永久雇用を掲げるベンチャー企業の経営哲学
メンバーの夢をかなえるために、会社を急成長させたい
設立2年で50人規模になり、2014年の6月までに、さらに50人の増員を計画しているビジネストータルマネージメント。売り上げも倍々で伸ばし続け、ハイペースで事業を拡大している。ただ、離職率は5%を下回っているように、決して会社都合で突っ走ってはいない。このバランスの裏側を、代表取締役の吉田氏に聞いた。 |
──:傍からは、順調に事業を拡大されているように見えます。これは計画通りですか?
起業前の計画として、1期目は基盤をつくり、2期目は上積みを行い、3期目に横展開していくという流れを考えていました。今は3期目を迎えていて、純利益を元手にしながら、いろいろな方面に進出しはじめています。例えば、これまではお客さま先に常駐し、開発を支援するSES(システムエンジニアリングサービス)事業がメインでしたが、徐々に受託案件を増やし、最近ではコンシューマー向けの自社サービスも動きはじめたところです。
──:展開が早いですね。
この業界は現状維持がリスクとなり、常に新しいサービス、新しい技術が出てきます。スピード感を持ち、展開することが重要だと思います。それに伴い、プロジェクトを率先して進めるできる人材が必要になってくる。だから、マネージャークラスを自社に戻すために、今はSESを少し縮小させているんです。それと同時に、大手企業にもどんどん切り込んでいて、誰もが知るようなクライアントから案件をいただくことも少なくありません。
──:大手企業が御社と取り引きを行う理由はどこにあるのでしょう? ベンチャー企業はなかなか大手に入っていけないイメージがあるのですが。
Web系と業務系の両方に精通しているのが大きいのでしょうね。最先端のWeb系の情報も知っているし、レガシーシステムのことも理解できる。どういった話にも対応できるので、相談を持ち掛けやすいのだと思います。後はいろいろな業種に関わっているので、マーケット全体の動向に詳しいのも、プラスになっているかもしれません。
──:取引先の業種も幅広いのですか?
以前はゲーム系がメインだったのですが、1つの業種に依存したくなくて。息の長い企業活動を行っていくために、不況に左右されない体制を作りたいのです。今は基幹系や金融系、医療系、インフラといったあらゆるジャンルの案件を手掛けています。
──:吉田さんも営業を行っているそうですね。
最前線に立っていますよ、企画書も日々たくさん書きます。この間も大手銀行から案件をいただきました。もちろん簡単に獲得できるわけではなく、コツコツと人脈を築き上げているのですが、そのプロセスが好きなんです。経営も楽しいのですが、売り上げは自分の手で上げたい。根っからの営業マンなのでしょうね。
──:倍々で売り上げを伸ばしていらっしゃいますが、高い目標を掲げているのは、あえて自分を奮い立たせているという側面もあるのですか?
それはあるかもしれませんね。常に動いていないと落ち着かないというか。「足元をすくわれるのではないか」という不安は今でもあります。2011年の5月に起業の準備を始めて、自分の給料は2012年の3月までありませんでした。そのときの必死な気持ちは、今になっても息づいています。社員に幸せになってほしいというのも大きなモチベーションです。個々が夢をかなえられる会社でありたいんです。売上高が多いと、やれることも増えるじゃないですか。設立3年目から自社サービスをスタートさせたのも、夢を実現させている風景を見せたいという意図があります。
──:Webサイトにも「人の可能性を広げる企業」という言葉を、トップページに表示していますね。
ベンチャーですが、風土は昔ながらの企業だなと思います。社員の面倒を会社が見るから、そのためにみんなで頑張ろうぜというスタンスですから。永久雇用を掲げていて、解雇を行ったことは1度もありません。もし景気が悪くなったとしても、絶対に解雇しない。その状況下で会社を伸ばすことを、必死で考えます。新しい事業やユニークなアイデアは、そういったところからも出てくると思います。
──:永久雇用を掲げているのはすごいですね。例えばミスばかりするメンバーがいても、雇用は継続するのですか?
