコルの再配送時のルート情報をフィルタしたり、シードメトリックをルートごとに設定するなどの追加処理を行うときにも使用されます。

 また、BGPのアトリビュート設定などの高度な設定が必要な場合にも使用されます(BGPのアトリビュートについては、第8回目の連載で解説します)。

 ルートマップは、以下のような構成をとります。

route-map ルートマップ名 permitまたはdeny シーケンス番号
 match 条件
 set 処理

 まず、ルートマップは名前を付けて管理します。次に、permitまたはdenyを選択します。

 permitを選択すると、条件に一致したパケットがポリシーベースルーティングによって処理されます。denyを選択すると、条件に一致したパケットはポリシーベースルーティングが行われずに、通常のルーティングが行われます。

 しかし、ルーティングプロトコル再配送時のルート情報のフィルタに使用する場合は、denyはルートを拒否することを表します。

 シーケンス番号は処理の順番を表す番号です。0〜65535の任意の番号を指定できます。

 matchコマンドで、処理対象となるパケットを特定します。matchコマンドのオプションにはいくつかありますが、ACL番号を指定するものがよく使用されます。標準アクセスリストや拡張アクセスリストの番号を指定できます。よって、処理対象となるルートを特定するために、ルートマップのほかにアクセスリストを記述しておきます。

 setコマンドで、処理対象とするパケットに対して、どのような処理を行うかを指定します。setコマンドのオプションとしてよく使用されるものは、以下の通りです。

set metric メトリック値

 条件に一致したパケットに、メトリック値を設定します

set metric-type メトリックタイプ

 条件に一致したパケットに、OSPFの外部メトリックタイプなどを指定します

  確認問題1

問題

 ルートマップが主に使用される場面を、次の選択肢の中から3つ選択しなさい。

  1. 再配送時のルート情報のフィルタ
  2. 再配送時にシードメトリックなどをルートごとに設定
  3. PBR
  4. VLSM
正解

 a、b、c

解説

 正解はa、b、cです。ルートマップは再配送時のルート情報のフィルタや、シードメトリックを設定するときに使用されます。また、PBR(ポリシーベースルーティング)でも使用されます。VLSMではルートマップは使用されません。

 ルートマップの例を挙げます。ルートマップ名はCCNPとします。同じルートマップ名を指定することで、複数の条件と処理内容を定義できます。

 ルートマップの最後には暗黙のdeny anyが存在します。また、match条件は複数指定できます。同じ行のmatch条件はORを表し、異なる行のmatch条件はANDを表します。もしmatchを省略した場合は、そのほかすべて(any)が該当します。

ポリシーベースルーティングの設定例

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