第2回 オープンマインド――チームがまとまらないときの処方箋
ピースマインド
カウンセラー 石川賀奈美
2010/6/30
●(3)自分を開示する:聞くだけでなく、自分のことを話す
オープンマインドでいるためには、相手の話を聞くだけでなく、自分のことを積極的に話すことが重要です。自分を開示することで、「マネージャはこんな人なんだ」という像がメンバーの中にでき、信頼感が生まれます。
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「自分を開示する」というのは、「自分をさらけ出す」こととは違います。できれば、相手のニーズのある事柄について自分の失敗を笑い話として話せるといいでしょう。「自分も同じ失敗をしたことがある」とか「こんなささいなことで悩むことがある」といったことを伝えてみましょう。
こういうことは、ある程度気持ちに余裕がないとできないかもしれません。しかし、こう考えてみてください。「自分をどうとらえているかは、他者をどうとらえるかということにつながる」かもしれないと。
例えば、やたらと自慢話が多いマネージャに対して、メンバーは「自慢ばっかりだなあ」と思うと同時に、「マネージャの評価基準(価値観)は、“成功”か“不成功”かなのだ」と認識するのではないでしょうか。すると、メンバーは業績について必要以上にセンシティブになるかもしれません。それは、チームとしての一体感を阻害する要因になり得ます。
「自分のことをどう話すか」は、「自分をどういう人間だ」ととらえているかと密接にかかわっています。そこで、よりオープンマインドであるための「自分についてのとらえ方」について、「ジョハリの窓」という考え方をご紹介します。
■自分にとっても他者にとっても「開かれた窓」を開ける
「ジョハリの窓」とは、アメリカの心理学者、ジョセフ・ルフトとハリー・インガムが発表した「対人関係における気付きのグラフモデル」のことです。彼らは、「対人関係における自己」を4つの窓として表しました。
ジョハリの窓 |
- 自分が知っていて、他者も知っている自分→開かれた窓
- 自分が知っていて、他者は知らない自分→隠された窓
- 自分が知らなくて、他者は知っている自分→盲目の窓
- 自分が知らなくて、他者も知らない自分→未知の窓
コミュニケーションにおいては、左上の「開かれた窓」の領域を広げていくことがカギです。「開かれた窓」を広げていくには、他者に自分を知ってもらうための努力が必要です。
他者から「あなたにはこんな面がありますね」といわれたことを素直に受け止めていると、周囲の人はコメントをいいやすくなり、開かれた窓は広がっていきます。「開かれた窓」が大きくなれば(ほかの窓は小さくなります)、お互いに安心感が持ててオープンなコミュニケーションが取れるようになります。
オープンなコミュニケーションは自分と他者、両者にとってメリットがあります。
まず、自分にとっては「こんなことが知られたら恥ずかしい」といった不安を持たずに済むので、伸び伸びと自分らしくいられます。他者は他者で、「まあ、あのリーダーはいつもこうなんだよね」と、受け止めやすくなります。
結果として、チームがオープンな雰囲気になっていき、打ち解けにくかったメンバーも心を開きやすくなるでしょう。チームの雰囲気がこうなれば、どんな厳しい状況になっても一丸となって乗り越えていけるのではないでしょうか。
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