注意はしますが、見捨てることはしません。どうすればよくなるのかを考えますね。自分の好き嫌いでメンバーを判断することもありません。もちろん、ある程度の相性はありますが、社長が好き嫌いで人を見るようになったら終わりだと思います。
──:面倒見がいいという次元を通り越していますね。
まわりから「甘い」って言われて、悩んだ時期もありました。でも、甘いなら甘いでいいなって、今は思います。とにかく輪で仕事をしたいのです。1人で何かを完遂できる人なんて、ごくわずかです。それに、みんなで力を合わせると、圧倒的な個にも勝てることがあって。この会社はそれを目指したいのです。
──:実際に夢をかなえた人はいらっしゃいますか?
うちのWebサイトは、小倉という社員が作りました。彼は入社当時は技術的なスキルがなかったので、実践的な力を身に付けてもらうために、お客さまから仕事だけいただいたんです。報酬はもらわずに。期間は3カ月、もちろん当社から彼に給与は払いました。
──:その間の利益は……。
もちろん赤字です。でも、育てるための投資だと捉えて、そこでデザインやコーディングのスキルをみっちりと身に付けてもらいました。その後「Webサイトを作ってみたい」という話を聞いて、リニューアルの全てを任せました。PHPはできなかったのですが、そこは独学でカバーしてもらって。
──:全部任せたのですか?
任せましたね。今のWebサイトの大部分は、彼が作ったものです。トップ画面が横にスライドしたり、社員紹介があったり、以前のページからかなりの刷新が図られました。彼は今も更新と運用を担当していて、トップページで私の顔が七変化するなど、遊び心がどんどん加わっています。七変化についての相談は事前になく「吉田さん、替えておきました」って後から聞いたんですよ。
──:事後報告なのですね。
顔がアライグマになったりしますからね。でも、うれしいことです。やりたいことをやれているので、彼の表情がイキイキとしていますから。そういった意味では、SESはスキルアップの土台でもあるんです。言語を覚えたり、いろいろな経験を積んだりできる。それは私たちにとってもプラスとなりますし、もちろんお客さま業務もはかどる。全員にとってWin-Winなんですね。
──:社員の要望を踏まえた上で案件を獲得することもあるのですか?
ありますね。面接時や日常会話での「自社サービスを作りたい」「ゲームを作りたい」といった発言を覚えていて、その希望をかなえたいんです。いきなり実務を任せることもありますよ。例えばPHPを使えなくても、Web系の案件に配属するとか、取りあえず環境を設けてみる。環境が変わると、人は変わるんです。チームの編成は私が行っているので、その辺りの動きはフレキシブルです。
──:社員それぞれのやりたいことを、ちゃんと覚えているのですね。
長田という社員は将来パン屋を開きたいという夢を持っていて、「Webでパン屋を開いたらどうだ」といったアドバイスを行っています。リアル店舗を開きつつ、購買システムを作って予約を受け付けるなど。
──:この会社で技術力を身に付けることが、将来の夢につながっていくと。
彼女のように、具体的な夢がなくてもいいんです。安定志向でも構いませんし。ただ、どういった内容であれ、全力でかなえてあげたいという気持ちに変わりはありません。
ビジネストータルマネージメント 代表取締役CEO 吉田 悟氏 |
──:その思いが社内に浸透しているという実感はありますか?
先日、社員旅行のレクリエーションで、新卒採用のシミュレーションを行いました。メンバーを6チームに分け、自分たちが人事になったと仮定して会社の良いところをアピールするという企画です。設立時からいるメンバーも新しいメンバーも一緒になって会社の長所を考えるので、さまざまな視点が混ざり合って有意義なものになりました。ここが足りないなという声もいろいろと上がりましたし。
──:どのような声が上がったのですか?
良いところは、「やりたいことをやらせてくれる」「自由」「社長との距離が近い」などが多かったですね。足りないところは、「人事制度をもっと整備してほしい」「社長や役員が忙しそうで、声をかけにくいときがある」などでした。悪いところは改善を取り入れます。今も人事の募集を計画しているところです。
──:いろいろとお話を伺って、離職率が低い理由が分かる気がします。
本当ですか? でも、まだまだですよ。全員に「この会社に入ってよかった」と思ってほしいし、それぞれに夢をかなえてほしい。これから一緒に働く方にもそうなってほしいので、全ての面をもっともっと良くしていきたいですね。
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株式会社ビジネストータルマネージメント
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制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2014年1月16日
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