初のXML技術者認定試験を完全解説
XMLマスターとはどんな資格か?

加山恵美
2001/10/27

1. XMLマスターとは?

■国内初のXML技術者認定試験「XMLマスター」登場

 XMLマスターの話をする前に、XMLのこれまでの流れを簡単に振り返ってみよう。SGMLからHTMLが、さらにXMLが生まれた。技術系雑誌でXMLが取り上げられはじめたのは、1990年代の後半、年を追うごとに話題の中心となり注目を集めてきた。その間にW3Cを中心にXMLと関連技術の仕様が勧告化され、技術の標準化が進んだ(現在も進行中だが)。

 2000年に近づくにつれ、各種XMLツールが公開されたり、データベースをはじめ各種ソフトウェアベンダーが既存の製品にXMLを「プラグイン」した新バージョンを発表するようになり、XML技術の進歩に近い速さでXMLが実装された製品が入手できるようになった。XML技術者の育成支援では、XMLの講習会やトレーニングコースが各地で行われるようになった。

 これらの環境が整うようになって、2000年ごろにはシステムへの導入事例も発表されるなど、XMLが実際の“現場”に登場しはじめた。これら先駆となる導入事例に続けとばかり、XMLをシステムプロジェクトのソリューションの一部として本格的に検討を開始する組織は増え、現在XMLのすそ野が次第に広がりつつある。

 ここで、エンジニアにかかわる部分をもう少し深く見てみよう。XMLが登場したころのエンジニアは、必要な部分だけをW3Cなどから情報を得て、ドキュメントを参照しながら独学で学び、すぐに実践へと適用した。近年では研修コースでXMLを学ぶ人も多くなったが、これまでは受講するだけにとどまっていた。つまり、受講で得られた理解度を証明する指標がなかった。XMLは長い歴史を持つ技術ではないため、まだ“実戦”経験者の数も少なく、XMLの確かな技術を持つと認定されたエンジニアもいない。そのため現段階では、XMLを含んだシステム開発プロジェクトでエンジニアをアサインするとなると、XML未経験者ばかりとなることが多い。そういった意味では、確かな腕を持つXML技術者は不足している。さらに、XML黎明期であれば開発は自社内で試行錯誤しつつチャレンジする会社もあったが、最近では大規模で本格的な案件が増加しつつあり、素早く確実にXML技術者を手配する必要性が高まってきている。そのためXMLに関しては、“仕事”に対して“人材”が圧倒的に不足しているようだ。

 こうした背景の中、2001年10月からXMLに特化した資格試験「XMLマスター」が開始された。この認定制度が開始されたことによって、ようやくXML技術の客観的な指標が現れたことになる。

■ベンダー認定ではなく中立的な資格

 このXMLマスターの特徴の1つは、ベンダー認定の資格試験ではないということだ。XMLマスターを認定するのは、XML技術者の教育や育成推進、またXML技術の広範囲な普及を目指す「XML技術者育成推進委員会」が行う。そのため、中立的な立場から認定されることになる。試験問題はこの委員会によって検討され、出題される。

XML技術者育成推進委員会(2001年10月現在)
●XMLコンソーシアム(会員:200社)
●外資系情報産業研究会(会員:32社)
●インフォテリア
●NECソフト
●大塚商会
●キヤノンソフトウェア
●シーアイエス
●日立システムアンドサービス
●PFU

 XMLマスターは、ベンダー認定資格と情報処理技術者試験の中間的な位置にあるのではないだろうか。ベンダー認定だと知識や技術がベンダー製品に限られるので、エンジニアの技術力の測定手段としては確実だ。例えば、シスコシステムズの製品で構築されたネットワークの保守要員が欲しいのであれば、シスコのCCNAやCCNP資格を取得していれば歓迎されるだろう。ただしその半面、シスコに限らずベンダー資格だと範囲が限定されてしまう。ベンダーの製品やバージョンに依存してしまうこともあるので効力も限定的だ。逆に国家試験である情報処理技術者となると範囲が広すぎて、実務との関連性が薄くなる傾向がある。

 XMLマスターは取り扱う技術を明確に絞り込み、試験範囲を普遍的な部分に限定して、ベンダー技術に依存しない中立的な認定を与えることを目的としている。

 
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試験の内容と取得方法

Index
XMLマスターとはどんな資格か?
1. XMLマスターとは?
  2. 試験の内容と取得方法
  3. XMLマスターの効能は?
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