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津田塾大学女性研究者支援センター 夏の合宿 2009

津田塾大学主催 女子高校生「夏の合宿」レポート
女子高校生が作るロボットはデートのお邪魔虫


金武明日香(@IT自分戦略研究所)
2009/8/25

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 PaPeRoの制御は、MITが開発した教育用プログラミング環境のScratch(スクラッチ)で行う。Scratchを使えば、スクリプト言語が分からなくても、マウス操作だけで簡単にプログラムを組むことができる。

 今回参加した学生たちは、必ずしも理系や工業系のの学校に通っているわけではないという。むしろ、学校では情報技術や数学に触れる機会が少ないけれど興味があるという学生が多いようだ。「面白そうだから参加してみた。理科は好きだけど、数学は普通。でもロボットは大好き」と、学生の1人は語った。

プログラミングをする学生と、PaPeRoのタッチセンサーを探す学生

 簡単な説明を受けると、学生たちは数名ごとのグループに分かれて作業を開始した。各グループごとに1台のPaPeRoが与えられ、学生たちは試行錯誤を繰り返しながらプログラムを組んでいった。高校生が手詰まりになると、「この変数を使ってみるのはどう?」と、各グループに配置された大学生がさりげなくサポートする。高校生と大学生が一緒に実習を受けるスタイルは、「世代間交流」を意識したものだ。「理系や情報学系に進む女性が少ないのは、モデルケースが身近にいないからではないでしょうか。高校生と大学生が一緒に作業をすることで、高校生たちに“理系の女子大学生はこんな感じなんだ”ということを感じ取って欲しい」と来住氏は語った。

Scratchを使って、PaPeRoを制御する

「何、デート!」、娘のデートを邪魔する父PaPeRo

 最終成果物の発表は「パーソナルロボット選手権」。各グループは「先生PaPeRo」「漫才PaPeRo」など、寸劇のシナリオを自由に作って、PaPeRoに「演技」の命令を読み込ませた。最終発表の時間になると、PaPeRoと高校生が、壇上で一緒に演技をした。

 ナンパに失敗するも、明るく次のナンパに挑戦するナンPaPeRoや、「犯人はお前だ!」と推理を展開する「コナンPaPeRo」などが登場。「どこへ行く? 何、デート!」と娘の行く手を邪魔するパPaPeRo(その後、肩揉み=肩のセンサーのタッチで懐柔される)を発表したグループは「全国のお父さんは、ぜひこのPaPeRoを使ってください」とアナウンスして教室の笑いを誘った。「どれも本当にいい出来だ」と杉浦氏はコメントした。「とても楽しかった」と高校生たちも満足した様子だった。

講師と一緒にポーズ。左から「逆ナンPaPeRo」「ナンPaPeRo」「占いPaPeRo」「漫才PaPeRo」「コナンPaPeRo」「パPaPeRo」

 学生が組んだプログラムは、NEC C&Cイノベーション研究所の研究用資料として使われるという。同研究所は「30年後の社会における情報通信技術」をテーマとして活動を行っている。社外団体とのコラボレーションは、同研究所の活動の一環だ。研究員はさまざまな学校に赴いて、子どもがPaPeRoを使って遊ぶデータを収集しているという。 「大人になってつくづく思いますが、やっぱり子どもの感性に敵わないですね」と同研究所の加藤氏は話す。「自由にアイデアを出すのは、子どもたちにやってもらいます。収集したアイデアを、現実性のある計画に落とし込んで実行するのは、わたしたち大人の役割だと思っています」。

 「夏の合宿 2009」は、2010年も開催する予定だという。

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