エンジニアは、新しい技術に敏感でなければならない。技術の進化に歩調を合わせ、新技術を吸収し消化していかなければ、エンジニアとしてのキャリアアップは望めない。しかし、JavaやC#、UMLやXPなど、言語や開発スタイルが大きな転換期を迎えようとしている現在、技術だけを追い求める時代は過ぎ去ったとする見方がある。それでは、株式会社豆蔵(以下、豆蔵)が求めるエンジニアとはどのようなものなのか。豆蔵が考える理想のエンジニア像に迫る。 |
内から外に変貌するソフトウェアエンジニアリング |
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「エンジニアに求められるスキルは技術の変遷とともに変わる。これからは、ビジネスをどうITで構築できるか、という視点を持たないエンジニアが生き残るのは難しい」と、豆蔵の萩本順三 取締役副社長兼CTOは言う。
ITエンジニアの世界は、新たなビジネスモデルが提案されると、その実現のために必要とされるシステム構築に対するスキルがメインストリームになるという歴史を繰り返してきた。顧客からの要求に応じてプログラムを書き、システムに組み込み、動かすという実装能力が、これまでエンジニアの価値を判断する1つの指標であった。しかし、エンジニアに求められるスキルやエンジニアの価値の指標は、いままさに大きく変わろうとしている。
豆蔵は、オブジェクト指向が普及期から成熟期、そして発展期へと変遷しつつあるととらえている(図1)。1995〜2000年にかけてC++やJavaが普及し、コンポーネントをどう使うかに重点が置かれた。その時代はオブジェクト指向の普及期でもあった。しかし、コンポーネントの使い方からソフトウェアサービスをどう使うかが問われている現在は、オブジェクト指向の成熟期だ。そして、2005〜2010年までの5年間がオブジェクト指向の発展期となるとみている。
図1 内から外へと変貌するソフトウェアエンジニアリング |
この発展期にビジネスの流れをITでどう表現し、どう実現するか、その能力がエンジニアにも求められているというのだ。「ビジネスモデルを提案できないエンジニアは、変化の激しいIT業界では10年もすれば廃れてしまう。ビジネスが変わればITも変わる。ITによって新たなビジネスモデルが生まれる。ITとビジネス両方をコントロールできるエンジニアが求められている」(萩本氏)。
ソフトウェアエンジニアリングはもはや、言語を理解し、プログラムを作り、それを実装するという、いわばプロジェクトの「内側」での仕事ではなくなりつつある。顧客に、どのようなビジネスモデルを提案できるのかといった「外側」へのアプローチが求められている。現実に、最近のソフトウェア技術は、「外側」へのアプローチにフォーカスを絞ったものが生き残っている。
豆蔵が求める理想のエンジニアとは? |
豆蔵が考えているエンジニアのキャリアパスを見てみよう(図2)。以前は実装能力のみがエンジニアの価値を決める指標とされていたが、現在では、UMLによる設計モデリングの能力が3割、実装能力が7割になっている。さらに、現在から2005年にかけては、顧客からの要求をモデリングできる能力が2割、要求を実現する設計モデリング能力が2割、そして実装能力が6割へと変化する。つまり、エンジニアの価値を決める指標の中で実装能力が占める割合は、年々下がっているのである。
さらに2005〜2010年にかけては、ビジネスモデルを提案でき、その実現のために必要な顧客の要求を分析でき、そこから設計、実装へと、すべてをこなせるエンジニアが求められるようになる。つまりこれからのエンジニアは、「オブジェクト→コンポーネント→サービス→ビジネス」というようにオブジェクトを基点にビジネスまでの構造を投影して見る力が必要とされる。これが“豆蔵の求める時代とともに変化するエンジニア”の理想的な姿である。
図2 豆蔵が考える時代によって変わるエンジニアのキャリアパス |
「いまは時代の転換期にある。豆蔵も時代の流れに応じて変わろうとしている。それに向け、理想のエンジニアになるためのチャレンジの場が、豆蔵では与えられる。理想のソフトウェアエンジニアリングに挑戦する意欲と素質のある人材を求めている。豆蔵は、そのようなエンジニアにチャレンジさせる場を提供し、業界に創出するためのビジネスプロセスとインフラを作り出そうとしている」(萩本氏)
豆蔵では、システムからビジネスを見通し、逆にビジネスからシステムを導き出せるエンジニアを、スーパーエンジニアと定義している。スーパーエンジニアは、エンジニアの将来の理想的な姿である。では、理想像に一歩でも近づける可能性、エンジニアのポテンシャルは、どこで見分けられるのだろうか。それについて萩本氏は、こう指摘する。「エンジニアとして、何か1つ武器を持ち、その武器をさらに伸ばせるように、さまざまな視点を持っていること」
