加山恵美
2008/4/7

もしSilver 10gからGold 11gを目指すなら

 まだ道は狭いが、少なくともORACLE MASTERで11gへの道は開けた。もしORACLE MASTERに挑戦するなら、Platinum取得が最終目標だろうが、まずはGoldを目指すとしよう。例えばSilver 10g取得者なら、2通りの道が考えられる。

 1つは、先にGold 10gを取得してから、Gold 11gの移行試験を受ける。“先に上に1歩、次に横へ1歩スライド”という道である。もう1つの道は、先にSilver 11gの移行試験を受けてから、Gold 11gを取得する方法だ。こちらは“先に1歩横へスライドしてから、上へ1歩”だ。

 ステップ数は同じだが、急ぐなら前者をお勧めする。前者なら必要な2試験はすでに提供されている。後者の道だと、Silverの移行試験を5月まで待ち、さらにGold 11g試験を夏ごろまで待たなくてはならない。

 「そんなに急がなくても」と思うかもしれないが、スキルは早いうちに習得した方が何かと有利だ。より最新のスキルをマスターした方が、ITエンジニアとして市場価値が高まり、キャリア形成に有利に働く。

新機能を知らないと、宝の持ち腐れ

 キャリア形成だけではない。最新機能を活用すれば実務でも効率や質に好影響を与える可能性がある。

 日本オラクル オラクルユニバーシティ ビジネス推進部 担当シニアマネージャ 西部正義氏はこう話す。「Oracle Database 11gは顧客の要望に応える数多くの新機能が搭載されています。例えば、11gではFlashback Data Archiveという新機能があります。Flashback Data Archiveは、過去の任意の時点におけるデータ参照機能、分かりやすくいうとタイムマシンの機能を提供するものです。この機能を利用することで、データベースの設計を一切変更することなく、データの正当性の証明(データの変更履歴の提示)を実現することができます。しかし、従来の手法でこれを実現しようとすると、複雑で無理な処理でやらなくてはなりません。11gであれば簡単に実装できる機能があるのに、それを知らないで設計してしまうと11gの良さを生かし切れなくなってしまいます。宝の持ち腐れにならないよう、なるべく早く新機能をマスターしていただきたいと思っています」

 オラクル製品に限る話ではないが、最新版は多機能・高機能である。もし最新版を使う機会があるなら、機能を最大限に生かすべく新機能をマスターするのがいいだろう。

データベース管理者には多くの可能性がある

日本オラクル オラクルユニバーシティ ビジネス推進部 シニアディレクター 杉山 真理子氏

 さらに昨今の事情を踏まえると、ORACLE MASTERはキャリアを広げるいい足掛かりになるかもしれない。一般的にこれまでORACLE MASTERというと、データベース管理者(DBA)のための試験であり、そのスキルはデータベースのバックアップ、パフォーマンスチューニングなど構築・運用が中心だった。

 だが、近年では「データベース管理者への新たな期待が高まっています」と同社オラクルユニバーシティ ビジネス推進部 シニアディレクター 杉山 真理子氏はいう。ビジネス課題の多様化によりITエンジニアに期待される範囲が広くなっている。データの可視化や仮想化、連携技術の習得はもとより、個人情報保護法やJ-SOXといった法律への対応などだ。

 こうした要望に応えるにはデータベース管理者のスキルがいい足掛かりになる。つまり必ずしもORACLE MASTERである必要はないが、データベースのスキルがあればITエンジニアとしての可能性を広げることができるということだ。

Goldへの移行試験のみ先駆けとなったのは?

 ところで素朴な疑問ではあるが、なぜGold 11gへの移行試験のみ、いち早くリリースされたのだろうか。BronzeやSilverと違い、Goldとなると上級の試験である。これは試験の性格にあるということだろうか。Gold 11gの移行試験の正式名称は「Gold DBA 11g 新機能」である。名前に「新機能」が付いている。これはGoldのみである。名が示すとおり、11gの新機能にフォーカスした試験となっているのだ。新機能に絞っているため、試験が早く提供できたようである。

 ただし移行試験ではないGold 11gと新機能に絞った移行試験のどちらが取得しやすいかと考えると、そこは一概にはいえない。ただ、10gの移行試験でも、Goldは新機能に的を絞ったものとなっていた。ORACLE MASTERでGoldを取得しておけば、後に試験がバージョンアップしても新機能の差分を中心に勉強していけば、 最新版のGoldを早い時期に取得できるようになる。

 杉山氏は「オラクルのITエンジニアならSilverは必須です。Gold以上になると、判断力も必要となり、データベースのアーキテクトなどエキスパート向きです」と笑顔で話す。ORACLE MASTERを究めるなら、Gold以上を目指したいところだ。

 

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