いまだから学びたいXML

第3回(最終回) 学んだ知識を生かす

穴沢悦子、木村達哉
2006/7/29

あらためてXMLのメリット、デメリットを考える

 本連載の第1回「XML、学びの第一歩」で、XMLの重要性と簡単に試せる実例を紹介した。そして第2回の「XMLを体系立てて学ぶには」では、XMLを体系立てて学ぶ際の参考になる書籍や講習会を紹介した。

 この2回の記事を参考に、XMLを学習していただけたろうか。XMLとその関連技術をひととおり学んだら、XMLを使用する際のメリットとデメリットを自分なりにあらためて整理しておくことをお勧めする。

 第1回で紹介した実例は、@IT上のRSSから「基礎」「入門」などのキーワードが含まれる記事コンテンツを自動的に取り出して表示する程度の簡単なものであった。この一例からも、次のようなXMLの特徴を導くことができる。

・データ公開の容易さ

 XMLはHTMLと同様にWebとの親和性が高く、データをWeb上に公開することが容易である。そして公開されたXMLデータに対しては、URLの入力により簡単にアクセスできる。データを利用する側では、公開されたXMLデータをいつでも取り込み、有効に活用することができる。

・データの再利用性

 XMLをアプリケーションやシステム連携の際の共通フォーマットとして利用すれば、データの再利用性が高まる。例えば企業内の既存システムには、さまざまなデータが蓄積されているが、XMLフォーマットを活用することで、社内ネットワークを通じてイントラネット上でデータを表示することができる。つまり、データの2次利用が容易にできる。

・データの拡張性

 現在公開されているRSSデータに対して、既存の要素とともに、これまで使用されていない新しい要素を追加することができる。既存のアプリケーションでは既存の要素のみを処理し、新しく作成されるアプリケーションでは、既存の要素とともに新しい要素も処理できる。このようにXMLフォーマットには拡張性がある。

・データの長期保存性

 XMLデータはテキストで記述することができ、特定のOSやアプリケーションに依存せず、データを長期保存する際に適している。また前述のようにデータに拡張性があることは今後長期にわたってデータを扱ううえでの運用上のメリットであり、データの長期保存性を向上させる。

・XML利用のデメリット

 XML利用のデメリットとしては、データサイズが冗長になることである。バイナリで表現できるデータをテキストデータで記述すれば、その分データサイズは大きくなる。併せてデータの各項目に対してタグを記せば、さらにデータサイズは大きくなる。従って、扱うデータサイズが非常に大きい場合やシステムの即時応答性が求められるような場合は、XMLは不向きといえるだろう。

固定概念から抜け出そう

 XMLはシステム間でのデータ連携に向いている、文書管理に適している、などとよくいわれるが、そのような知識だけで頭を固くしてはいけない。

 XMLが適した領域は現在どんどん広がっている。いま流行のRSSやAjaxなどでXMLを利用しているのはご存じだろう。オープンソース系のソフトウェアの設定ファイルなどもXMLファイルであることが多い。それは、ソフトウェアのバージョンアップの際にソフトウェア開発者が楽をできるからだ。GUI設計などでもXMLを使うツールが増えている。

 それぞれのシチュエーションでXMLを採用している理由は異なるが、最新のIT基盤ソフトにはXMLが活用されているものが非常に多い。この広がりを見るとインターネットがベースとなった今日のシステムには、XMLを利用することにより享受できるメリットがいかに大きいかが推測できるだろう。

XMLをうまく業務に利用する

 XMLのメリットを享受できる領域は、基盤ソフトに限ったことではない。ユーザーアプリケーションにおいてもXMLの恩恵に預かることができるケースは非常に多い。

 XML技術を体系立てて学習し、理解している人であれば、XMLをどのシステムに適用したらよいのかを的確に判断できるはずである。過去の採用事例や経験などに頼っているだけでは新しい発想は生まれないが、本当はデータ連携でも文書管理でもないところの領域で、XMLにしておくことによって自分自身が後々恩恵を得られるケースはあちらこちらに転がっている。ぜひ、XMLをうまく業務に利用し、XMLの恩恵にあずかっていただきたい。

知識に裏打ちされたアイデア、応用力が実力

 基本的にはスキルは教わるものではなく、自分で身に付けるものだと筆者は考えている。著名な人のノウハウを講演で聞いても、すぐに自分がそのノウハウを生かせるとは思えない。その著名人とは置かれている環境も持っている知識の土台も異なるからだ。

 XMLデータの適用ノウハウ、設計ノウハウを教えてください、といわれることもあるが、これも同様に最終的には自分で考えなければならない領域だと思う。過去の事例、成功談、失敗談などは、参考になるようでならないことも多い。置かれているシステムのシチュエーションや利用形態が異なるからだ。

 必要なXML技術知識と利用経験を身に付けたうえで、自らが、それぞれのシチュエーションでXMLの適用の可否をきちんと判断できるITエンジニアになってほしい。それにより、より最適なシステムを発想できるITエンジニアを目指していただきたいと思う。それこそがほかの人との大きな差別化要因となる、あなただけのスキルになると思うからだ。

筆者プロフィール
穴沢悦子:インフォテリアで、2002年1月よりXMLの教育事業に従事。XML技術者の育成活動を積極的に推進している。
木村達哉:インフォテリアでXMLの教育テキスト開発の取りまとめ担当者として、コース開発やインストラクタ教育などに従事。

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