実装に強い、要求分析や業務分析には自信があるというように、強みを何か1つ持ち、そのうえで、さまざまな視点を持ち合わせている人材を豆蔵は求めている。顧客からの要求をITに置き換えたり、ITを武器に新たなビジネスモデルを生み出すのが、これからのエンジニアの仕事である。手元にテクノロジのカードを数多く持ち、そのカードの1枚1枚を選択肢として、顧客からの要求を現在の最適なテクノロジにコミットして顧客満足度を得ていくことができる。また最適なテクノロジを選択する際に数多くの視点を持つことで、さまざまな角度からの分析が可能となるのである。その中の重要な視点としてビジネスプロセスがあるのだ。
コンサルティングと教育事業でエンジニアを募集 |
豆蔵では現在、教育事業とコンサルティング事業でエンジニアを募集している。教育事業では、.NET Webサービスやプロジェクトマネージャ向けのコースウェアを開発、講義できる人材を募集している。豆蔵の目指す教育事業は、従来の教育事業とは異なるものだ。ITをビジネスにつなげる手がかりを研究し、最先端のテクノロジをどうビジネスに繋げるかを提案する。そのような活動を通して、新たなソフトウェア工学を作り出すことに生きがいを感じるエンジニアを必要としている。豆蔵の講師は、コンサルティング、開発能力、提案能力などを豆蔵の成長と共に身に付けていくことができる。
一方、コンサルティング事業では、Javaテクノロジ、もしくは.NETテクノロジをベースにコンサルティング・開発ができるアーキテクトコンサルタントや、組み込み分野におけるオブジェクト指向技術をベースとした開発プロセスの改善、マネジメントをサポートするコンサルタントを募集している。
募集職種の詳細や、諸条件、応募方法については、豆蔵のサイトにある「技術者採用情報(http://www.mamezou.com/job/contents_engineer.html)」を参照いただきたい。
多くの参考書籍、資料が積まれる社内。豆蔵では向上心のあるエンジニアのみが活躍できる |
新人のエンジニア、中途採用のエンジニアの社内教育は、基本的には実践あるのみだ。こういう仕事がしたい、こういう経験がしたいという個人の希望を自己申告し、基本的にその要望に沿った形でエンジニアとしてのキャリアを身に付けていく。新人でもベテランでもエンジニアの机は常に書籍や資料などで埋もれ、社内全体が探究心、向学心にあふれている。また、自社教育コースに受講者として出席したり、上級コンサルタントに付き添って顧客を訪問したりと、実際の現場での研修が実施されるほか、伸び悩んでいるエンジニアには役員が面談して、ともに悩みを解決するメンター制度が用意されている。
しかし、豆蔵では基本的に受け身のエンジニアは必要としていないそうだ。「豆蔵は、ベンチャー企業。大企業のようにゆったりと構えていられない。Webサービスへと技術トレンドが移行する中で、豆蔵への世間の期待は大きい。また、夢が大きいだけ社会に対する責任も大きい」と萩本氏は言う。「新たな技術を吸収し、システムアーキテクチャとビジネスアーキテクチャの双方の視点を持ったエンジニアを育成するという、高く厚い壁を乗り越えなければならないという使命もある(図3)。豆蔵はいま、変わろうとしている。待っているだけのエンジニアではなく、ともに豆蔵を変革していくような意欲と力のあるエンジニアを歓迎したい」(萩本氏)。
意欲と力のあるエンジニアには、キャリアアップのための大きなチャンスとチャレンジの場を与えてくれる。それが豆蔵といえる。
図3 次世代ソフトウェアエンジニアリング企業の姿 |
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豆蔵とアットマーク・アイティのコラボレートセミナー「第2回 ITエンジニアのための自分戦略セミナー」の開催レポートはこちら |
株式会社 豆蔵
企画:アットマーク・アイティ人財局
制作:アットマーク・アイティ編集局
掲載内容有効期限:2003年1月14日
豆蔵 会社概要 |
会社名 | |
株式会社 豆蔵 | |
本社 | |
東京都新宿区四谷4-3ケイアイ四谷ビル | |
設立 | |
1999年11月11日 | |
資本金 | |
6億円 (資本準備金 4億円) |
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代表者 | |
代表取締役社長CEO 羽生田栄一 |
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事業内容 | |
ソフト開発及び関連するコンポーネントの企画・開発、コンサルティング、教育など |
豆蔵 関連リンク |
事業概要 サービス体系 採用情報 |